敗北の責任について考えた日 1年生大会準決勝

113日、文化の日。日本国憲法が公布された格調高く文化の香りがするこの日に、息子yasuにとって大きな行事が組まれていた。

 一つ目は、高専祭だ。ここ八代キャンパスでは高校・大学の学園祭のような雰囲気。丁度野外ステージでは、お絵かき大会のような催しものが行われていた。のど自慢やコスプレ大会、スポーツ大会などが企画されていた。


学園祭の真っただ中
高専祭がおこなわれていました
結構面白いイベントがあるみたい
これはちとあやしそう^^
コスプレ大会もあるみたいな
テロリストがキャンパス内を徘徊?



 キャンパス内では、テロリストのような格好をした男が歩いていたり、わけのわからない格好をした若者が多数しゃべっている。校舎内では、工学を志す者にとっては、よだれがでるような面白い展示物が鎮座していた。



 野球部の面々を探したところカレー店を営んでいると聞きそこへ向かう。野球部はカレーの露店担当。女子マネや1年生のkuwaがメニューを書いた看板をかぶって歩いていた。Yasuは寮生ということもあり厨房の担当をして会うことはできなかったが、一抹の不安を覚えた。君たちこんなところでカレー屋やっている場合じゃないんだけど。




野球部の2年生の1人がのど自慢に挑戦
これが野球部の店 カレー店
機械知能システム工学科の展示
これがロボコン出展作品です
建築社会デザイン工学科 模型はうまくできていました
農業用水で発電という面白い模型でした



 なぜかって、この2時間半後に、野球部は県営八代野球場で、1年生大会の準決勝を迎えることになっていたからだ。相手は、県南を代表する野球の強豪校八代東高校。体育コースがあり、選りすぐりのアスリートが集まる学校だ。



 そんな大切な試合前なのに、高専祭という学校行事があるため、生徒たちは公休をもらって何とか試合前に球場へ駆けつけることになったという。学園祭の途中で抜けて公式戦というのが果たしてポジティブな要因となるのであろうか。




 案の定、守備練習を見ていて更に不安を覚えた。守備練習でミスが目立ち、声も出ずにもう一歩ピリッとしない雰囲気だ。




 対する東高は、きびきびとした流れるような守備練習。試合前からすでにリードされているような気さえした。




 スタンドで後援会の面々と話していると、あっという間に試合開始時間に。午後215分、東高の先攻で準決勝が始まった。




1年生大会準決勝が始まりました



 高専八代の先発は息子yasu。投球練習を見ていて、体が切れていないのがわかる。投球は上ずり気味で安定していない。オイオイ大丈夫かお前。



 そうこうしていると、相手の1番バッターが打席につく。サイレンが鳴る。いよいよ高専八代1年生の公式戦2戦目が始まった。



 Yasu初球をいきなりショーバンの投球で第1球ボール。相手の圧倒的な人数のスタンド応援が球場中に響きわたっている。力んでいるのだろう。とにかく先頭バッターを塁に出さないことがまずもって先発投手に課せられた課題だ。



 第2球はインコースへ。その左バッターは窮屈なスイングをすると打球は鈍い音とともにレフト方向へ飛んでいった。打ちとったぞ。一瞬そう思った。ところが、意外にも打球は失速し、レフトとショートの間にぽとりと落ちた。



 いきなりランナーを出してしまうyasu。「行け行け○○〜〜」スタンドの統率された応援が更に1段ギアチェンジ。プレッシャーとなって高専八代の守備陣に襲いかかっている。



 2番バッターはバントの構えで待っていた。Yasu1球を投げる。「走った。」外角低めのボール。なんとキャッチャーがこれで3試合目とは思えないyasuの親友satoのセカンドへの送球は見事だったが、相手の足が速すぎた。



 セーフ。無死2塁。「たとえ世界中が土砂降り雨だろうと〜〜♪」相手のスタンド応援の声がまた更に大きくなった。「ノーアウト〜〜」1年生のリーダー的存在のtakeが必死で声をかける。



 第2球投げた。またショーバンの球。2−0。ストライクが入らない苦しい投球。頭を抱える親父。かなり動揺しているのがわかる。



 第3球投げた。これは外角低めいっぱいのストライク。いいぞそれでいいんだ。とにかく高めは禁物だ。注意しろよyasu



 2−1から第4球投げた。これが右バッターの足下にいきキャッチャーはじいて、ランナーは3塁へ。ますます傷口が広がる高専チーム。このピンチに普段あまり声を掛けないショートtaiyasuにひと声を。いきなり前進守備を余儀なくされた内野手たち。外野手を前に呼び寄せるsato



 3−1からの5球目だった。カキーン。鋭い打球はセカンドの足下を襲った。それが信じられないスピードで外野に抜け、なんと右中間を切り裂いた。タイムリー3塁打を打たれ1点を先制される。



 なおも無死3塁のピンチ。satoが再びマウンドに歩み寄る。動揺するyasuに声をかけているようだ。「もっともっともっともっと〜〜〜」相手チームの応援のボルテージは最高調に。



 続くバッターは長身の3番。獲物をねらうような静かな構えで投球を待つ。第1球は変化球。ストレートを打たれたことで目先を変えるつもりか。



 しかし、すっぽ抜け。1−0。第2球は力みが見られショーバンのボール。おいおい一体どうなっているんだよ。完全に東高のペースに押されてしまっている。思うところに投げられないいらだちを隠せないyasu



 第3球はようやく外角低めのストライク。これで2−1。それでいいんだ。低めに集めろ。しかし、次に投じた球は真ん中寄りの高め。この球を東のバッターが見逃すはずもなくフルスイング。



 打球は青空に高く吸い込まれ、左中間を深々と破る3塁打。これで2点目。なおも無死3塁のピンチ。



 更に、怖い4番バッターが出てきた。この後、一体何点取られるのだろう。そんな気さえした。第1球は左バッターの膝元に決まるストレート。初めて初球ストライクが来た。頼むぞ。甘い球は禁物だぞ。




 第2球はまたまたすっぽ抜けの変化球。1−1。相変わらず変化球が決まらない苦しいピッチングだ。




 第3球はストレートがインコースへ。これをバッター鋭く振り抜くが芯を外れた音がした。しかし、力でライトの定位置まで運び、これが犠牲フライとなって早くも3点目を失う。



 「ワンアウト〜〜」ようやく取ったアウトにホッとしながら、5番打者を迎える。5番も細心の注意を払って投げろよ。5番も長身のバッターだ。出てくるバッターはみな体格がいい。




 第1球は直球が高めに外れた。第2球は、変化球だ。ストライク。おっ初めて変化球でストライクが取れた。ほっとする親父。Yasuもようやく1アウト取ったことで落ち着いたようだ。



 それを証拠に初めは腕がテイクバックで変なまわりくどい動きをしていたのが、素直に振れるようになっていた。



 第3球は外角のストレート。これを振り抜いたが芯を外れ平凡なライトフライに打ち取る。よし、これで2アウト。「ナイスライト〜〜」ようやく、今まで固唾をのんで見つめていた後援会が声を出し始めた。



 6番バッターを初球のストレートを打たせピッチャーゴロに仕留めようやくチェンジ。2回以降は、ryoがマウンドに立ち、yasu1回でライトへ回った。



初回からランナーを出すものの
yasuのリリーフryo 6回というロングリリーフになりました
yasu1回KO その後ライトに
ここまではヒット数では変わらなかったのに



 この後、八代東は、着実に得点を重ね、7回の表まで9点を取る。高専八代は前半にノーアウトのランナーを出しながら後1本が出ずに、内野ゴロの1点に抑えられ、1−9の7回コールド負けとなった。どうにもならない相手ではなかった。自滅して負けるという一番嫌な負け方だった。




初の長打 taiの2塁打
残念ながら、準決勝敗退でした


 高専八代の敗因は、やはり先発yasuのふがいない投球が第1の原因であることはだれの目にも明らかだった。Yasuは投手として経験不足であるとともに、体格の小ささが災いしていると思う。監督からも「この冬5キロ体を大きくしてください。」と言われた。このまま投手として、いや高校野球を続けるならば、体を大きく強いものにしていなければならない。





 今回は、これからのために、負けた責任を感じさせながら寮ですごさせることにした。学園祭の華やかな雰囲気の中で、彼は何を考えながら過ごしたのだろう。




中3のみなさん、ぜひ高専で野球をしよう。高専の先輩はやさしい人ばかり。施設は充実している。野球ができる環境は普通高校より整っている。みなさんの入部を待ってま〜〜〜す^^





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