第52回九州沖縄地区国立高等専門学校体育大会が7月17日に開幕しました。
息子yasuも高野連の大会を引退して1年。
2回目の高専大会を迎えました。
担当は、熊本高専熊本キャンパスです。
硬式野球は、山鹿市民球場と合志市運動公園野球場の2会場で熱戦が繰り広げられました。
初戦の相手は、高野連の秋の大会でベスト8に進出していた強豪鹿児島高専です。
高専チームがスタートしてこの1年間、練習試合は1勝8敗。
敗戦のすべてが2桁得点を与える無残な負け方。
先週の久留米高専との練習試合でも1回に11点、2回に10点を取られる情けない試合。
この試合でもわかるように、この時点で高専八代チームの勝利を予想する人は皆無でした。
ところが、野球はやってみなければわからないもの。
職場に1時間の休暇をもらって、しばらくしてから、電話で高専の保護者の方に状況を聞きました。すると、
「勝っとるバイ。2−0」
なんと、2回を終わって2−0とリードしているとのこと。
でもまあいつもの調子なら、この後大量失点をして負けるだろう。
こんな自虐的な予想をしながら、会場にあと5kmというところで携帯電話が鳴りました。
さっきのkuwaパパから、
「試合終了。2−0で勝ったバイ」
えっ、本当か? でも間に合わなかったか。
会場に着くと、高専八代ナインが、意気揚々と引き上げるところでした。
逆に、円陣を組んでうなだれる鹿児島高専ナイン。
勝者と敗者が交錯する美しい情景。
yasuが「あしたまた観にきない(観戦すれば)」と声をかけてきました。
鹿児島高専のエースは、前評判通り、130kmクラスのストレートと切れのある変化
球を持ち、大量点を望めない。
しかし、彼のやや不安定な立ち上がりを攻め2点を先取し、それを9回まで守り切ったそうです。
よくやったぞ。これで明日の試合を観ることが出来ます。
この日のパパさんたちとの勝利の美酒は格別でした。
熊本高専八代 200 000 000|2
鹿児島高専 000 000 000|0
さあ、翌日の試合は、今大会の優勝候補の筆頭、都城高専との試合です。
高専八代のオーダーの紹介
1番セカンドkuwa
2番サード take
3番センターkatsu
4番レフト ryo
5番ファーストsato
6番ショートyama
7番キャッチャーryu
8番ピッチャーwata
9番ライトeno
yasuはベンチスタートです。
高専八代の先発は、4年のwata。
大黒柱のいない高専八代の投手陣。
小刻みに継投して相手の攻撃を最小限に留めるしか勝機はありません。
気温30度を超える猛暑の中、午後0時丁度、高専八代の先攻で試合が始まりました。
相手チームの先発は、右のスリークオーター。伸びのあるストレートとスライダーが武器のようです。
先攻めなだけに先制して相手をあわてさせたいところです。
しかし、3者凡退のスタート。なかなかうまくはいきません。
1回の裏、都城高専の攻撃。
先頭打者がwataの球をよく見極め合わせると、打球は絵に描いたようなきれいなセンター前ヒット。バントで送って、都城早くも先制のチャンス。
このチャンスに3番が右中間を深々と破るタイムリー3塁打で先制されてしまいます。
逆に相手に先制を許し、いやなムードで迎えた2回の表八代の攻撃。
4番ryoが相手投手の肩口から入ってくる変化球をフルスイング。
打球は、美しい放物線を描き、レフトスタンドへ入るホームラン。
この一打で俄然もりあがる八代ベンチ。沸き返る後援会の面々。
この後、更に相手投手を責めてenoのセンターへのテキサスタイムリーヒットで1点を加え、2−1と逆転に成功しました。
2回の裏は、wataはランナーを2人だしたものの後続を打ち取り無得点に抑えました。
熊本高専八代 02
都城高専 10
3回の裏、都城高専の攻撃。3回からは息子yasuが2番手として登場。早い投手交代にあせるおいら。
簡単に2アウトをとったものの。次の打者にセンター前ヒットを打たれます。それをセンターがダイビングキャッチを試みるも後ろへ抜け、ツーアウトながら3塁のピンチ。
yasuは、数日前に覚えたカーブを有効に使い、低めのボールになる変化球で次のバッターを三振に仕留めたと思いきや、ワンバウンドになったので、打者は1塁へ走り出しました。
あわてずキャッチャーが1塁へ。
これがハーフバウンドとなり、ファーストが捕球できず、実にもったいない得点で同点とされます。
4回を終わって両チーム譲らず2−2。今日もなかなかの試合です。
熊本高専八代 020 0
都城高専 101 0
5回の表、八代の攻撃。1死後、1番kuwaがレフト前ヒットで出塁。2死となったものの3番katsuがセンターへの2塁打を放ち、2死ながら2,3塁のチャンス。
ここでホームランを打って気持ちが乗っている4番ryoが、高めの甘い球を見逃さず右中間に見事なライナーを放ちます。
これが2点タイムリー2塁打となり、ほしかった勝ち越し点をゲット。
また、yasuも相手の攻撃を何とかかわし、3回を投げて1失点のまずまずの投球を見せます。
5回を終わって4−2と都城をリードして前半を終えました。
熊本高専八代 020 02
都城高専 101 00
これはイケるかもと思った6回の裏、都城高専の攻撃。3番手のtakaがつかまり、2点を失い4−4の同点とされました。
この回から、ピッチャーはkodaに交代です。
両チームの一進一退の攻防で手に汗握る場面が続きます。
4−4の同点で迎えた高専八代の攻撃。
9番からの攻撃でしたが、6回から2番手として登板したサウスポーのエースの前に2三振で早くも2アウト。
このエースは、今大会最高の左腕といわれているピッチャーです。
ストレートの球速は130km中盤。切れのある鋭いスライダーが武器です。
右バッターの内角をえぐる球とブレーキの鋭い変化球に手も足も出ません。
期待された7回の攻撃も2アウト。
しかし、今大会ツキがある八代。2番takeの何でもないショートゴロがエラーとなり、2アウトながらもランナー1塁。
セカンドにランナーを置いて続くkatsuがサードへ強い打球を放つ。
これがサードのエラーを誘い、はじいたボールが内野へ転々とする間に、セカンドからtakeが勝ち越しのホームイン。
4番ryoもサードにゴロをこれもまたサードがはじき、ryoが盗塁して、2死2,3塁のチャンス。
この大きなチャンスに打席に立ったのは、5年のsyo。途中から1塁の守備に入った彼にとって、学生生活最後の試合になるかもしれない大切な打席。
しかし、彼は練習試合から全くといっていいほど当たりがなく、大会屈指の投手との対戦は荷が重いと思われました。
初球130kmのストレート。空振り。第2球もストレートも同じ球速の球で空振り。
バットに当たる気配もない空振りだ。
頑張れ!syo。ここは見せ場だぞ。
第3球高めの伸びのあるストレート。かろうじてファウルチップに逃れる。
ここでスライダーを投げられたら、おそらく一歩も動けず見逃しの三振かもしれない。
スライダーを投げないでくれ。相手エースは、ワンバウンドの危険があるスライダーより、安全に討ち取れるストレートを選択。
ところがこの選択は、間違いだったようです。
不用意に投げた高めのストレートをsyoはこれまでのうっぷんを晴らすかのような見事なジャストミート。打球は、前進守備のセンターの頭上を超えました。
回れ!回れ!
1塁側が沸き返ります。3塁からkatsuホームイン。2塁からryoも難なくホームイン。
見事な2点タイムリー2塁打により、大会屈指の好投手から3点という数字以上に大きな得点を奪いました。
syoは力尽きたのか、その後のオーバーランのタッチアウトで足を痛めたらしく、担架で運ばれました。
syoの代わりはいるのか?
ここで一昨日の練習でケガをしたキャプテンmasaが登場。八代は文字通り総力戦となりました。
この3点は大きいと油断したわけではないでしょうが、点を取ったあとの守りを気をつけるべきできした。
2アウトを取りながらも、2連続タイムリーで3点を失い、3度同点に追いつかれてしまいました。
8回の表 八代のチャンスにryoが敬遠されてしまい無得点
その後両チーム共に、ピッチャーと守備陣が踏ん張り、9回を終わって7−7の同点のまま試合は大会初の延長戦となってしまったのでした。
熊本高専八代 020 020 300
都城高専 101 002 300
相手エースは尻上がりに調子を出し、八代打線を5回投げてヒット4本、そして9つの三振を奪い中々得点を与えません。
10回の表、八代は三者凡退に終わりました。
11回の表は、上位打線に回るので、10回の裏を押さえれば、チャンスがあります。
何とか押さえてくれ、koda。
kodaは、高野連の練習試合でもあまり登板の機会がなく、心配していましたが、昨日の行き詰まる投手戦の後半の主役を演じていました。
この大会で覚醒した模様。さあ頑張れ!
先頭打者をサードゴロに打ち取りましたが、9番にセンター前にうまくあわされて、サヨナラのランナーが出ます。
当たっている1番はバントで手堅く送ります。相手もこの場面がどれだけ重要かを理解していることがうかがえます。
2番バッターをうまく追い込みますが、センター前にゴロのヒットを打たれてしまいました。
センターのkatsuが前進して懸命のバックホーム。
ボールは見事にキャッチャーミットに収まります。
セカンドランナーは3塁でストップでした。
お〜〜〜〜とスタンドにどよめきが。
次は、当たっている3番。最もいやなバッターが登場してしまいました。
この場面で、だれもがそう思っていたように、敬遠します。満塁策で4番と勝負のようです。
第1球ストライク。
お〜〜〜
第2球ストライク。
お〜〜〜
1球ごとに緊張が走ります。スタンドにいてもじっとしていられない。固唾をのんで戦況を見守る後援会。
しかし、そこは4番。外角の球をフルスイングした打球は、ライト後方へ。懸命に打球を追うryo。
残念ながら、ボールはryoのグラブの先の芝生にポトリとバウンド。
歓喜の都城高専ナイン。うなだれる八代ナイン。
ここにも勝者と敗者が同居する美しい情景が。
試合終了のために、ホームベースを中心に向かい合う両チームの選手たち。
あいさつの後、両チームともに笑顔で握手し会話をかわします。
野球場全体を温かい拍手が包みます。ここにいるだれもがこの試合で選手たちの健闘を讃えているようでした。
惜しかった。優勝候補を後もう少しのところまで追い詰めたのに。
熊本高専八代 020 020 300 0|7
都城高専 101 002 300 1|8
(延長10回サヨナラ)
しかし、よくやったぞ。どん底にいたチームがわずか1週間で、観客を感動させられるような全員野球ができるなんて。
おかげで負けたのに後援会の面々はさわやかに球場を後にすることができました。
8−7で終わる野球の試合をルーズベルトゲームというんだそうです。
アメリカの大統領が、8−7で終わる試合が一番おもしろいと語ったエピソードからそう名付けられたそうです。
今日は本当にすばらしいルーズベルトゲームを見せてもらったと思います。
高専連の野球部のみんな、感動をありがとう。
5年生は学生生活最後の公式戦お疲れ様でした。
3,4年のみなさん、来年はぜひ全国大会へ連れて行ってください。
これからも応援していきますよ^^
野球ばんざい!野球に感謝です!