あっけない幕切れ 郡市中体連大会
例年よりも早い梅雨明け。6月の長雨は野球部員たちの練習時間を奪ったが、そのお詫びとして、この季節としては野球をするのに絶好の天候を用意してくれた。 7月2日(土)郡市中体連が開幕。わかりきっていることだが、部員たちはこの日のために練習を続けてきた。3年生にとっては最後の大会。悔いの残らない試合で中学校の部活を終えてほしい。 目標は、当然、16校中1校だけに与えられる県大会の切符。そして、できるだけ長くこのチームで、この仲間たちで試合をすることだ。 どんなに苦しい場面でも、みなさんの一番の特徴である声を出していこう。 こう激励して生徒たちを送りだした。 午前8時半より、川上哲治記念球場で、開会式が行われた。今年の大会は、各学校の実力が拮抗しており、どこが優勝してもおかしくない。
この大会にかける野球部員、監督の先生方、保護者の異様とも言える熱気が球場全体を包んでいた。 開会式を終え、一路試合会場に向かう。相良中の初戦の相手は、岡原中。長身のエースを中心とした守りの堅いチーム。 練習試合では勝ってはいるものの、絶対に油断してはいけない。錦総合グラウンド球場での練習に力が入る部員たち。 午前10時、曇り、気温29度、無風の中、相良中の中体連の挑戦が始まった。 1回の表相良の攻撃、先頭のsyunがヒットで出塁。2番ryoが出塁し、無死1,2塁のいきなりのチャンス。先制点を取れればこちらのペースで試合ができる。何とか点を取ってほしい。 しかし、相手が牽制球を後逸するのを見てランナーがスタートするがタッチアウト。この後も攻め続けるが、あと1本が出ずに、無得点に終わる。初回からいやなスタートだ。 相良の先発はsyun。この日に照準を合わせてきた彼の球は伸びていた。また、ストレート、変化球ともに低めに決まり、相手打線をまったく寄せ付けない。 守備も安定してノーミス。2年生捕手のioも体を張ったキャッチングで投手を助けた。あとは、こちらがどのようにして点を取るかという展開になってきた。 相手も必死だ。相良は再三ランナーを出すものの、気迫のこもったエースの投球と堅い守りで、得点を許してくれない。5回を終わって0−0という緊迫したゲームとなった。 6回の表相良の攻撃。ここらで何とかしなければと生徒たちは踏ん張り、1死2,3塁のチャンスをつかむ。このチャンスに5番ioがスクイズを決め、3塁ランナーsyotaがホームイン。2塁ランナーのyasuもうまいスライディングで2点先制。後援会に安堵の表情が浮かぶ。
この後も、syunは岡原打線を寄せ付けず、1安打1四球完封し、初戦を苦しみながらも突破した。まずは、第1関門をクリアし、ほっとする生徒たち。第2試合五木中と山江中を昼食を取りながら観戦する。この勝者と対戦しなければならないからだ。
1回戦は薄氷の勝利 第2試合は、五木中の健闘で接戦となる。しかし、最後は、山江が温存していたエースを登場させ、攻撃をたたみかけて突き放し、5−2で山江中の勝利となる。次の相手は、山江中と決まった。 6月初旬の下球磨大会では、勝っている相手だが、その時はエースを温存させており、破壊力のある打線は健在で、いかに得点を最小限にとどめるかが勝利へのカギだ。 午後2時10分、相良中の先攻で2回戦が始まった。 先発は、相良のエースyasu。彼は体が小さい点を体の回転を生かす投球フォームによって克服している。2年生の中体連の試合でも投げている。まじめな努力家でもある彼に何とか勝利投手をと相良ナインは試合に臨んだ。 山江の振りはするどく、打球が外野へと飛んでいく。長打を打たれ、早くも1点を先制される。しかし、その後、相良も四球と安打を絡め、2点を取り逆転。その後山江が追いつき、2−2。やはり実力が拮抗した同士の試合は予想通り接戦になる。 その均衡を破ったのは山江中の方だった。3本の長短打とツーストライクからのスクイズなどを決め4点を奪取。湧きかえる山江中ベンチと後援会。打球は詰まっているのだが、外野の前に落ちるなど、不運もあった。しかし、相良中の生徒たちは、最後まで声を出し続けた。 以前は、リードされてしまうと、声がでなくりしゅんとなってしまっていた生徒たちだったがこの日は違う。全員一丸となって4点を取りに行く。6回に1点を返し、3点差。声を出しながら盛り上がる相良ベンチ。 そして、運命の最終回、1死2,3塁で打席に立ったのはもっとも頼れる男キャプテンsyun。彼は渾身の力をこめてバットを振り抜くと、センターオーバーの大飛球。抜ければ3点本塁打も考えられる。ところが、これをセンターが好捕。3塁ランナーはタッチアップでホームイン。6−4の2点差に詰め寄る。なおも2死3塁のチャンス。 しかし、最後のバッターのryoが打ち取られ、相良中の挑戦は終わりを告げる。
挨拶をかわし、生徒たちはベンチに戻ってくる。とめどもなく流れてくる涙をこらえながら後援会に挨拶をする相良ナイン。ベンチに戻るともうせきを切ったように泣きじゃくる生徒たち。 これでもうこの仲間たちと野球ができなくなる。力を出し切れなかったくやしさなのか。いや、君たちは精一杯やったよ。最後まで勝負をあきらめることなく思い切りプレーをしたし、のどがかれるまで声を出し続けたじゃないか。下を向く必要はないよ。胸を張って相良に帰ろう。 この生徒たちと一緒に中体連という夢を追いかけた私の応援もこれで終わった。淋しさと同時に精一杯やり遂げたという達成感もある。不思議なことに自分の中体連の時以上より、素晴らしい感動をもらえたと思う。 生徒たちの今日の涙。もしかすると彼らはなぜ涙がでるのかわからないかもしれない。 でも、これから人生を歩んでいく中できっとその答えを見つけられることだろう。 「努力は決して人を裏切らない」 「仲間を信じてともに築きあげる喜び」 「結果はあとからついてくる」 生徒たちが学んだ野球を通しての人間教育は、やがて彼らのこれからの人生の中で大きな花を咲かせることだろう。10年後、20年後、彼らはどんな大人になっているだろう。できればそんな彼らと、中体連の思い出話をしてみたいものだ。
さて、私の後援会長としての仕事も終わりに近付きました。これまでたくさんの保護者の方々に支えていただき楽しく後援会を運営することができました。心より感謝申し上げます。そして、野球部員たちありがとう。君たちは野球を素晴らしさを私たちに教えてくれました。下級生はぜひ3年生のいいところを手本としてこれからも相良中野球部として夢を追い続けてください。 最後に、試合をして下さった山江中のみなさん、ありがとうございました。ぜひこの子たちの分まで頑張って県大会の切符を取ってください。 ●多良木中9−2深田中 ●人吉二中4−1水上中 ●球磨中1−5錦中 ●人吉三中ー須惠中(人吉三中の勝ち) ●相良中2−0岡原中 ●五木中2−5山江中 ●湯前中4−0免田中 ●上中2−3人吉一中 <2回戦> ●多良木中ー人吉二中(多良木中の勝ち) ●錦中ー人吉三中(錦中の勝ち) ●相良中3−5山江中 ●湯前中ー人吉一中(湯前中の勝ち) <準決勝> ●多良木中4−6錦中 ●山江中0−3湯前中 <決勝> ●錦中3−1湯前中(延長8回)<錦中2年ぶり6回目の優勝 県大会出場> 錦中のみなさん優勝おめでとうございます! |
中体連出発式 生徒たちの熱気が伝わる 中体連開会式 回戦は岡原中と 相手エースの伸びのあるストレートに苦しむ 相手エースの伸びのあるストレートに苦しむ 1回戦は薄氷の勝利 夢を追いかけて元気よく飛び出す相良ナイン 速球に食らいつく相良ナイン 彼らの挑戦の幕切れは実にあっけないものでした 相良中の記憶に残る3年生たち 本当にありがとう |
|