中甑 鹿島

 下甑島の北の先端部から西は瀬々野浦まで東は手打までの一帯を鹿島地区と呼ぶ。16キロメートルにわたり、浸食された断崖によって海岸線が構成されている。ウミネコの繁殖地の南限として知られており、愛鳥家の憩いの場でもある。主幹産業は漁業で、定置網漁では、北西の風が吹くときは東側に、東からの風の日には西海岸にと、漁師にとっては便利な場所である。近年ではぶりの養殖が盛んだそうだ。

 西磯、東磯ともに広大な釣り場を要し、クロ、尾長、マダイ、イサキ、ブリ、石鯛、夏場もシブダイ、フエフキダイ、アカハタ、スジアラなどの底物魚が有名である。

 西磯は、灯台下、ネンガ瀬など60を超える尾長が釣れるポイントや数型ともに揃う爆発力を秘めた口太釣り場など話題には事欠かない。また、北西の季節風に強い東磯も好シーズンには、堅調な釣果に恵まれる。



鹿島 全景


鹿島西磯

鳥の巣
 藺牟田瀬戸を過ぎ北向きに開いた地磯の一つがこの「鳥の巣」。沖向きの左手前には大きな根があり、ここにたくさんの魚が居付く。寒グロの時期には、20〜30枚ほどの爆釣劇を演じるほど、口太釣り場としては、かなりの実績がある。潮が足下から左の根に向かって流れるときがチャンス。右に流れるとやや釣果が落ちる。また、夏の夜釣りでは、良潮が入れば、イサキ、クロホシフエダイ、シブダイ、フエフキダイ、コロダイんどが竿を絞り込み、夜釣り師を楽しませてくれる。潮が引けば下の段におりて釣りができる。


ダンママ
 「鳥の巣」から更に少し走ると、湾奥に鎮座するのがこの「ダンママ」。船着けの足下はかなりの水深があり、魚の型がよい。また、右の瀬づたいに渡っていくと、サラシができるところも釣り座にできる。サラシができる地点が狙い目。ハシリの時期や水温低下時に実力を発揮する。上げ下げ両方狙える好ポイントである。


冷や水
 「鳥の巣」などの北エリアから有名瀬「灯台下」の途中にある地磯が「冷や水」。寒グロ期に実績が高い磯だ。断崖の岩を包丁で幾何学的に切ったような形状をしている。釣り座が狭く渡礁には十分に注意しよう。渡礁人数は多くて2人。釣り座正面やや右の足下に巨大なシモり根があり、ここの周辺にクロが居付いている。上げは沖に向かって右に流れシモり根の右際で喰うことが多い。下げになれば左のワレから出るサラシの払い出しを狙う。潮に恵まれれば、寒グロ期に大いに実力を発揮するで穴場である。


灯台下
 甑島を代表する磯釣り師憧れの尾長釣り場。毎年、60を超える尾長が数多く仕留められている。沖向きの高場は足場はよくないがネンガ瀬方面に向かって潮が走れば、尾長が喰ってくる可能性大。下の段の船着けも尾長の実績が高い。その2つの間のワンドはサラシができると、口太の数釣りが期待できる。
 夏の夜釣りでも、シブダイ、クロホシフエダイ、フエフキダイ、イサキなど、潮が沖に向いて左に流れれば数釣りが期待できる。

ダンガイのスベリ
 下甑島の北部の特に西側は断崖絶壁が続き、ポイント名は「断崖」と呼ばれることが多い。この「ダンガイのスベリ」はその中でも奥側に位置した地磯。釣り座が平らだが斜めに傾いていることから「スベリ」と呼ばれている。沖に向かって左側は浅くなっているが、沖向きの右側は水深もあり、型の良い口太がよく釣れる。

奥ダンガイ
 断崖と呼ばれる釣り場の地磯側に「奥ダンガイ」というポイントがある。船着けのところから沖に向かって左にワレがありここに撒き餌をして釣る。左に流れると浅い根があり、そこに居付いている良型口太が釣れる。右に流れてもクロが喰う。本命釣り座から上の段に上がると広く平らな場所が続いており、夜釣りでも安全だ。釣り座の反対側に行くと、「ダンガイのカド」が見える釣り座があるが、10mほどの高さがあり風があると釣りづらい。

ダンガイのカド
写真説明

中の池屋
 寒グロ序盤戦に実績がある地磯。沈み瀬が点在しており、根魚の格好のすみかとなっている。上げ潮が沖に向かって右に流れるときが魚の喰いがよい。

ヘタの池屋
 やや平らな所は低い場所にあり、荷物は斜面の中腹に置くのがベスト。釣り座はうねりのある日や、満潮時には十分注意したい。寒グロ期には数型ともによい。

池屋のハナ
 池屋の沖向きにあるポイント池屋のハナ。下げ潮で実績が高い。全体的に低い瀬でうねりのある日はお勧めできない。左右両方に浅いシモリ根があり、ワンドを形成している。足下に撒き餌すると、その左右の根からクロがわく。

エガ瀬
 池屋崎から入った湾奥に鎮座する瀬がこのエガ瀬。階段状に足下から深くなっており、夜釣りに適している。夏場はシブダイ、クロホシフエダイやフエフキダイ、やや沖に遠投すれば、イサキも喰う。フカセでもブッコミでも釣りが可能。池屋崎周辺では最も夜釣りの実績が高い。
 また、冬期では、口太の数釣りが期待できる人気ポイントになる。

立神
 底物でも上物でも実績のある好ポイント。潮の影響を受けやすく、大釣りするときと、全く釣れないときがあるなど、好不調の波が激しい磯でもある。足場はよく安心して釣りができる。

高島オモテ
 デカバン口太、尾長、石鯛が狙えるウラとともに鹿島の人気を支える好ポイント。秋口にはイサキなどのうれしい外道も喰う。足場が海に向かって前下がりになっているので、釣りづらいのが難点。船着け、先端、左手前のワレと3つほどポイントがある。

鶴穴
 池屋崎をしばらく走ると、湾の奥に低く平らな磯が見えてくる。これが鶴穴である。クロの数型ともに期待できる。撒き餌を足下に打ち付け、足下に潜むクロをおびき出して釣る。ワレによいサラシができ魚のアタリは多いが、手前に張り出し根があり、取り込みは難しい。強いタックルでとにかくゴリ巻きすることをお勧めする。


鹿島東磯

弁慶1番
鹿島港から渡船で15分。中甑島の東側に点在する島が弁慶島と呼ばれる一帯。その中で一番沖に位置するのが1番である。一帯は大変潮通しがよく、北西風にも強いことから、東磯の中でも最も人気のある瀬の一つである。上げ潮で石鯛、下げ潮では、口太、尾長、イサキ、マダイなどが当たってくる。海溝が走っており、船着けではデカ版の尾長にかなりの実績がある。東向きの釣り座では、シブダイ、フエフキダイなどの夏の底物釣りでも実績がある。ただし、瀬自体が低いため、うねりには十分注意したい。

弁慶2番
鹿島港から渡船で15分。中甑島の東側に点在する島が弁慶島と呼ばれる一帯。1番の隣に位置するのが2番である。一帯は大変潮通しがよく、北西風にも強いことから、東磯の中でも最も人気のある瀬の一つである。コンスタントにクロ、尾長が釣れる。タナは浅めにしてサラシをねらうか、1番との間の水道をねらうか、戦略をしっかり立てて望みたい。最後に回収になることが多く、一番長い間釣りができる磯である。


平瀬崎
甑島最大の海峡である藺牟田瀬戸に面した平瀬崎は、クロの好ポイントとして有名。型はそれほどでもないがクロの数釣りが有望。正面に大きな沈み瀬があり、その瀬周りを狙う。海峡に面しているので、天候には敏感。冬場の北西風には十分気をつけたい。イサキや水イカねらいも面白い。夏は夜釣りでフエフキダイなどの底物が狙い目。

熊ヶ瀬
鹿島港から右へ進みすぐのところにある比較的大きな島が熊ヶ瀬。南向きの船着けのところは切り立っており東向きに向かってかけ下がりになっている。潮通しがよく、水深があり船着けでは夏の夜釣りでフエフキダイやイサキがよく釣れる。冬期の寒グロではかなりの実績があり、数型ともに揃う。潮が手前に斜めに当たり、東の先端に流れるときがチャンス。船着けでも東の先端部でもクロが喰う。北西の風に強い。

コミタレ
鹿島港から南へ走ること10分ほどで着く、下甑島本島に近い独立礁である。磯は切り立っているが、階段状になっているため、足場は抜群によい。北西の季節風に強く、寒グロ期によく使われる磯である。

ミタレ平瀬
ミタレ周辺の中で奥まった場所に鎮座するミタレ平瀬。上げ潮は船付けで、下げ潮では沖に向かって右端がいい。広くて足場がいいので3人くらいいっしょに釣りができる。


定置奥
ポイントは、船付けと写真の裏。北西の季節風が吹く寒グロ期は、風を背中に背負える裏のポイントがおすすめ。2人の竿出しが可能。コンスタントに魚影が濃いので知る人ぞ知る人気ポイントである。比較的広い場所なので、瀬泊まりも可能。


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