下甑 手打





 九州州本土から40キロメートル離れた離島甑島。島最南端の港、手打港を拠点とした下甑島南部が手打と呼ばれているエリアだ。一昔前までは、九州本土から遠い離島として人々の侵入を容易に許さなかったが、最近では、串木野港発の高速船「シーホーク」が就航し、九州本土をわずか70分で結んでしまう。

 九州本土からは離れていいるが、古くは石器時代から人間が住んでいた形跡があり、木の実を採取したり、瀬に潜っては魚をとって暮らしていた。それからしばらくの間、本土とはまた違った文化を持ち平和に暮らしてたが、いつの間にか島津藩の版図となり、キリスト教の伝来や仏教の信仰など本土と同じ道を歩む。下甑村はカジキ漁などの漁業を中心に島は栄えたが、現在は薩摩川内市に合併されている。

 島全体が黒潮の支流の届くところとなり、四季折々の魚が釣り人を楽しませてくれる。釣りのエリアもかなり広大で、瀬尾という下甑島の東側から手打港までの地磯はすべて好ポイントである。また、手打港から西に進むと、地磯に東磯を代表する津口鼻一帯。更に手打湾を過ぎて西海岸は目を見張るような広大な断崖絶壁が続く。メジナの魚影には特筆すべきものがあり、特に西海岸一帯では、時期になると潮通しの良さも手伝って、60を超える尾長が数多く型見されている。昼でもロクマルを狙える数少ない釣り場として、九州の磯釣り師にはあまりにも有名だ。

 手打の釣り場としての最大の特徴は、西海岸(西磯)に釣りの禁漁区間があることである。毎年、11月1日〜3月31日は、地元の漁師しか魚をとることができない。甑島伝統のパン粉漁法を守るためである。4月1日になると、一般釣り人にも開放される。半年の間、一般釣り人が入らないため、魚も驚くほど釣れるという。毎年のことだが、この時期をめがけてクロ釣り師や石鯛師が九州各地から押し寄せてくる。

 


下甑 手打全景

西   磯


早崎のハナレ
i 手打西磯の中で人気実力ともにナンバーワンの磯、早崎のハナレ。特に春の尾長、石鯛では抜群の型と魚影を誇る。

早崎の地
 早崎のハナレのすぐ近くの地磯が早崎の地。シモり根が点在し、足場が悪いので魚とのやり取りには十分注意が必要。沖の本流に引かれる潮が流れだしたらチャンス。尾長もあたってくるのでワンランク上のの仕掛けを準備したい。


三角
早崎のハナレの北向きに位置し、ここの潮通しがよく、尾長や口太が当たってくる。沖向きを潮の本流が洗う場所で、本流が当たらないところの反転流が狙い目。撒き餌がたまり、クロの数釣りが期待できる。足場が狭く、渡礁の際には十分に注意したい。


大介
写真説明

ハシカケ
 名礁「大介」の南に小さなハナレ瀬が点在している地点の突き出た地磯が「ハシカケ」だ。先端のコブのようなところから釣る。沖に向いて左方向(上村瀬)に流れるときがチャンス。ここも大型の尾長の期待大の磯である。口太は足下がオーバーハングになっており、撒き餌に浮いてくる。また、先端の釣り座から左側竿1本先も口太のポイント。45cmクラスが喰ってくる。沖で魚をかけたら、20m先に浅い沈み瀬があり、魚がそこに逃げ込むので気をつけよう。

断崖
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上村瀬
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下村瀬
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野崎
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白鼻
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赤鼻
 ポイントは、白鼻向きの船着けと地磯伝いに沖に向かって左手方向に歩き、滑り台のような斜面を下りたところもポイント。後者は、急な斜面だが、ロープが取り付けてあるので、安全に下まで降りることができる。そこはワレになっており、足下の左右が根ですり鉢状になっている。ここは、凪の日でもサラシができ、サラシを好む口太の好ポイントになっている。根がきついため、掛けたら一気に浮かせるようにしよう。他にもたくさんのポイントがある。

灯台下
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長瀬
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シモオサン瀬
 手打湾の西の沖にぽっかり浮かぶやや横に長い瀬がシモオサン瀬と呼ばれている。上げ潮がよく、西磯方面に潮が動くと尾長、クロなどの数が出る。石鯛の魚影も濃く底物師にも人気の瀬となっている。


東   磯


中のオサン瀬
 下甑島の最南端に位置するオサン瀬一帯は、潮通しがよく、一年を通して魚影が濃い。上げ潮が沖に向かって右に、下げが左に流れる。底物は、地のオサン瀬との水道側、西の先端で実績がある。上物は、水道側でもよいが、特に冬期に南向きのワンドで大釣りが頻繁に見られる。梅雨グロ期では、西側の石鯛ポイントでも尾長のあたりが出る。

沖のオサン瀬
 沖のオサン瀬は、潮通し抜群。上げ潮が南の先端に流れると南の先端の先でクロが喰う。下げに入れば、南向きに釣り座を構える。手前から流していくと、口太だけでなく、潮次第では、青物や大型の尾長のあたりも出る。石鯛の魚影も濃い。

地のオサン瀬
 中オサや沖オサほどではないが、ここも潮通しがよく、シモり根が点在していて、クロや石鯛の魚影が濃い。ポイントもたくさんある。

黒瀬
 手打湾の東端の地磯、岩肌が黒いためか「黒瀬」と呼ばれている。先端が鼻になっており、ポイントは鼻の左のワンドと鼻の右の釣り座である。左のワンドは足下に丹念に撒き餌をして喰わせるのも足下。潮が右沖に流れだすと、右の釣り座で勝負するとよい。うまくいけば入れ食いに遭遇できる。

ハナミ瀬
 手打港から右に舵をとり、しばらく走ると小さな独立礁が見えてくる。これがハナミ瀬。沖向きの駆け上がりになっている斜面が釣り座。上げ潮で石鯛が、下げでクロが狙い目だ。

ミツアナ
 手打湾から左に舵をとり、しばらく走るとでこぼこした海岸線が続いている。そのひとつにミツアナというポイントがある。東側の船着けと裏の下の段に降りたワンドもポイント。裏は水深があり、デカ版が釣れるポイント。

双子瀬
 ミツアナより更に東に走ると、2つのコブののような小さな独立礁が見える。これが双子瀬だ。船をつける沖向きの釣り座もよいが、裏の水道の方が実績が高い。水道を潮が通せば、引かれ潮に乗せていくと、水深は浅いわりにデカクロが釣れる。上げ潮のほうが実績が高いようだ。釣り座は海に向かって斜めに下がっており、足を滑らせないように注意が必要。

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