9/23祝 秋磯シーズン開幕 北浦

9月23日。一足早く秋磯シーズンを満喫することにした。uenoサンとの年間計画にはない釣行である。なぜ、急遽この日に釣行になったかというと、台風のせいということになる。9月にはいりシブ、タバメねらいの夜釣りを計画していた。

その週の土曜日に釣行を予定していて、月曜日、「この日に台風が発生しなければ、大丈夫だね。」と余裕で新聞の天気予報の天気図を見ると、1006ヘクトパスカルの台風が発生していた。おいおいとこの時はまだまだ余裕だったが、翌火曜日は、990ヘクトパスカル。水曜日は960と徐々に勢力を増していった。

そして、木曜日に会議に来ていると誰かが、「台風がまた宮古島に来るげな。」「そんなばかな。」事実、その後その台風は14号となり、沖縄に接近した台風の中では30年ぶりの超大型台風に成長していた。宮古島では最大瞬間風速71.4メートルを観測していた。こうやって当然のごとく1回目の夜釣りは断念した。

こりもせずに、その1週間後の土曜日に再び夜釣りを計画したが、全く同じパターンで今度は台風15号でおじゃんに。釣行予定である誠芳丸に電話を入れると「予約が入ると台風ですわ。」とお手上げ状態。新聞やテレビでは台風の被害を人家を中心につたえているが、遊漁業関係者にも打撃を与えることを知ってほしい。

悔しさいっぱいの中で、15号の後の時化後の一発をねらって,一足先に秋磯シーズンということになったのだ。3週間も釣り竿を握っていないueno氏を誘って相性のいい宮崎県北部に位置する北浦を開幕戦に選んだ。

前日の午後9時に人吉盆地を出発。午前1時に北浦古江港に到着。仮眠をした後、約束の午前5時に荷物を積み始めた。地元釣り師のSさんが不吉な一言を。「今日の波じゃ湾内かも。」

そんなバカな。北浦には大きく分けて沖磯と湾内の磯がある。沖磯は、沖の二つ、中のハエ、青バエなど九州でも名の知られた名礁が点在している。それに対して、湾内の磯は小さいサイズしか臨めず、沖磯とは比較にならないほど魅力に欠ける磯だ。不安いっぱいで古江港を出発。沖に出てみると、意外に船は揺れなかった。だいじょうぶだよとたかをくくっていたら、エンジン音が急に緩やかに。

「えっ、もう着いたの?」船長がライトを照らしている。その明かりでそこが烏帽子であることがわかった。しかし、そこの海の状況を見て愕然とした。烏帽子の本来の釣り座が完全に波をかぶっていた。こりゃ絶対に湾内だとあきらめたその時、船はその瀬に瀬付を始めた。

ばっかん、ばっかん揺れる中で必死に船を付けようとする菊地船長。瀬付の技術はハイレベルのものを持っている船長だが、それでもこの台風のうねりは半端じゃない。何とか私と上野サンと地元釣り師2人の合計4人を乗せた。すでに夜明けを迎えていたが、景色が明るくなればなるほど、海の状況の悪さを認識することができた。

中潮で満潮が午前4時ごろのため、やっと下げに入ったところなので仕方がないのかもしれないが、一番のポイントの先端部分は波の下に。そこから全ての釣り座が波にあらわれていた。釣りができそうもないので、仕方なく7時過ぎまで竿を出さずに釣り談義に花を咲かせた。

ようやく潮が引き始めたが、時折ビッグウエイブがやってきて我々を襲った。こういう時は自然に敬意を表するしかない。釣りは命をかけて遊ぶものではない。ウキを見るより、いつやってくるとも限らないビッグウエイブからどう避難するかに気を取られる釣りとなった。

ueno氏は好調でコッパや手のひらサイズを次々に釣っていった。眼下の海はまるで洗濯機の中のように真っ白。どこに仕掛けを投げていいのかわからない状況であった。しかし、9時、10時と干潮に近づくと潮も引き安心して釣りができる時間になった。

そのチャンスタイムをuenoサンは逃さなかった。31センチの口太をゲットした後更に強い当たりが。慎重なやり取りをして浮いてきたのは40センチの口太であった。この状況の中で釣るには難易度が高すぎる。私も12時ごろやっとで手のひらに混じって30センチの許せるサイズを釣りほっとした。こういう状況の時は半遊動が有利という結論に達した。地元の人が遠投して竿一本のタナでイサキの40弱を釣り上げていた。この時期にこのようなサイズが釣れるのはさすが北浦の実力と言うべきか。釣果には恵まれなかったが、楽しくスリルいっぱいの釣りを満喫し、秋磯の開幕を謙虚に宣言するのであった。



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