8/21 夏休み筏シリーズ 芦北平国 天草龍ヶ岳

今年は台風の当たり年だ。5月から発生した台風はすでに現在17号に。モンスーン気候は資源の乏しい日本に台風という贈り物によって、農作物が豊かに実るための水を与えてくれる。しかし、台風のおかげで、涙を流さなければならない農家の方も多いはず。また、他にもこの台風のおかげで涙を流している輩がいる。磯釣り師である。

彼らは、この夏の時期に夜釣りという最も快適でドキドキさせられる釣りを楽しみにしているのだ。しかし、こう台風が続いては、お目当ての離島を含めた磯にはあがれない。台風が発生すると、フィリピンのルソン島と同じ緯度に来て発達すると、うねりが九州までもやってくる。台湾と同じ緯度まで来ると、波の高さはうねりを伴って3〜4メートルとなり船止めとなる。「予約が入ると、台風でしけですわ。」どこかの船長が吐き捨てるように釣りナビに思いをぶつけていた。

わかってはいることだが、我々は自然に逆らうことはできない。自然に逆らったものの中には命まで落とした人間もいると新聞で報道されている。自然に対して畏敬の念を抱きながら、磯釣りはあきらめざるを得ないのだ。uenoさんには、そんなときには、パチンコという芸当がある。「この前、都城で6万勝ったばい。」私もかつてパチンコに熱を上げていたが、釣りを始めるといきなりやる気を失ってしまった。

例えば、確率変動。つぎに大当たりが必ずやってくる。これほど、つまらないものはない。特に最近の台は、やたらに画面の工夫がいっぱいでかえって魅力がない。ボタンを押したら必ずその通りになる、つまり、0と1の配列でできているコンピューターといっしょにあそぶということがとてもつまらなく思えてきた。

そして、パチンコをしていると、その時間がこの上なくもったいなく感じてしまうのだ。(ちなみに、学生時代いやというほどやっていた麻雀もやはり時間がもったいないという理由でやらなくなった。)また、お金も馬鹿にならない。パチンコに使うお金があるなら、魚のえさに使った方がいいとこう考えてしまうのは、明らかに自分が釣りバカであることを証明しているね。

そこで、私はそんなときは何とか釣りはできないかと考えるのだ。そんな中で思いついたのが、堤防や筏での釣りである。対象魚はチヌ。春先に産卵を終えた彼らは、水温の上昇とともに元気を取り戻し、体力回復のために盛んに捕食活動を行う。地形的に入りくんだ海岸線の奥や、大きな河口などで大規模な汽水域を持つ場所を好み、そこにいるエビやカニ、虫などを食べる。中には、人間の食べ物の残りなども食べる。さなぎやコーン、そして、ポカン釣りといわれるスイカまでも餌になる。

元気を取り戻している証拠に堤防につく堅い殻を持つイガイなども好んで食べる。人間の生活域にいるとても親しみやすい反面、マダイのような上品な体型と食味をもった矛盾をはらんだ魚。それがチヌという魚の面白いところだ。この季節、型はあまり大きいものは期待できないが、数が出る。また、9月〜10月に産卵を控えた乗っ込み中のキビレチヌもよく釣れる。

そんなチヌの行動とともに元気を出す種族がいる。掛かり釣り師である。通称、ダゴチン釣りとも言われるこの釣りは、筏の上から集魚効果のあるダンゴでさし餌をつつみそのまま落として魚を寄せ、素早く餌取りの層を突破し、ダンゴが割れたときに本命のチヌにさし餌を食わせるという釣法である。

ウキを使わず、道糸の変化、あるいは穂先の変化であたりを取る。ダンゴ(ダゴ)でチヌ(チン)を寄せて釣るからダゴチンというらしい。いつかは、やってみたい釣りである。また、起源は違うと思うが似ている釣りに紀州釣りというのがある。掛かり釣りと同じく夏場が盛期となるこの釣りは、関西地方が発祥の地らしい。同じようにさし餌をダンゴ包み、ダンゴを投げてポイントを作り、餌取りからさし餌を守りウキの変化であたりを取る。ダゴチンと似ているが、この釣りは堤防が中心となるためか、2枚潮になりやすい深場はやはり不利ではないだろうか。筆者は、紀州釣りならしたことがある。紀州釣りができる筏と言えば、水深があまりないところ、しかも潮通しがよい場所を選ばなくてはならない。

芦北郡津奈木町平国の釣り筏天龍はもってこいの釣り場だ。水深は約15メートルほど。近くに養殖筏があり、そのこぼれ餌にチヌが居着いている。そのチヌを釣ろうという魂胆である。例によってつり福のおばちゃんにダンゴを予約し、午前6時に平国港に到着した。すでに第1便は出た模様。第2便で筏に向かった。屋根付きの養殖筏に一番近い筏には先客で満員。その南側に2つある筏のうちいけすに


平国沖向きの筏

一番近いところは先客がおり、ダゴチンの中に紀州釣りが混じると迷惑になると思い、誰もいない沖向きの筏に乗ることにした。

8月21日(土)小潮前の最後の中潮。満潮が11時47分。ダゴチンにはかなわないが何とか2,3匹拾いたいなと仕掛け作りに入った。竿はダイコーの強豪1号53。道糸2.5号、ハリス1.25号。ハリはチヌバリ3号ちもとにG4号のジンタンをかみつけた。潮は平国防波堤方面へ緩やかに流れている。いい潮だ。隣の筏では次々に竿が曲がっている。そのたびにかわいいメイタが釣り人を歓喜させていた。人は人自分は自分。遠矢ウキ超遠投(中)を見つめていた。

午前10時過ぎ、潮が南側に変わるとウキのトップが一目盛り押さえ込まれた。来た!鋭くあわせを入れると、餌取りでない重量感が伝わってきた。あがってきた魚は銀輪に輝くメイタだった。更に続けてもう一枚31センチを追加したところであたりがなくなった。

11時過ぎきらきら輝くサヨリの群れを眺めた後、午後1時頃再びウキが一目盛り押さえ込まれた。あがってきたのは、25センチのメイタ。ダンゴがなく


平国釣果(25・27・31)

なったので、午後2時に納竿とした。ウキであたりを取る練習だから、まあいいか。遊んでくれたメイタくんに感謝しながら、平国を後にした。

8月23日、uenoさんとかねてから行こうと考えていた龍ヶ岳のだいわ観光の筏に行くことにした。ここでは、水深が30メートル以上あり、紀州釣りは困難ということで、船釣りと同じ胴突きかご仕掛けでマダイねらいとした。

くじ引きで最下位を引いた我々は、屋根のない筏に乗せられた。しばらくして、1980円の竿を折ってしまい、戦意喪失。水面には木っ端グロが沸いていた。アジやまた、ブリなどの青物の回遊もあった。しかし、大きな当たりがあったuenoさんだったが、私とともに惨敗を食らうことに。午後1時頃に養殖いけすに餌が入れられてからは全く当たりが遠のいてしまった。ガックリ!ごめんね、宮川船長!


惨敗楠森筏(だいわ観光)あきらめきれないuenoさん

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