9/19 釣れてこそ釣りは楽し 硫黄島

今年はどうやら台風の当たり年らしい。もうすでに7つの台風が日本に上陸している。8月30日、9月7日には、九州に2つの大型台風が上陸した。特に2つめの台風の風は半端ではなかった。全国各地でかなりの被害をもたらした。

台風ははっきり言って嫌われ者だが、モンスーン気候地帯である日本にはなくてはならない存在なのだ。台風のまとまった雨は日本にとっては実は恵みの雨なのだ。小学校の理科の教科書には台風はどのようになっているかというと恵みの雨をもたらすという表現は出ていない。つまり、学校では台風は被害をもたらす悪者と教えられているということである。真実を教えなければならない学校で、あるものごとの一面だけを教えるというのはいかがなものか。目に見えることだけにとらわれて見えない大切なことが忘れらてはいけないと思う。

大漁
金子みすず
朝やけ小やけだ
大漁だ
大ばいわしの
大漁だ。

はまは祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
いわしのとむらい
するだろう

この詩は、見えない世界をしっかりとらえていくことの大切さを教えてくれる。政治の世界でも同じようなことがある。南米外遊で日系人の歓迎に涙した小泉首相だが、見えないところで涙を流している人たちもいる。

ヘリ墜落問題で日米地位協定により不安な毎日を過ごしている沖縄の人たちである。日本の総理大臣の行動は、彼が何をこそ大切にしたかがよくわかる。多くの国民が、沖縄の人たちをほっといてこの時期になぜ南米に行ったかが理解できなのではないだろうか。

また、どこかの市長の言葉、「球磨川は暴れ川です。」ダムを早く造りたいからといって川という自然を一面的にとらえようとするのもいかがなものか。命や自然を粗末にする者はいつかしっぺ返しを食らうのではないかと思うのだった。

しかし、見えないからこそ見えない世界をイメージしながら、命や自然と握手したいと願う輩がいる。夜釣り師である。台風の当たり年とバッドハンドにより成果なしの夜釣りシーズンを終わろうとする筆者に最後のチャンスが回ってきた。8月後半から9月中旬にかけて、台風、秋雨前線による海況不良により1ヶ月近く出航していないという硫黄島行きの黒潮丸に夜釣り最終戦の命運をかけることに。

9月19日(日)下り中潮最終日。南よりの微風。波の高さ1.5メートル。ここ1ヶ月では最高の海況である。これは行くしかない。台風により50万匹の養殖鯛が逃げ、マダイが入れ食いの天草御所浦の誘惑を振り切って、午前11時過ぎに人吉を出発。今回の対象魚はもちろんシブダイ、タバメなどの高級魚。餌は、キビナゴのトロ箱、サンマをつけ餌として予約。

今回は乗る瀬も予約した。その名は「タジロ瀬」。前回、ほとんどの釣り師が苦杯をなめた惨敗の日に唯一釣れていた瀬で、小さいながらもシブ、タバメなどの高級魚がたくさん釣れていたところである。「ここはね、湧き出る温泉のおかげで水温が安定しているんよ。今度くるときは予約するといいよ。」船長のやさしい言葉をひたすら信じ待ち続けようやく再び硫黄島行ける喜びは言葉にできないほどであった。

午後2時半に枕崎港に到着。3時前に港を離れた。乗客は我々を含め9名。かなり少ない。横になっているとあっという間にあこがれの硫黄島に到着。まず、どこかのアラ会の方が硫黄島北側にあたる鵜瀬のハナレに上礁。次に、平瀬に2人上礁。永良部崎に2人、そして、いよいよ我々の番だ。長浜浦(硫黄島港)を過ぎ、島の南側へと移動して、遂に来た。あこがれのタジロ瀬。相変わらず潮の色は濁ってる。海底から湧き出ている温泉は健在だ。速やかに上


ああ 憧れのタジロ瀬

礁を済ませ、磯の状況調べにかかった。

釣りができそうなところは2カ所。硫黄島の中では抜群に足場がいい。おまけに手前からドン深なので取り込みやすく、釣りやすい条件が整っていた。これで、魚がいてくれれば万々歳なんだけどな。

釣り座は、沖に向かって、右側にuenoさん、左側に私となった。2人ともフカセ釣りが基本だが、状況を見てブッコミをやる計画だった。私のタックルは、ダイワのブレイゾン遠投5号に、シマノの6000番のリール。道糸シーガーの磯10号、ハリスは、シーガーエース8号。仕掛けは、釣研尾長スペシャル1号のウキに0.8号の水中ウキ、ハリはマダイバリ11号。ハリから30センチ上にルミコを取り付けた。

ところがいきなりのトラブル発生。竿の先端にケミホタルをつけようとしたところボキッ。穂先を折ってしまったのだ。がっくり。しかし、ここは硫黄島。こんなことで釣りを断念するわけにはいかない。穂先を折った状態で意地でも釣りをすることにした。

5時半頃には仕掛けが完了。撒き餌をしばらくして釣り始めるが、魚の気配なし。やっぱり昼はだめかなと思っていたところに、uenoさんの竿にいきなりの強い当たりが来た。ものすごい力で手前につっこんだ。ただならぬ雰囲気を感じた私は、uenoさんのサポートに回った。「竿が立たん。」uenoさんがうなっている。私も玉網を置き、一緒に竿を持って踏ん張った。半端な引きではない。そのうちやつは横走りし出した。「あれっ、シブなら横走りしないはずだけど。」と考えているうちに痛恨のバラシ。10号のハリスが飛んでいた。後で船長にこのことを報告したら、「きっと青物やろね。ギンガメのでかいのかもね。」だって。私も俄然やる気になったが、そのバラシを後にアタリはまったく途絶えてしまった。

夕まずめが終わり、あたりはあっという間に暗くなってしまった。それまでは、沖に向かって右に流れていたのだが、左に流れ出したのだ。満潮は午後10時頃なので、今が一番のチャンスタイムなのに全く釣れない。

不安がよぎった午後7時半頃、uenoさんにシブがヒット。早かった潮が緩んだ時に食わせたらしい。これは何とかしなくちゃと焦る私にもやっとで当たりが来た。振りあげてライトを当てて魚を確認すると、何とシブではないですか。28センチくらいの小ぶりのシブだが、久しぶりの獲物にほっと胸をなで下ろした。ルミコの状態から、仕掛けが落ち着いていなかったので、矢引きのところに3Bのガン玉をつけたとたんに食ってきた。当たりは渋かった。ウキはゆっくり消し込んでも餌を離したりするし、当然早合わせでもだめ。ウキが消し込んで見えなくなるまで待って、竿引きで当たるまで我慢しなければならなかった。竿引きできたとしてもばらしたりとなかなかうまくいかなかった。

シブを3枚くらい釣ると今度はいろいろな魚が当たってきた。まず、銀色に光って、しっぽが黒く、ややとがっている。でたあ、イスかあと思ったが、あがってきた魚は、何とメアジだった。程なく、ヒラアジをゲットすると、今度は、アカマツカサに混じって、キンメという高級魚があがってきた。瀬際をねらっていると今度は、ホウセキハタが連続で当たってきた。ハタは35〜38センチほどなので余り引かなかったけどね。

満潮を迎えると当たりは遠のき餌だけがとられる状態が続いた。サンマでは餌が持たないので、枕崎のスーパーで買ったイカをつけ餌にするといろんな魚がヒットした。uenoさんは餌をサンマで続けたが朝になるとオキアミボイルに換え、シブを入れ食いさせていた。小さいながらも、合計シブは14匹釣ったそうだ。

私も、朝の4時頃から、再び魚をかけ始め、メアジ、ヒラアジ、シブ、クロシブなどをゲットし、何とか2桁に乗せた。夜が明けた。朝になったということで、ハリスを2.5号に落とした。4号か5号にすればよかった。遅かった。連続で4回の強烈な当たりにバラシ。2キロくらいならあげら


ありがとう!タジロ瀬

れるとおもったのに。悔やんでも悔やみきれない朝まずめの釣りとなった。ウミガメとウミヘビの歓迎を受けたところで朝6時45分に釣りをやめ、磯の掃除と後かたづけにかかった。

そのついでに、uenoさんが「こりゃきもちわるかもん。」とある赤い魚を海に捨てていた。やめた方がいいのにと止めたのに。後で船長に聞くと、「えっ、みんな釣りたがっているキンメという魚だよ。なんてことするんかい。」とあきれていた。魚は見た目じゃないよね。確かに、あごが発達していて、目が大きくグロテスクかもしれないが、家に持って帰って食べてみたが、これが美味。塩焼きにしたが、まるで、海老の塩焼きを食べているような味がするのだ。uenoさん残念でした。

さて、回収の船に乗り込むとどの磯でも好調のようで、でかいのも数も出ていたようだ。久しぶりの出航で、お魚さんもおなかが減っていたのかもしれない。uenoさんはシブ14枚、キンメ3枚、ヒラアジ・メアジなどで20枚近く釣っていた。私の釣果も夜釣りでは今までで最高の数釣


タジロ瀬釣果

りとなった。もう夜釣りは思い残すことはないねといいながら帰路についた。ああ楽しかったな。やっぱり、釣りは釣れてこそ楽しいね。今度は、冬の時期に挑戦したいですね。大満足のuenoさんとともに釣り談義に花を咲かせながら車を走らせた。

シブダイ4枚
アコウ(ハタ)2枚
クロホシフエダイ1枚
ヒラアジ3枚
オジサン1枚
キンメ2枚
メアジ2枚
ヨスジフエダイ4枚
ノコギリダイ1枚
合計20枚

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