9/27 ごめんなさい 天草龍ヶ岳

釣れてこそ釣りは面白いと思うのだが、あまりにも簡単に釣れてしまうのも面白くない。

9月27日(月)、この日は運動会の翌日の代休日。同じく学校が休みの我が遺伝子を受け継いでいる息子やすしを連れて釣りに行くことにした。我が子には何としても釣りの面白さを味わってもらいたいと必ず釣れるところにいかなくちゃ。でも釣りの世界に必ず釣れるところはないと釣り人は言うだろう。ところが、必ず釣れるところがあるんだからしょうがない。

9月7日の大型台風で50万匹とも80万匹とも言われるくらい大量の養殖鯛が逃げた天草御所浦へ行くことにした。「この前、船で釣りに行ったら、2時間で1船70枚釣れたよ。もう釣ってもしょうがないから帰ってきたばい。」JRに勤めている組合の仲間がこんな話を聞かせてくれた。

この話をよだれを垂らしながら聞いていた私は、天草行きを決意した。養殖業者の皆さんには大変申し訳ないけど、一日釣ってまあ2,3枚釣れたらやったねの世界のマダイ釣りで入れ食いなんてそうあることではない。めったにない、いや、もう一生こないかもしれない。絶対行くぞ。

気がついたら携帯で龍ヶ岳の池の浦港発のだいわ観光に予約していた。「5時にきてください。」このマダイフィーバーで連日お客さんの対応に追われている宮川船長。私が2日前に予約していたのもお忘れになられていた。

携帯サイトでは、台風の前は、1人1枚から6枚くらいの釣果、もちろん坊主ありの世界から、台風通過後は1人40枚から50枚、だいわ観光の客で一日合計1000枚というとてつもない非現実の世界へと変貌していた。これなら、マダイ釣り初心者の私にも付け入る隙がありそうである。「えっ、2時出発?なにかんがえているの?」と愛する女房からは怒られるが、釣りバカのスイッチが一度入ったらもう仕方がない。

運動会でくたくたのやすしを乗せて午前2時に人吉インターに入った。山本釣り具センター大矢野店で安売りの船竿を買って、午前5時前に池の浦漁港に到着。ところが、平日にもかかわらず、マダイフィーバーの威力はすごい。いきなり、楠森筏行きの船は満員御礼。

船長から「今日は、横島筏です。右の船に乗ってください。」と言われ、「大和観光」と書いてある船に乗った。遅れた客がいて、5時45分頃港を離れた。横島筏は港を出てすぐ右へ行き、養殖筏が無数にあるところについた。客は、10名位か?私は、四つある筏の中で養殖いけす側から数えて3つ目の筏に乗った。水深は何と15メートルくらい。先日乗った楠森筏に比べてかなり浅い釣り場だ。島の岸からも近く、見た目にはあまりパットしない筏だ。こんなんで釣れるんかいな。

半信半疑で仕掛けを作り始めた。みんな仕掛け作りに集中していた。大潮初日。潮が速くなることが予想されたが、今のところそれほどでもないようだ、今がチャンス。仕掛けを作ると、早速釣り始めた。

おっ、いきなり隣のにいちゃんが、魚をかけた。あがってきた魚は見事なキロクラスのマダイ。タモを準備せずに釣り始めたので、タモがない。隣になった縁ということで、タモで救ってあげた。程なく自分の竿にもアタリが来た。20号の船竿に10号道糸。ハリス4号、11号のマダイハリの胴付仕掛けに25号のおもりをつけべた底から始めた。あがってきたのは、背びれに毒のあるゴンズイくん。やさしく海にお帰り願い、第2投。これまでの実績からここのマダイ釣りは朝まずめが最大のチャンスであることを知っている筆者は、必死で釣り始めた。

さあ食え、と願っていると、いきなりクッ、クッという前アタリから、向こう合わせで魚が食ってきた。やや首を振るこの引きはマダイと確信した。海底から螺旋の軌跡を描いて浮いてきたのは、1.5キロはありそうな見事なマダイであった。餌はオキアミ生。

餌取りの多いこの時期にこんなに簡単にマダイが釣れていいのだろうか。感慨に浸りながら、ペンチでハリをはずしていると、「お父さん、きたあ!」やすしの只ならぬ声がした。息子の釣り座に行ってみると、がくっ。なんと、1980円の船竿が折れているのではないか。

仕方がないなあと仕掛けを回収しようとすると、道糸に生命反応が。慎重にやり取りをして浮いてきたのは、やはりキロオーバーのマダイであった。おめでとう、これが息子が初めて釣ったマダイと言うことになった。2匹になったところで、私の携帯が鳴った。「yasuは元気にしてる?」この頼りない旦那に一人息子を任せることになった母親の心境は理解できた。「2匹釣れたよ!」大喜びで母親に釣果を報告。これで家の母ちゃんも少し安心して仕事に出かけられるだろう。

潮は、横島方面へと緩く流れて、養殖筏から遠い我々の方が有利な状態であった。今のうちに釣らなくちゃ。7時半までに、6枚釣り上げた。「餌取りのカワハギが多いので生ミックを持って行ってください。」半ば強制的に餌を買わせた宮川船長の言動の意味はまだこの時点ではわからなかった。さあ、7枚目だとがんばるが、アタリが遠のいていった。磯エ


こんなの初めて胴付仕掛けにダブルで

ビ、本虫などを試して見たが、アタリなし。そこで、底3メートルから5メートルに変えて仕掛けを投入すると、いきなり食ってきた。重い、いったい何だ。あげてみると、何とこんなの初めてキロクラスのマダイが胴付仕掛けにダブルでかかっていた。となりのお兄さんが、「こんなの始めてみました。」

しばらくつっているとパターンがわかってきた。潮が緩いときは、比較的浅いタナ(底から3〜5メートル)で食い、深い層には餌取りのカワハギがわんさかいるので餌が持たない。潮が速くなると餌取りは消え、べた底で食うようになるということだ。7時半ですでに8枚の釣果を得ていた。これだけ釣れるとyasuも飽きてきたみたいで、一緒の筏に乗った小学生とお友達に


釣りに飽きて心はマンガ本へ

なり、その子と遊んでばかりいた。

8時半ごろになると今度は潮が朝とは反対に流れ出した。養殖側に流れ出したから、今度は養殖筏側に近いところの釣り人の竿が曲がり始めた。餌取りのカワハギの活性が高くなってきたので、餌を生ミックに変えて釣り始めた。すると、8時過ぎに、2枚のマダイをゲット。10


入れ食い警報発令中 横島筏

枚になり、潮が一段と速くなり釣りにならなくなったので、午前9時半に釣りをやめて納竿とした。釣り初めて3時間しかたっていない9時半にもういいと釣りをやめたのは初めてだった。後は、船が迎えにくるまで、釣り談義に


38cmから47cmまで10枚 カワハギ少々

花を咲かせていた。横島筏では、1日粘って20枚くらい。2から3枚くらいに終わる人もいた。胴付・天秤どちらでもよく、ダゴチンは不利であまりあがっていなかった。餌は沖アミ生がよく、餌取りが増えてきたら生ミックに変えるとまた食いがよくなった。本日は、だいわ観光の客の合計で250枚くらい釣れていたそうだ。台風後の1000匹


カワハギの肝に目覚めたyasu

とまではいかなくなったが、まだまだ釣れるように思う。

うちに帰って、魚を配った。親戚に、両隣にとマダイフィーバーを堪能してもらおうと思った。さばいて、刺身にしたり、マダイの炊き込みご飯を作ったりした。おいしかった。養殖まがいだから、きっとおいしくないだろうと思っていたが、とんでもない。

外海の天然物にはかなわないと思うが、養殖マダイというより、天然の味がした。カワハギも揚げ物にしたり、肝醤油でうすづくりを息子には堪能してもらった。でも、心のどこかにひっかかるものがある。養殖業者の皆さんごめんなさい。そして、釣りすぎてごめんね。

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