10/2 マダイフィーバーの黄昏 天草龍ヶ岳

「来週のピアノはありません。」息子のピアノの先生が電話口で明るく答えられた。毎週土曜日は、息子のピアノの日。10月2日(土)は、うちの母ちゃんは運動会の準備で勤務。前回のマダイフィーバーで味をしめた私は、この日にyasuと釣りにと考えていたのだが、ピアノが防波堤になっていた。

ところが、ピアノという障害物がなくなった釣りバカに釣りに出かけない理由はなくなった。「横島筏なら空いています。10月から集合時間が6時になりましたので宜しく。」このところのマダイフィーバーでお客さんの対応に追われ困惑気味。だいわ観光宮川船長の明るい声が帰ってきた。「yasu、釣りに行くぞ。マダイば釣らんばね。」釣りに誘っても必ずほいほいついてくる我が息子。いったいいつまでこの子は私の釣行についてきてくれるのであろうか。かわいい寝息を立てている息子を見ながら私も寝床についた。

午前2時半に家を出発。いつものように高速道路を走り、慣れない夜の天草路をひた走って午前5時半に龍ヶ岳池の浦漁港に到着。港についてびっくり、この人だかりは何だ。9月7日の台風以降、釣り人の異常発生は予想以上。

「あの、横島筏は何人くらい乗るんですか。」船頭に聞いてみると、「今日は、13組の28人です。」マダイフィーバーもこのところ下火で、当初は1メートルのタナで食ったよ。100枚釣った人がいたよ、だったのに、最近は、釣る人20枚、ボーズはほとんどなしくらいに変わっていた。それでも、ここまでマダイ釣れるところはおそらくないのでは。「魚の数より釣り人の方が多いんじゃないの。」とぶつぶつ言いながら、船に乗り込んだ。

ここだいわ観光のシステムは安心だ。船から降りて早い者勝ちではなく、事前にくじを引き、宮川船長が1人1人「○○さん、あなたはここです。」と釣り座を決めてくれるのだ。当然、1番くじを引くと養殖いけすに一番近いつまり実績の高い釣り座になる。私が引いたくじは、7番。がっくり。最悪ではないが、いい場所には乗れそうもない。まあいいか、たのしくやろうぜ。

船は、午前6時30分に港を離れた。28人だから、2隻で運んでいる。楠森筏は2番船のようだ。筏につくと、船長の指示で次々に釣り座が決まっていく。私の釣り座は、いけす側から四つ目の筏の真ん中


マダイフィーバーで超満員 横島筏

の場所となった。餌はオキアミ生2角、アミ半角。付け餌は、オキアミ生と餌取り用の生ミック。マダイ胴付かご仕掛けハリ11号、ハリス4号。竿は、20号と30号の船竿を用意した。

潮はほとんど動いていないようだ。7時前にはほとんどの人が釣り始めていた。潮が動いていないのか、どの釣り人の竿も曲がらない。この前は確か、すぐに誰かがマダイを釣り上げていたのに。第1投をあげてみる。なんと、餌がすべてうまく取られていた。第2投も同じ。かなりの餌取りがいるうようだ。前回はカワハギがたくさん居たのだが、何が餌取りかはこの時点ではわからない。

もうすぐ7時というところで、一番いけすから遠い5番目の筏でキロサイズのマダイがあがった。しかし、それだけで後が続かない。前回は潮が動かない時は、タナが浅かったよな。第4投も餌取りにかすめとられていた。今回は、苦戦するな。オキアミが通じないことを悟った私は、付け餌を生ミックに変えた。すると、クックッという小さなアタリから一気に竿先を絞りこんだ。やや竿を叩きながら、首を振る独特のこの引きは、予想通りのキロオーバーのマダイ。やったね。今日の当たり餌は、生ミックかな。28人中、3番目のボーズ逃れはとても気分がよ


ひとりでできるもん

かった。マダイの地合かな。と思いきや、中々入れ食いモードとはならない。ぽつぽつとあちこちでマダイがあがり始めた。場所でムラがあるというより、どこでも満遍なく当たりが来ているようだ。

7時20分頃、今度は、やすしに2本目の竿を持たせた途端にその竿にマダイが食いついたらしく、竿をいきなり絞り込んだ。早速釣り上げた。これも43センチほどの良型だ。2匹釣り上げてところで、母ちゃんからрェきた。「yasuは元気?釣れてるの?」釣果を報告して、さあ仕切り直し。

今日は、どうも潮の動きが今一だ。魚の反応が鈍い。釣ったマダイも皮一枚というのが3枚。楽しみにしていたサヨリの回遊もないし、カワハギもポツポツ程度だし。厳しい状況の中8時半頃までに何とかマダイを4枚釣り上げたところで、当たりがなくなり、ついでに生ミックもなくなった。生ミックを追加注文するも結局持ってきてくれたのは、納竿1時間前の10時半、おいおい。

それまで、オキアミ生でやるしかない。しかし、1匹かけるもバラシ。今日はどうもオキアミでは食いが悪いようだ。5番目の筏の釣り人が好調で7,8枚くらい釣っていた。餌は朝鮮虫のようだ。胴付仕掛けだが、隣の釣り人は天秤仕掛けに変えていた。天秤仕掛けを持ってくればよかったなと悔やんでいると、置き竿にしていた30号の船竿がまるで石鯛の宙づり仕掛けの当たりのようにいきなり強い絞り込みを見せた。

隣のおじさんが教えてくれて急いで竿を持った。ものすごい力だ。マダイならものすごい大物だ。しかし、そいつのトルクはすさまじく30号の竿を信じられない角度で「つ」の字に曲げた。しかし、こちらは道糸10号だ。何とか耐えていると、そいつは急に横走りを始めた。えっ、もしかして。気づくとバラシ。うーん、残念。「青物でしょう。」隣の釣り人が声をかけてくれた。こんな島に囲まれた海にまででかい青物が回遊するんだね。感心しながら仕掛けをあげると案の定ハリが折られていた。

その後、何とかがんばるもののマダイ4枚にカワハギ1枚を追加しただけで、午前11時半に納竿とした。他の釣り人もだいたい3枚から5枚くらい満遍


横島筏釣果

なく釣れていた。「つれましたかあ。」例の調子で宮川船長が釣果を聞きに来た。この船長は顧客第一主義を貫いている1人だ。前回も「どうでしたか。」「10枚釣れました。」「えーっ、よかったじゃないですか。」まるで自分のことのように喜んでくれる。初めてだいわ観光にきて惨敗を食らったときもまるで自分のことのように悔しがってくれた。もちろん、営業だから当たり前かもしれないが、客を誉めて励ますこの姿勢は我々も学ぶところがあるのではないだろうか。教育に携わるものの1人としてこの「認め」「誉めて」「励ます」姿勢は大切にしたいなと思うのであった。44センチを筆頭にマダイキロオーバー4枚。たとえ、マダイフィーバーは黄昏だったとしても、私にとっては


帰りはフェリーで楽ちん

本当に価値ある魚となった。рナうらやましがる上野さん。いよいよ10月。磯に立てるのはいつのことだろう。再びuenoさんとの秋磯への釣行を夢見ながら、大道港から芦北計石へのフェリーでごろ寝し帰路についた。

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