11/3 困ったときの沖堤防 川内沖堤防

風邪を引いてしまった。11月は自分にとって鬼門の月だ。毎年、この時期になると必ず風邪をひいてしまうのだ。よせばいいのに、夜冷え込む時期にも関わらず毛布一枚で寝てしまった。、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、咳、声、喉にと完全にひいたみたい。去年の胃腸炎でのダウンよりはましだが、どうしてこうも毎年体調を崩してしまうのだろう。考えても仕方がない。今は風邪を早くなおしてしまわなければ。

風邪の治療には、病院に行くのが一番である。早速、行きつけの病院に行くことにした。川内港発の若潮丸である。自分で言うのも何だが、風邪をひいたときは釣りに行くとあら不思議なぜか症状が回復してしまうのだ。「kamataさん、川内沖堤に行こうや。」最近、人間ドックに行って散々な結果もらってきたuenoさんがいつものように声をかけてきた。コレステロール値が驚くべき数字を示していたというのだ。彼も釣りという治療が必要なようである。海から放出されるマイナスイオンを体いっぱいに浴びて治療しようという魂胆である。

11月3日(水)下り中潮最終日、満潮が午前11時くらいか。11月1日(月)の釣りナビの情報では、チヌ500〜2Kg釣る人4〜5匹、クロ500〜2kg釣る人4〜5匹とあった。ミズイカ300〜1kg釣る人10杯。31日は50センチのクロが上がっている。一文字堤防でも1kgクラスを筆頭に一人10枚の釣果が上がっている。

前回の鹿島での惨敗の傷を癒すのは、もう川内沖堤防しかない。人間が違えば好みは違うのは当たり前。私とuenoさんは自他共に認める釣りバカだが、好みは微妙に違うのだ。uenoさんは阿久根大島の磯がお好みだが、私はあまり好きではない。同じ甑でも瀬々野浦が好きなuenoさんに対し、どちらかと言えば手打の方が好きな私。船釣りが好きなuenoさんだが、船酔いで苦手な私。北浦が大好きな私だが、uenoさんは積極的に行きたがらない。はっきり言って好みは違うことが多い。

しかし、二人とも好きな場所がある。それが川内沖堤防なのだ。二人ともここで坊主を食らったことは一度もない。(といってもそんなに来てないけどね。)会議などがあり、午後10時前になって準備を始めた。いつも立ち寄る阿久根の釣具店スーパーアオキはрノでない。仕方がないので、人吉のニシムタに買いに行った。オキアミ生があと残り4つとなっていた。良かった。さすがに休日前だ。この人吉にも相当な数の釣りバカがいるようである。餌は、オキアミ生2枚、グレパワーV101袋。チヌ深場遠投だったかな?に液体集魚材マルキュウのグレにはこれだを混ぜてグルメ指向のお魚さんをゲットしようという作戦。今回の対象魚は、もちろんクロ。あわよくば深く入れてチヌまでと計画だけはしっかりとできた。

午前3時前に人吉を出発。途中大口から出水への山道で鹿に遭遇。前回は狸でクロは釣れなかったが、この鹿さんは幸運の使者かあるいは坊主の回し者か。

2時間ほどの道のりで午前5時過ぎには川内港に到着した。港には休日にしては少ない客だ。一体どうしたことだと考えていると、若い兄ちゃんが、「今日は釣り大会が入ってて、第一便は出たようですよ。」

ガクッ。おいおい6時出航と言ってたじゃないの。いくら出航が時間より早めの若潮丸だからといって、1時間前に来たのにおいて行かれるとは。しばらくすると、若潮丸がやってきた。釣り大会は14名。我々2番船は、全部で10名。底物の20歳代のグループが4名わいわい言いながら乗ってきた。強烈な西風が吹く予報でおそらく甑あたりに行けないので、ここに来た感じだ。しかし、防波堤とはいえ、底物の実績もありあなどれない。

さあ、やっぱり若潮丸だ。予定より30分早い午前5時半に港を離れた。「kamataさん、どうする。一文字堤も1Kgから10枚くらい釣れたってばい。」うーん、まようなあ。これだけの人数が乗るなら、クロの好ポイントはすべて押さえられてしまうかもしれない。一文字ならA級ポイントで釣りができるかも。でも、すかさずuenoさんが、「やっぱり、でかいところが釣れるところにしようか。」と決断してくれた。私もそう思った。

さて、船はゆっくりと沖へ出て行った。思ったよりうねりがある。船はまず一文字堤につけた。2人の上物師を乗せ、船は今度は沖堤防へ。ところが、いつもの沖堤につける場所ではなく、灯台のある先端付近につけた。がっぱんがっぱんゆれている。うねりがあっていつもの場所にはつけられないからだそうだ。やっとの思いで沖堤に上がり全体を見渡した。まだ、夜明け前で薄暗いが、強烈な西風が吹き付けていた。予想通り、沖側はがちゃがちゃしている。しかし、前回(10月)よりはひどくはないようだ。底物の若者組は灯台付近の石鯛のポイントに集まった。

どこに行こうかな。クロのポイントである先端から70メートルくらい先の地点の高い段の場所にはすでに釣り大会の客がいて、釣りを始めていた。前回クロが釣れたところは空いていたが、uenoさんが遠くに行くのをいやがっていたので、石鯛野郎から50メートルくらいはなれた地点に釣り座を構えた。

ダイワのメガドライM21.5号にリールはダイワのプレイソ2500LB。道糸2号(880円のバーゲンで買ったもの)にハリス朝まずめだけサンラインパワーストリーム1.75号(8時頃から1.5号に修正)。前回使いよかった釣研トリプルセンサー3Bに潮受けゴムを装着。竿1本のところに浮き止めを付け、そこからじわじわ沈めて撒き餌と合わせ当たりをとろうという作戦だ。uenoさんも私の前回の仕掛けを参考にトリプルセンサー5Bでいざ勝負。二人とも午前7時前に釣り始めた。釣り始めてみると3Bでいいかなという状


思いがけない西風に大荒れの沖堤防

況に感じたのにいざやってみると仕掛けが入らない。おまけに2枚潮がきつく潮は緩やかに左へと動いているようだが、表層は右に動いていた。今日はどうも潮切れが悪い。前回はごいごい流れたのに。今日の潮はふらふらして安定しない。

今日は苦戦するなと思ってふと左を見ると、いきなりuenoさんが魚を掛けていた。玉網ですくってあげようかなと思ったが、内向きにいたオジサンが駆けつけてくれたようだ。結構竿が曲がっている。朝っぱらからどんな魚をあげたのだろう。遠くから戦況を見ていると、何と浮かせたようだ。結構でかい。でもクロではなさそうだ。近づいてみると銀輪に輝く見事なチヌであった。45センチくらいはあっただろう。良かったねuenoさん。

いきなり先を越されてしまった。「道糸が走ったよ。深かったばい。2本以上はいれたよ。」この状況で5Bのトリプルセンサーでは、仕掛けが深く入りすぎるかなと思っていたが、uenoさんにはそれが幸いしたようだ。ここで、自分の中に迷いができた。今日のこの潮とこの場所ではクロは無理なんだろうか。だったら、5Bにしてチヌねらいに切り替えようか。程なく、uenoさんに2回目の当たり。堤防の際にものすごいトルクで突っ込んでいる。uenoさんがんばれ。応援むなしくバラシ。

これは時合だ。もう迷わないぞ。ウキを5Bに替えた。チヌをねらうぞ。5Bに替えた途端に仕掛けの入りがスムーズになった。2枚潮で苦しんでいたが、修正が容易になってきた。程よいサラシ


 道糸が走った第1号 42センチ

ができたところから仕掛けを流した。少し潮がスムーズに流れたかと思うといきなり蛍光朱色の小粒当たりウキがはっきりと消し込み、すぐに道糸が走った。

よっしゃあ、5Bに替えた途端に食わせたぞ。最初の当たりだから慎重にやり取りを始めた。やや頸を振るこの引きは、クロではないね。ゆっくりとあわてず少しずつ浮かせるとぎらりと見えた銀色の魚体。完全に浮くといつものように頸や尾ビレを振り、最後の抵抗を見せている。浮かせたけどどうしよう。

すると、どこからともなくさっきuenoさんの魚を玉網入れしてくれたオジサンがやってきて掬ってくれた。「お世話になりました。」オジサンが魚を掛けたらすぐに掬いに行くからね。上がってきた魚は、まずまずのサイズ42センチ。これで坊主をのがれまずはほっとため息をつく。大事にスカリに入れて生かしておいた。

時計を見ると8時半。今まで、川内沖堤でこんなに早く魚を釣ったことはないので、少々面食らった。こんなに簡単に釣れていいのかなあと不安になってしまう。道糸が走ったことと、ハリを飲み込んでいることを考えれば、まだ、この近くにチヌがいる可能性が高い。

今がチャンスと更なる獲物を目指して、釣り始めるも、当たりは止まった。続かないね。だいたいこの風何とかしてくれよ。始めは、それほどでもないと思っていたのだが、風と波はますます強くなり、釣りづらい。防波堤の壁に波が当たりしぶきがいよいよ釣り人をぬらすようになってきた。もう内側で釣りたくなってきたが、クロを釣る可能性がなくなるので、何とか奮闘を続けていた。

餌がうまくとられている餌取りが増えてきたようだ。しかし、その中でもオキアミをぐしゃっとつぶしたようなかみ跡を見つけもしかしてチヌがいるのではと小さな当たりでも見逃さないように集中していると、もぞもぞと当たりウキがわずかに押さえ込まれた。鋭く合わせるとぐーんと竿に乗ってきた。逃がすものか。慎重に浮かせたのはやはり35センチのチヌ。タナはやはり竿2本以上。腹を開


渋い当たりの第2号 35センチ

いてみると、麦がたくさん入っていた。クロねらいだがチヌも視野に入れておかなくちゃとニンニク麦をブレンドしていたことが良かったのかも。ハリは唇の硬いところに刺さっていた。

ちょっと食いが渋くなってきたようだ。時計を見ると9時半。「今日は、鍋だよ。」と家族に電話した。しかし、潮が動かないなあ。おまけにひどい2枚潮だ。中ウキと当たりウキがけんかしているようにお互いにそっぽむいている。クロを釣りたくて、瀬際をねらうが波が激しく防波堤を洗うので、すぐに沖に流されてしまう。無理矢理にヘチ釣りのように超際にいれると竿を


竿をひったくった外道第1号 50センチ

ひったくる当たりに遭遇。人間と違い竿はえらいね。強烈な引きだが、腰の強さで魚の最初の突進を止めた。

メガドライの良さは撥水加工だけじゃないよ。何度となく繰り返されるつっこみに耐えている。ハリスの強さを信じて浮かせた魚は何と50オーバーのブダイ(アオバチ)。ガックリ。よく遊んでくれたが、食べるのはやめとこうと海へお帰り願った。腕が痛い。もう一回連続でブダイを釣ったところで際を釣るのを諦めた。

私のやり取りを見て「尾長が釣れたんな。」と言いながらやってきたuenoさんもこの魚を見てずっこけた。だいたい、こんな魚が釣れるようじゃ潮が良くないよねと潮のせいにするuenoさん。釣り大会のアングラーも竿が曲がっているところを見たことがない。

内向きでは、遠投かごのオジサンたちが追い風に乗せてびゅんびゅんとばしていた。40センチを超えるアジが3枚くらい釣れていた。灯台の内向きではチヌが1枚。クロのポイントでキロクラスのクロが上がったらしいが、ここまでではあまり全体的にぱっとしない釣果だった。

しかし、私の目標としているポイントには魚がいる気配がしていた。ただ、腕が悪いのと、2、3枚潮で食わせられないのだ。潮は相変わらず動かない。せっかく活躍してくれていたトリプルセンサー5Bがゲテモノの当たりらしい一撃で高切れし、帰らぬ物となった。トリプルセンサーはすばらしいアイテムだが、唯一の欠点がある。それは、3つのうち、下の二つは沈んでしまうということである。

しかたなく、トリプルセンサー3Bに戻した。当然、仕掛けが入るはずもなく、2BとG2のガン玉を足し、さらに、ハリスにG5の段うち2個で何とか仕掛けを送り込むことができた。すると、やはりもぞもぞとした前当たりがあるかと思うと当たりウキがわずかに沈んだ。今まで何回ともなく裏切られていた前当たりだったが、反射的に合わせるとぎゅーんと久しぶりの引力が竿にかかってきた。うんチヌに間違いない。浮いてきたチヌはさっきと同じ35センチ。潮が満ちてきたため今度は自分で玉網で掬った。これで3枚。我が家の食材には充分な量である。満潮を過ぎ下


当たりウキを15センチ沈めた第3号 35センチ

げに入るとますます風は強くなり海は時化ていった。

12時になり、釣り大会の方々が回収となった。クロはあまり芳しくなかったらしい。また、昼を過ぎた頃から風が強くなり、釣りをするのも困難な状況になってきた。大きなタンカーが通ったと思うとものすごいビッグウエイブがuenoさんを襲った。何とバッカンから磯バッグまでその波で流されそうになっていた。みんな集中力がなくなり始めていた。

おっ、uenoさん久しぶりに魚を掛けたかと思うと、それはボラだった。思わずクーラーに入れるuenoさん。ボラを持ち帰らなければならないほど今回の釣行は厳しい条件だったということがよくわかる。

今日は潮が全然動かなかったなあと思っていると、午後1時を過ぎる頃から動き出した。そして、前回クロが釣れた斜め左手前に当たってくる潮になってきたのだ。よしっ、ついにチャンスが訪れた。防波堤の際に竿2本くらいの棚がくるように仕掛けを流していると懐かしいウキの消し込みが。反射的に合わせるとこれはかるい、上がってきたのは20センチに満たないほどのアジ子だった。

どうも撒き餌にアジ子が湧いたみたい。アジ子3連発釣ったところで、このアジがいなくなったときがチャンスかなと気持ちを奮い立たせているところへ、いきなり悪魔の声が、「今日は、西風が収まらないので、1時間早く回収に来ますので準備をしておいてください。」これからというところだったが、船長の指示は絶対だ。しかたがない。手早く回収の準備を終え、船に乗り込んだ。底物の若者も魚からの応答がなかったらしい。他の上物の客も目立った釣果はなかっ


ありがとう沖堤

たようだ。我々が最後まで迷っていた一文字堤でも足裏2、3枚という寂しい結果に終わっていたそうだ。何枚か釣れた我々はまだいい方だったようだ。

思いがけなく2時に回収になったので午後5時に人吉に着いた。鍋をする予定だったので、スーパーで野菜の調達によったが、どれも高値で白菜は半分で何と368円だった。魚よりも大切に持って帰りたくなった。家に帰って、42センチの魚を刺身に残りの半身をしゃぶしゃぶように切り分けた。釣ってあまり時間がたっていない魚の刺身はこりこりとした歯ごたえはあるがうまみに欠ける。やはり刺身は1晩おいた方がいいと改めて思った。うまくいった今回の釣行だが、ただ一つだけ計算通り行かなかったのは、風邪の治療に行ったにもかかわらず、次の日は朝から声も出ないほど風邪の症状が悪化していたことである。


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