4/3 返り討ち 獅子島

今年の自然の暦は遅れ気味。熊本では何と4月1日が桜の開花で観測史上2番目に遅い記録だそうだ。例年、学年末の事務整理の時期に「花見においでおいで」と校内の桜が満開になるのに、今年は桜に変わってモクレンが幅をきかせた。私の職場では人事異動で5名の仲間を桜に変わりこのモクレンが送り出したのだ。新しい環境で幸あれと願うばかりである。


校舎のキャンバスにモクレン

さて、桜の開花の遅れと共に遅れていたのが寒グロだった。しかし、いくら遅れているとはいえ、3月の中旬を過ぎればさすがに喰い渋っている。そこで、3月も終わりになるとクロ釣り師の中にはノッコミチヌをねらう者と底物竿に持ち変えて石鯛師に変身する者が出てくる。私もこの春はクロ釣り師からチヌ師に変身することにした。ご存じこの時期は私のような初心者でも大型のチヌが釣れる貴重な時期。最近チヌはご無沙汰のuenoさんとチヌねらいの計画を立てた。今年絶好調の天草松島の第2むつ丸へ連絡を取ったが、「天気が良くないんでね。8時にまたрュださい。」だった。せっかちなuenoさんは、「hayashidaさんで行こう。」と早々と計画変更した。計石港から出航する「みなみ風観光」は御所浦・獅子島への瀬渡しをサポートしてくれる。この渡船を利用するのは3年ぶり位になる。「5時半に来てください。」で交渉成立だ。しかし、実は2人ともこの渡船とは相性が悪い。uenoさんは、10回の利用中釣ったのはわずかに2回。私は、ウサギ鼻2戦2敗、湯の口1戦1敗、中之島の涙のイルカウオッチングで1戦惨敗、獅子島地磯無念のバラシ1戦1敗、そして、立石にて今では幻の釣りとなりつつある「ミロク蟹」釣法で雷の中ボウズの大惨敗と全くのノーフィッシュなのだ。


お世話になったみなみ風観光

午前5時に計石港に到着。釣り人は我々を含め7名。暗闇の中で船を待っているとやってきたhayashida船頭。漁港のライトに集まっていたイワシゴを蹴散らして接岸。荷物を積んで挨拶した。「今日は、潮が良くないね。」小柄の体から繰り出されるベルカント声はまるでイタリアの漁師のようだ。太陽の国イタリア漁師の風貌だが、出てくる言葉はさすがに東洋人だ。長潮の潮回りの状況の良くないことを正直に話してくれる。前回ウサギ鼻に乗せてくれた時も「クロはつれますか。」と問うと、「クロはつれんもんなあ。」と返ってくるし、しばらくすると「チヌもおらんもんなあ。」と言い出す始末。クロかチヌを釣りに来ているのにそれはないだろう。案の定その日はベラの入れ食いに泣いた。計石港を出て船は加速した。まず始めに大門崎専門のおじさんが渡礁。「昼から西風が吹くけんなあ。釣りにならんぞい。」それでも大門崎に乗るこの人はよっぽどここがお気に入りのようだ。1人の常連客が「湯の口に乗せてはいよ。」すると「湯の口は上野さんにとおもっとっと。」と船頭。ラッキー、直前に予約したのに獅子島のA級ポイントに乗せてくれるようだ。午後からかなりの西風が吹く予報が出ている。沖磯の波は1m〜3mという。うまいことに湯の口はその風裏にあたるのだ。午前6時過ぎに渡礁を済ませた。なつかしいさがこみ上げてくる。


ガラカブの猛攻に苦戦のueno氏

砂岩でできた岩が複雑にでこぼこにており、左側には大きなワレがあって、まるでお風呂の湯の口のようになっている。磯釣り2回目の時だったか運良くここに乗せられた時、ワレのところに50cmを越えるチヌが8匹ほど悠々と泳いでいるのを確認した。その時は、「見える魚は釣れない」の格言通り全くそのチヌは口を使わず、沖に潮が行きだしたとき魚をかけ玉網かけ寸前のところでバラシたというにがい経験が頭をよぎった。さあ、リベンジだ。オキアミ1角にチヌパワームギ、イッキ浮かせチヌ、ムギコーンをそれぞれ一袋ずつ混ぜ合わせ撒き餌を作った。午前7時第1投。いい感じで潮が沖へと流れてる。いかにも本命潮だ。しかし、釣れてくるのはガラカブばかり、潮が止まると今度はフグの猛攻がまっていた。午前も10時を過ぎると猛烈な風が吹き始め釣りづらくなり、潮も全く動かない最悪の状況に変わった。そして、チヌの気配なく惨敗、午後3時に回収の船に乗り込んだ。


惨敗!無念の湯ノ口


1度は上がってみたいノサバ1番


1度もまともな魚を釣っていない天敵の一つ ウサギ鼻

この日は、獅子島の北のエリアでは、1人が54cmと51cmのチヌを2枚、瀬変わりしてウサギ鼻で40弱を1枚。もう1人のおっさんが30cm台のチヌを2枚、本浦港に瀬変わりして、良型メバル2枚に脱走シマアジ35cmを1枚釣ったのが全釣果。あとの5人はなすすべなく惨敗だった。獅子島の北エリアが実績が高く、湯の口は3年前とは違って最近あまり乗せてないそうでこれから釣れるのではという船頭の言葉だった。リベンジのつもりが見事な返り討ち。まあ、こんなこともあるさ。ふん!


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