10/14 近場へGO! 天草御所浦

暗いと不平を言うよりも
10月8日、中潮。待ってました堤防のタチウオシーズンを。水俣の中原釣具店に連絡を取ると、4,5日前からタチウオがぽつぽつ回ってきているとの情報。始めは、今シーズン最後のシブダイねらいに硫黄島へと考えていたが、母ちゃんの機嫌が悪そうなので、急遽堤防のファミリーフィッシングへと切り替えることにしたのだ。夕まずめのメイタねらいもかねて、午後2時頃、人吉盆地を出発。大口市を経由して、水俣市に3時半頃到着。釣具店で状況を聞いた。

「数日前、5,6枚釣れたそうだよ。」とおやじさん。しかし、その声は去年のそれとはかなり違っていた。疑念を抱きながらも百間港へと到着。すると、去年満員御礼だった釣り客が今年はわずかに2,3人だった。おかしいなあと思いながらも、釣りの準備を始める横で、「あまり釣れてないんじゃないの。」と状況を察した妻が呟いた。

案の定、メイタ釣りは魚からの反応がほとんどなく、夕方になるに従ってつけ餌がとられずに戻ってくるようになった。メイタ釣りを早々諦めた。キビナゴの電気ウキ仕掛けを作ってやって、自分は今回初めてのメタルジグを使うことにした。時間は午後5時半過ぎ。辺りはすでに薄暗くなり始め、いよいよタチウオ釣りのスタートだ。餌釣りはうちの母ちゃんと息子がトライ。私は慣れないルアーを投げた。メタルジグは、21gで色はアピール系。速くひいては落とし、また速く引いてを繰り返した。


今年は釣れないなあ 日暮れ間近の水俣百間港

タチウオ釣りは我々とあと一組のみ。去年からすると信じられない状況だ。いったいこの百間港に何が起こっているというのだろう。これじゃ望み薄と、いつ帰ろうかとタイミングを図っていると、いきなり何かがルアーにアタックしてきた。反射的に合わせを入れると、竿にのってきた。よっしゃあ、何か喰ったぞ。何が喰ったんだ。喰うとすればタチウオぐらいかしか考えられないよね。やはり、長い魚独特の引きがおそってきた。結構引くなあ。ルアーロッドを持たない私は、30号ー2.7mの船竿でやってるのに、それでも釣れてしまいました。あがってきた魚は、指3本の秋の使者タチウオ君でした。

「うそっ、頑張らなくっちゃ。」負けず嫌いの母ちゃんの竿を持つ手にも力がみなぎってきた。タチウオを大切にクーラーにしまうと、一人のおじさんがやってきた。「釣れましたか。」と聞いてきたので、「さっき1本釣れましたよ。」その声を聞くやいなや、そのおじさんは体中の毛穴からアドレナリンを噴出させるように、「そうですか、ようし。」と叫んでいた。釣りバカのスイッチが入ってしまったようだ。ルアーを一生懸命引き出した。

しかし、喜ぶのもここまで。去年との違いは夜になるとともに明らかになった。あれっ、明かりがつかない。昨年、あれだけこうこうとと海を照らし続けてた常夜灯が一つもついていなかったのだ。真っ暗闇の百間港とは知らなかった。これじゃ魚が寄るはずないよね。タチウオは、この時期は夜常夜灯のある潮通しのいい防波堤に集まって、小魚を荒食いする。だから、堤防でも手軽に釣りができるのだ。「明かりがつかないんじゃ釣れるはずないよなあ。」とつぶやき、道具を片付けることにした。去年釣れたからって、今年釣れるとは限らないんだよね。ましてや、明かりがつかないんじゃしょうがない。
そこで、一句。

暗いと不平をいうよりも 進んで明かりをつけてくださいな

クロ釣りの新学期
10月14日(金)上り中潮初日。県人教大会の代休措置で、平日に釣りができることになった。平日に釣りに行けるなんてこんなにわくわくすることはない。行き先は?水島、北浦、野間池、どこにしようかな、と新聞を見るとがっくり。台風20号が北緯25度付近にほとんど停滞しているではありませんか。この緯度では、九州の沖磯は、うねりをともない2〜3m以上の波高が予想され、おそらく船止めだろう。しかし、台風の位置からして、薩摩半島の西向きは大丈夫かもと以下のような電話計画をたてた。

@久多島 朋恵丸
小湊港から渡船で30分ほどの沖磯。初めての場所で情報がないが、この時期でも40オーバーのクロがねらえるらしい。他にもイサキ、真鯛、尾長、また、ゴマアラなどの高級魚も釣れるとのこと。釣り座が狭いこともあってか天気次第で出航するかしないか判断する。

A川内沖堤防 若潮丸
10/10 小潮に、サバ35cm釣る人20〜30匹、クロ700〜1kg釣る人4〜5匹、カンパチ3〜5kg釣る人2〜3本と相変わらず好調だ。自宅まで2時間で帰れることもあり、ここが本命場所か。

B長島海峡 しらなみ
先週、クロが釣る人10〜20匹とまずまず。赤島の中では、昼から2時間で700〜800gを15匹と状況を釣りナビが教えてくれた。

C御所浦・獅子島 みなみ風観光
コッバグロがほとんどだが、そろそろ良型のクロが釣れてもいいはず。帰宅まで1時間ちょっとのため、近場中の近場の滑り止め。

まずは、朋恵丸に連絡。「天気が微妙なんで、さっき4人連れのお客さんに断ったばかりなんですよ。」ここは前回電話したときも同じ理由で断っている。かなり慎重な船頭さんのようだ。次に、川内沖堤防だ。ここなら、2.5mくらいでも出るときがあるから。電話すると、「出れるんですけどね、予約が入ってないんですよ。」と奥さんが出られた。残念。ここもとても慎重な船頭さんで、一人では絶対に釣りをさせない徹底ぶりだ。第一、第二希望を断念させられることになったので、ええいとやけくそで、第3を通り越して、第4希望の林田船頭さんに連絡してしまった。「お客さんが4人でね。赤崎港からになりますが、いいですか。4時出航です。」で交渉成立だ。今回は、コッバメジナとの出会いになりそうだ。磯釣りの新学期はこれくらいでいいのかも。さあ、道具選びだ。


出動を待つ戦士たち(アテンダーは入院中)

メジナのサイズは小さいので、出動するのは、ダイコーの強豪1号、ダイワメガドライ1.5ー53。シマノの竿ケースにすんなり収まってくれた。さあサンダーバード、AH GO!

あこがれのノサバへ
14日になり、午前3時過ぎに芦北へ到着。ここで、餌を買おうといつも24時間開いている高野釣具店に到着。ところがだ、開いていないではないか。がっくり。当然、てんぐや、つり福も開いているはずはなく、先日から用心のためニシムタで買っておいたオキアミ2角、アミ半角と前回釣行の余った集魚材「チヌ深場攻め」と「グレパワーV10」で勝負するしかないようだ。

午前3時半に赤崎港へ到着。先客3人がすでに道具類を船に積み込んで談笑している。林田船頭さんもすでに準備OKのようだ。3人グループはどうやら2日釣りのようで、大量の荷物を抱えていた。その中の一人が、「ウサギ鼻のとなりの広いところにのっけてや。」と船頭に話しかけている。「ノサバば考えとったばってん。ならこげんに早く出んでもよかったど。」と船長。

ノサバ1番は御所浦の中でも一番の人気ポイントで、天草方面からの渡船(昭丸、昭栄丸など)との競争になるため、早い出航となるらしかった。ということは、ノサバは自分の手に転がり込んでくるのでは。あと一人は八代からくるそうだが、こなけりゃ自分に間違いないはず。午前4時になってもあと一人の方は来られなかったので、いよいよ出航だ。しばらくすると、「kamataさん、ノサバでいいですか。」「はいっ、わかりました。」ノサバは御所浦の南の端に突き出た岬で、潮通しが良く、この時期は乗れればクロの釣果は約束されているような魚影の濃さを誇ってる。一人できたためもしかして今だまともな魚を釣ったことがない天敵のウサギ鼻にのせられてしまうのでは、と恐れてたため願ったりかなったりである。

「ノサバはどげんやろか。」と3人組の一人が聞いてきたが、「最近のせとらんけんわからん。」と船頭。サイズはどれくらいのが釣れますかね。」「チヌは釣れますか。」と船頭に聞くが、林田さんらしいコメントが帰ってきた。「まだ潮が弱かけんなあ。あと2,3日たってからがよかばってんなあ。」おいおい、今から釣りに出かける俺たちの気持ちはどうなるのさ。こんなやりとりをしながら船は暗闇の八代海を西へ進んでいった。さあ、天草からの船が来ていませんように。念じながら待つこと30分。御所浦の南の端までやってきた。船頭が暗闇に出現した岩礁にライトを当てている。誰もいないようだ。「瀬についてから前に出てください。」内海なので静かな磯場だ。楽々荷物を積み終えた。渡礁完了。


御所浦の一番人気 ノサバ1番

潮は走るノサバ1番
荷物を高いところに置き、空を見上げると星が見えている。御所浦の山の上は曇っているなあと思いきや雨がぽつぽつ降ってきた。弱い雨だが、今日は不安定な天気のようだ。夜が明けるまで1時間半、うとうととしていると、あっという間に朝がやってきた。

撒き餌をつくり、雨の予報もあるので竿はメガドライ。ハリスは1.5号で勝負することにした。この釣り場は全体的に浅く、船を着けたところで竿1本。船付けの反対側のワンドも少し深くなっており、潮が引けば先端の被っているところでも釣りができそうだ。

まずは、ワンドで勝負。1ヒロ半の固定しかけ。第1投、潮が早い先端方面から獅子島方面へと激流が流れている。ハリスにガン玉を段うちして第2投。撒き餌を少ししただけなのに餌盗りの猛攻が始まった。スズメダイ、コッバ、イスズミ、そして妖怪人間(ベラ)キャストの音に反応してあっという間につけ餌を盗られてしまう。しょうがないので、あっちむいてほい釣法でぽつぽつ手のひら大のクロをつり上げた。タナは浅く、矢引にまで浅くした。7,8枚釣ったところで考えた。このまま釣り続けても良型には巡り会えないだろう。タナを深くしたり、できる限りの遠投をしたりするが、釣れてくるのはこんどは、イスズミやバリそしてチャリコ(鯛の幼魚)の外道たちだった。


高活性の美しさ


底のタナで喰ってきたバリ

潮が引いてきて先端まで出て釣るが状況は変わらない。浅いタナだと手のひらより小さいサイズ。深いタナ入れてもチャリコ。激流に仕掛けを入れても魚からの反応がないことが悲しかった。下げ潮では激流だが魚からの反応がない。昼頃が干潮でいよいよ上げ潮は走り出した。ウサギ鼻方面へ潮が流れるかと思えば、やはり南側へ走り出した。回収は4時だからあと2時間半。今日はドラマがないなあとチヌねらいは諦めてタナを浅くしクロ釣りに切り替えようとすると、小魚が不穏な動きをしている。


上げ潮が走ると高活性に

ハマチの回遊が
おかしいと思ってグラスモードの偏光グラスで海をのぞいてみると、何と60cmは超えている青物が行ったり来たりしてるではないか。これは、チャンス。磯バッグにルアーはないか探した。あった。太刀魚を喰わせたメタルジグのアピール系を付け、竿は1.5号そのままでねらってみることに。第1投。リトリーヴすると何とハマチくんが追って来るではありませんか。その数3匹も。興奮しながらキャストするも魚に見切られていたようで、それからは反応が途絶えてしまった。

クロ入れ食い タナ30cm
午後も2時半を過ぎると、雨が降り出してきた。雨が降り潮が走ると魚からの反応が活発になってきた。撒き餌をするとじゃぶじゃぶとナブラがたつようになった。梅雨グロのように完全に浮いてしまってるようだった。タナを30cmにして釣るとおもしろいように釣れだした。サイズは手のひら大と納得いかなかったが、万策尽きたことだし仕方がない。クロ釣りの練習でもするか。ワンドの手前は餌盗りだが、5メートル先はおびただし数のクロがいるようだ。17,8匹目から魚がすれてきたので、今度は先端の右側へキャストやはり撒き餌と同時にナブラがたっている。また、1匹追加。もうこの釣りに飽きてきたころ、突然今までにない大きなナブラが出たかと思うと、大きな当たりが来た後、一瞬にして仕掛けが飛んだ。どうやら青物のあたりらしい。この当たりのあと5枚ほどクロを追加した後、船が迎えに来たので道具を片付けて釣りを終えた。


今回の基地 雨の赤崎港

やっぱりウサギ鼻だ
これほど降るかというくらい激しい雨が降ってきた。良かった。遅刻した八代のおじさんと話が弾んだ。「ベラばっかりやったわ。」と吐き捨てるように話をした。良かった。ベラの入れ食いよりは、木っ端の方がましだ。深く入れるとバリやもんなあ。」「釣るところが狭かったやろ」いつの間にか会話に加わる船頭さん。

「甑の由良のカブリとか野瀬よりはましやが。」このおじさんかなり経験豊富のようだ。でも、このおじさんはベラの猛攻に惨敗したにもかかわらず、決して落ち込んではいない。むしろ釣れなかったことを楽しんでいるようにも見えた。さすがにベテランは違うなあ。だって、4時出航に遅れてウサギ鼻に乗せられる憂き目にあったはずなのに。心から釣りを楽しむ男は釣果や型なんて気にしないんだ。まだまだ、自分は修行が足りない。もっと釣りに行かなくては、とまた、釣りに行く理由を探すのであった。


今回の釣果 クロ24匹(21〜24cm)

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