1/9 30cmの攻防 瀬々野浦

今年の抱負は?
2006年、新しい年が明けた。さて今年の抱負はと考えながら新聞を手に取ると、ある有名な詩人(たしか谷川俊太郎さんだったと思うが)が新聞のインタビューを受けている記事が偶然目にとまった。その中で、記者が「今年の抱負は何ですか。」と私に言わせれば愚問では?と思うような質問するとその詩人はつぎのような意味のことを答えたのだった。「私は、今を生きている人間なので、今年の抱負なんて考えたことはありません。」まったく詩人らしい回答で私は何故かほっとするのであった。スケジュールに負われる日々を送っている人間が、計画通りに活動することを約束されている人間が、当たり前のように上がっている噴水の美しさに感動したり、冬に葉をすべて落としてしまって枯れ木のようにたたずんでいる樹木が、実は春をめざしてまばゆいばかりの命の炎を燃やしていることなどに気づいて立ち止まることができるのであろうか。超スケジュール的、計画的な仕事を職業としている自分にとっては、詩人のような感性を磨く場所がどうしても必要なのである。私にとってすばらしい詩人とは、誰もが日常的だと、あるいはありきたりだと感じているものを、言葉でもって非日常的な味わい深い世界を作り上げる人だ。そう考えると、今年の抱負はと新聞を読んでいた自分が恥ずかしくなってきた。自分は詩人ではないが、子どもに携わる仕事をしている以上、詩人のような感性が必要である。詩人になることはできないが、せめて仕事以外の時間では、今を生きる自分になろうと心に決めるのだった。

いよいよ本格シーズン
さて、詩人と同じように、少年のような心で感性を磨いている人種がいる。ご存じクロ釣り師である。彼らは、寒が入り、北西の季節風が吹き始めると、こぞって渡船へと乗り込み、大挙して磯にあがり、一種類のある魚めがけて釣りを行う。この寒いのによく釣りに行くわね、と釣りを知らない人からは必ずこのように言われるが、クロ釣り師から言わせれば、寒いからこそクロ釣りができるのだ、と言いたいのである。この時期のクロ釣りについては、もう言うまでもないと思う。メジナ(クロ)は、水温が下がって磯海苔が付く季節になると、それをついばみに浅場までのっこんでくる。生物の最大の目的である子孫を残すという一大イベントのために体力を蓄えようと大好物の磯海苔を食べにやってくるのである。一年中大体同じ場所に住んでいる居着きのクロだけでなく、深場からやってくる渡りの回遊グロもいて、磯はにぎやかになる。水温も下がって小さいサイズのお魚さんたちは動きが鈍くなり、それに代わって水温が下がっても比較的元気なクロの活性が上がるのだ。餌盗り魚さんたちの動きが鈍くなるということは、本命のクロの口元に餌が届きやすくなることである。これらが、クロが一年中で一番冬に数型ともに揃う要因である。

さて行き先は?
釣り初めは、クロを狙って、uenoさんと目標を甑へと定めた。予定は昨年と同じく1月5日。問題は甑のどこへ行くかだ。季節風に強い地磯からガンガンの本流釣り場と守備範囲も広く、型の大きいのが特徴の上甑里。東西両方に好ポイントがあり、その中でも数型ともに爆発力を秘めた西磯を持つ鹿島。サイズはやや落ちるもののクロの魚影の濃さはトップクラスの手打。そして、我々が数ある甑のポイントの中で選択したのは、常に安定した釣果を約束してくれる甑島南西部に位置する瀬々野浦であった。特に、お気に入りなのはuenoさんだ。いつも瀬々野浦に行こうと声をかけてくる。去年も2桁釣りや1.8kgの大物をしとめている。uenoさんにとって瀬々野浦は一番相性がいい釣り場といえそうだ。携帯サイトの釣りナビに覗くと年末の大寒波で水温が下がったにもかかわらず、瀬々野浦の好調さが目立っていた。もうこりゃ行くしかない。早速、阿久根新港から出ている渡船「永福丸」に予約を入れた。

さあ、いつも問題なのは天気。正月は穏やかだったものの2日から再び西風が強くなり出した。永福丸も1日には出航したが、2日、3日、4日と欠航。予約していた5日も2.5mのち4mと当然欠航だ。北西風なので、宮崎側は波が高くても2mくらいの予想で北浦などは船がでると思われた。試しに上野さんに宮崎側はどうかと誘ってみたが返事はノーだった。「風も強いだろうし、どうせいい釣りはできんばい。やめとこい。」今までこのパターンでいつも惨敗を喰らっているので今回は無理をしない方が良さそうだ。やむなく釣り初めは9日に延期をすることにした。そして、祈るような気持ちで天気予報を待った。

メジナ王国瀬々野浦へ
1月9日(月)、成人の日。長潮で甑島の干潮は午前9時20分。本日は晴天なり。波の高さ1mとべた凪の予想。出航することは間違いなさそうだが、長潮という潮回りで干潮間際を釣らなければならないという条件が少々気になった。しかし、我々は釣りに行ける喜びでいっぱいだったため、そんな不安は一掃されていた。今回の作戦は、できるだけ魚を浮かせて釣るというもの。撒き餌をオキアミを1角ほどにして、あとは2kgのパン粉とマルキューのグレパワーV10の白い色でまとめることにした。そして、渡礁してから2時間ぐらいかけて少しずつ間断なく撒き餌をして魚を寄せてから釣るという作戦なのだ。「4時出航です」の永福丸のおばちゃんの返事で釣り初め成立。我々は、午前1時に人吉を出発。大口から出水を通り、阿久根新港に午前3時前に到着した。

客も続々と集まってくる。祭日ということもあり今回も満員御礼。荷物を船に積み込んで、船のキャビンに入って出航を待ってると、思いの外早く午前3時40分に船は港を離れた。乗船名簿を記入していると1月1日以来の出航ということがわかった。餌がしばらく入っていないときは、魚がよく釣れることが多い。してやったりの表情を2人とも浮かべて横になった。べた凪の予報だったが、結構揺れてるよ。何でかな?しかし、疲れからかいつの間にか眠っていたらしく、気がついたときにはすでに瀬々野浦周辺にまで来ていた。目が覚めるとすぐにエンジン音が緩やかになった。最初の渡礁が始まるらしい。いったいここはどこだろう?窓から外を見るが、まだ真っ暗で何も



さあ メジナ王国 瀬々野浦へ 阿久根新港にて

見えない。「○○さん、準備してください」船長がピンマイクで呼んでいる。次々に呼んでいる。そして、「○○さんたち、とりあえず5人でそこにおってください。うねりが収まったら瀬替わりしますから。」何だって、1mの予報にうねりだって。確かに船が揺れているではありませんか。名前を呼ばれるまでゆっくりしていようと寝そべってた体が自然と起きあがるのだった。今回は、ナポレオンの北側を期待していたのに、どうやら瀬々野浦港周辺の磯になりそうだ。「とりあえずそこにおってくださいなんて、のさん(いやだなあ)なあ」上野さんも心配している。そのうち、「兼田さん準備してください」と声が掛かった。「だれだ、兼田なんてもしかして鎌田の間違いではないだろうなあ」

兼田さんは船長の問いかけに反応する気配がない。キャビン内の人がどんどん少なくなってきたので、我々も外に出ることにした。外に出ると、丁度渡礁の途中だった。ここはどこだろう。かなり地よりの磯らしいぞ。その磯は家の屋根のような形をしていた。どこかで見た磯だな。あっ、思い出した。これは、2003年10月11日に高水温の中でのクロ釣りという無謀なことをやらかし、見事惨敗を喰らったコブ瀬ではないですか。なつかしい。ここは水深が浅く潮があまり動かなかったように記憶している。今日は長潮でできるだけ潮通しのよいところにのせてもらえばいいのだが。「兼田さん」船長が呼ぶが、兼田という男は一向に現れる気配がない。「もしかして、兼田は、鎌田の間違いじゃあないでしょうねえ、uenoさん」「うーん、何とも言えんなあ」兼田という男が名乗り出ないので、船長はしびれを切らし、「□□さん」と違う人を呼んだ。次の渡礁は防波堤からすぐ近くの黒瀬だった。「uenoさん、


想定外のうねりに困惑 永福丸

もしかすると兼田とは、我々のことかもしれませんよ。もし我々のことだったら今のうちに手を挙げておかないとB級磯に乗せられるかもよ。」船長が再び呼ぶ、「兼田さんいますか?」「はいっ」と思わず手を挙げた。やはり兼田さんとは我々のことらしい。

タテビラ瀬に渡礁
船は怪盗ルパンの「奇巌城」のような巨大な巌に近づきそこにどうやら渡礁するようだ。切り立った岩壁に張り付くように渡礁を済ませた。いったいここはどこだろう。黒瀬の裏側だから、沖向きなら一度乗ったことのある鷹の巣。地寄りならタテビラ瀬。どちらも底物、上物ともに実績のあるA級ポイントである。もう一組を我々の瀬と反対側の地磯近くの磯に瀬あげして、船は走り去っていった。暗闇の中で方向を見失っていると、左前方に街灯らしき人工灯りが見えた。このことから、我々はタテビラ瀬に乗せられたことがわかった。いつものように、ヘッドライトをあてて磯の全体像をつかむ作業にはいった。岩肌にライトを当てると、地層の縞模様が突如として現れた。足場は階段のようになっており、足場は狭いが平らで悪くはないものの、頭の上に岩がせり出しており竿を振りかぶれない状況で大変釣りにくい。釣り座となりそうなのは船を着けたところにこたつテーブル分くらいの広さの低い場所が一つ。そして、そこから地よりに竿1本先くらい離れたところに1カ所あるがここは少し高くなっている。潮が地より側に当たってくれば魚を引っ張り出すことができそうである。

さあ、確認作業ができたら、仕掛け作りに大切な撒き餌だ。撒き餌はすでに阿久根の港で混ぜていたので、後は海水を混ぜるだけだ。釣りナビのアドバイスどおりに、水を極端に少なくしてパサパサの状態にし、ゆっくり沈むように設定し、魚をできるだけ浮かせる作戦だ。仕掛けを作りながら少しずつ餌を撒き始めた。タックルは、ダイワマークドライ2号ー53に、リールはプレイソ2500番に2.5号の道糸。ウキは、とりあえず釣研全遊動XD0号に潮受けゴムを装着。ハリスは朝まずめだけ尾長を視野に入れた2.75号のブラックストリームを2ヒロ弱とり、鈎は層グレ5号を取り付けた。私はどちらかといえば、2Bや3Bの半遊動で魚のタナを直撃する釣りが好きである。冬場の喰い渋りでもサラシのあるポイントや潮切れのいいところでは、結構成果を上げている。だからサラシ大好き人間なのだ。サラシがあると魚が釣れそうな気がするのだ。でも、人にはそれぞれ好みがあるようにuenoさんはその逆でサラシが大きくないようなトローッとした潮が好きなようだ。仕掛けも重い仕掛けより0号や00号などの軽い仕掛けを好んで使っているようだ。特にお気に入りが、キザクラのLet's0号などの全層釣法対応のウキだ。瀬々野浦はサラシで釣るというポイントは少なく、どちらかといえばトローッとした潮のポイントが多いように思う。上野さんが瀬々野浦が好きな理由はここにある。今季好調の瀬々野浦だが、このポイントでの釣りは決して易しくない。ウキがスパンと消し込むような当たりは少なく、むしろゆっくりウキが沈んでいき、相手が走るか、誘いをかけて喰わせるかなどとにかく工夫が必要とuenoさんが力説する。私も0号の全遊動だがuenoさんも当然Let's0号で勝負するようだ。


1時間半 撒き餌を続ける

いよいよ釣り初め
午前6時前から、撒き餌を続けて1時間が経過、7時となり夜明けを迎えた。自然と餌を撒くタイミングがだんだん早くなる。心臓の鼓動が連れ合って早くなる。まだ薄暗いため、魚の姿は確認できないが、だからこそ、海の中におびただしい数のグレが沸いている、縦横無尽に餌を拾っている姿が頭の奥の方で浮かんでは消えていく。心のBGMにはラベルの「ボレロ」が鳴り続けている。果てしなく続く主題の反復に我の精神の高揚を止められない。さあどのタイミングで釣り始めようかな。向こう側の釣り人も我慢しきれなくなり撒き餌もそこそこに釣り始めたようだ。「もう釣ろい」上野さんがしびれを切らして釣り始めた。もう少し撒き餌を続けたかったけどなあ。

上野さんが釣り始めるなら仕方がない。先に釣られちゃかなわんと、午前7時半に記念すべき2006年の第1投、始球式を行った。天気予報とは裏腹に、空は鉛色の雲が重々しくはりだしてどんよりとしているため、海の中はまだ見えない。紫紺の海に蛍光赤朱色のウキ全遊動XDが鮮やかに輝いている。ウキの手前に撒き餌シャクに半分ほど入れたパサパサの餌を控えめに撒いた。ウキの動きで潮が鷹の巣方面へと緩やかに動いているのがわかる。uenoさんの言う本命潮ではないようだ。uenoさんが言うには、本命潮は地よりに当たってくる時らしい。残念とウキを再び見つめると、ウキは気持ちよさそうに緩やかな流れに身を任せ漂っている。潮受けゴムの入りも良く、いい感じの状態だ。

と、ふと黄色のゴムを見ると潮の流れとは明らかに違うスピードで入り込んでいく。それに呼応するように、ウキがゆらゆらと前当たりと思われる動きの後、消し込み始めた。「おいっ、第1投でいきなり当たりか?」しかし、その消し込み方は、硫黄島などのそれとは違い、実にもどかしく遠慮がちな動きだ。当たりには違いないが、合わせていいものか微妙な当たりだ。第1投だからね、あんまりあせることはないよね、と30cmほど消し込んだところでリールを巻きながらかるく合わせてみた。すると、竿先にふわっとした重量感を感じた。当たりだな。次の瞬間やや強めに追い合わせをいれると、本格的にギューンと2号竿にのってきた。コンコンと竿先をわずかに叩いている。でも、イスズミのような叩き方ではない。あまり突っ込みは強くなく魚のスピードも感じない。とにかく、ずんと重々しい引きだった。手前に突っ込む敵を余裕の竿のトルクでためると、わりとあっさりとそいつは水面を割った。「クロだクロ」いきなりの本命登場に興奮を止められず、思わず叫んでしまった。しかも中々のサイズじゃん。あまり暴れなかった彼はおとなしくすんなりと玉網に吸い込まれた。何と第1投で釣れた2006年初メジナは、黒々とした42cmのグッドサイズ。腹色からして、このあたりの住人だったようだ。


第1投で現れた 今年の初メジナ 42cm

「オーッ、もう釣れたんな」uenoさんが少し驚いた調子で話しかけてくる。「タナは?」「2ヒロくらいですよ。」「ウキは何号な」「0号の全遊動です。」「ウキば持っていったな?」「いいやあんまりですね」「ハリスは?」「2.75号です」「ほー、ガン玉は打ったな」「いいえ」uenoさんは立て続けに質問してくる。今釣れている人の仕掛けをまねしなさいの格言どおり、uenoさんはリサーチしてきた。もしかして、今日は入れ食いかも。そんな期待を胸に魚をドンゴロスに大事にしまって、第2投を試みた。ウキが馴染むと今度ははっきりとしたウキの消し込みだ。合わせるとまたまた当たり。連続ヒット。やりとりを楽しもうと手前に魚を寄せるが、こりゃどう考えても小さいなあ。上がってきた魚は、赤いスズメダイ。がっくり、今日は入れ食いかと思いきやその夢ははかなく消え去った。こんな餌盗りがこのタイミングで釣れるようじゃあ魚はたくさんいないんだな。悲しい現実だが受け入れなくてはならないようだ。第3投。ウキの動きから早くも潮が変化しているようだ。右に動いていたはずの潮が正面沖へと動いている。仕掛けを回収するが、餌の頭だけとられている。頭をとってオキアミを鈎につけ第4投。ウキの消し込みだ。しかし、30cmほど沈んで動かない。しびれを切らし合わせると素バリ。今日はとても難しい釣りになりそうだ。殺気を感じて視線を左へと移すといつの間にかuenoさんが魚とのやりとりを行っている。竿先をがんがん叩いているので、すぐにイスとわかる。残念uenoさん。第5投。今度もウキがゆっくりと消し込んでいく。おっ、30cmの一線を越えた。深く深く紫紺の海へとウキが消えていく。間違いなく本命の当たりだと合わせるが、何と素バリ。どうなってるんだよ。これだけ消し込んでも魚を掛けられないなんて。第6投の準備をして左に視線を送ると、またまたuenoさんは魚とのやりとりを始めている。結構強い引きのようだ。やっとで水面を割った。浮いてきたのは、本命の600g程のクロ。慎重に玉網をかけるuenoさん。よかったね。uenoさんも幸先よく初メジナゲットとなった。

いくら瀬々野浦といっても
第6投。相変わらず沖へとウキは進んでいるが、潮受けウキゴムの方向はいつのまにか左横へと動いていた。底潮と表層の潮とが違うではないか。仕掛けをはっては流し、はっては流しと続けてると、ウキがゆっくりと消しんでいく。またおばけじゃああるまいなあ。ウキがまた見えなくなるまで待って疑念を抱きながら合わせると今度はギューンと本命らしい魚からの反応が出た。手前に引きよせるとクロがスーッとおよいでくるのが見えた。やがて浮くとばしゃばしゃとはねている。思ったより小さいので慎重に振りあげる。30cmを少し超えたサイズ。これで2枚目。このまま順調に釣れてくれればいいが。隣のuenoさんはイスズミだった。反対側の釣り人も魚を掛けている。もう1人の人が玉網入れをしている。本命らしい。魚の活性は悪くなさそうだ、と視線を足下に落とすと、餌盗りだらけだ。時化で心配されたがそれほど水温も下がっていないようだ。手前は餌盗りだらけなのでポイントをやや遠投気味にすることにした。潮は今度ははっきりと左へと流れるようになった。左側は根が点在していていかにもメジナが潜んでいそうな雰囲気がする。そこにいるメジナを撒き餌でおびき寄せて釣れということなんだな。上野さんがこれが本命潮というのもわかるような気がする。ちゃっかりと潮下の釣り座をゲットしている。さすがだ。午前8時を過ぎると上野さんの竿が曲がり出した。イスズミと混じって、600g程のクロを3枚ほど取り込んだ。私もその間に何とか38cmのクロを釣るが相変わらずクロの当たりを拾えない時間帯が続いた。違和感を感じるのか、ウキを30cmほど持っていくのだが、その後は必ず止まってしまう。2段ウキの小型棒ウキの固定仕掛けに変えるが結果は同じ。ならば、クロが餌をくわえた瞬間を掛けようと遠矢グレ00号で勝負するが、目盛りを1目盛り押さえ込んで合わせても素バリの連続だ。


いかにもメジナが潜んでいそうなタテビラ瀬

今度は仕方がないので、クロのいるタナを半遊動で直撃を狙うがこれも話にならない。ウキを沈めさえもしない。uenoさんが4枚目を掛けたとき、アドバイスが飛んできた。「おら、もうハリスば1.7号に落としたバイ。ウキは00号に変えたバイ。」ハリスを2.5号に落としてはいたが、この喰い渋りでは更に違和感を取り払わなければならないようだ。私もハリスを1.7号にウキをグレックスの00号の全遊動にそして、鈎も4号までに落としていた。こんな厳しい釣りになるとは全く予想していなかった。自分の考えの甘さにほとほといやになってきた。そんな時、永福丸が状況をみにやってきた。反対側の釣り人のいる磯より更に片野浦側の地よりの磯に4人の釣り人を下ろした。「どうですか。釣れてますか」uenoさんが指4本。私が指を3本立てた。時計を見ると9時前になっていた。「どうします?瀬替わりしますか?」uenoさんに意見を求めた。もうすぐ干潮。上げ潮に変わったら状況がよくなるかもしれないとここで粘ることにした。


理科の地層の勉強にもってこい でもメジナは?

しかし、その選択は間違いであることとあとになってわかることになる。喰い渋りは相変わらずで30cmの攻防が続いていた。喰わせても食いが浅く3回ほどばらしてしまった。2回ほどはっきりとした消し込みがあり、その当たりはモノにできたが、2匹とも30cm越えのシマアジだった。不思議といつもはイス釣り師と呼ばれるほどイスズミを釣りまくる私だったが今日は1匹も釣っていない。その替わりに上野さんがイスズミと戯れてた。しかし、その合間に2匹の600gのクロをゲット。干潮の後潮が完全に止まってしまい。休憩することにした。向こうの釣り人も一向に竿が曲がっている雰囲気がない。しばらくすると、永福丸が瀬替わりにやってきた。あまり釣れていない状況を察知して、「いくら瀬々野浦といっても工夫しなければ釣れませんよ。撒き餌を少しずつ切らさないようにしてください。」我々の方を向いて瀬替わりを聞いてきたが、ここで潮がよくなることを待つことにした。向こう側の釣り人は瀬替わりしていなくなってしまった。時計を見たら午前11時。期待をこめて釣り再会するも潮はよくなることはなく手前にタカベが沸いてきたので、おみやげにと3匹釣って納竿とした。


無念の回収


ナポレオンにリベンジを誓う

釣りを振り返って

今回の釣りは正につらい。瀬々野浦でこんなに喰い渋るとは全く予想できていなかった。その原因は確かに潮の流れがよくなかったということもあるが、クロがいた下げ潮の時間帯に30cmの攻防を制しきれなかったことが勝負を分けたと思った。また、撒き餌を切らさないようにしていたつもりだが、途中で集中力が途切れ撒き餌を切らしてしまい。魚が散ってしまうことにつながったと思う。例えば、魚を浮かせた時に撒き餌を撒く余裕がほしいものだ。撒き餌の配合は間違っていないと思うが、撒き方がよくなかったので、次回は必ずこのことを実行して釣果を向上させたいと思う。状況をすばやく見抜く鋭い詩人のような感性をもたなければならないとナポレオンに誓いメジナ王国瀬々野浦を後にするのであった。


uenoさんの初釣果 クロ500〜800g6枚


今回の釣果 クロ3(42cm,38cm,32cm)シマアジ2 タカベ3


うれしい冬魚のコース

やすの採点
メジナの造り★★★★
メジナの唐揚げ★★★★★
メジナの多国籍サラダ★★★
シマアジの塩焼き★★★
タカベの唐揚げ★★★★★

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