6/17 大アジを目指して 伊予灘一帯

5月から6月にかけて忙しい日々が続く。この時期は、様々な団体で、総会、定期大会などの行事が目白押し。6月の第一土日の絶好の潮回りには、例によって教職員バレーボール大会に参加。義理と人情の試練が続く。そんな中、何とか休みが見つかった。6月17日(日)だ。この日は組合の定期総会の翌日。前日の飲み方をノンアルコールで切り抜ければ、釣りができる。このところ寝不足で、たまには土日をゆっくり過ごしたいのだが、これも性。睡眠時間を削ってでも行くのが釣りバカたる所以。早速、どこに行こうかと情報を集め出した。
6月と言えば、磯釣り師なら心ときめく梅雨グロの季節。1年中でクロがよく釣れる時期の1つだ。梅雨グロはどうかといろいろ情報を集めてみるが、残念ながら今年は南九州では、いい話は聞かれない。唯一絶好調なのが、久多島だ。潮によってはイサキ混じりでクロが浅棚で入れ食いになるという。しかし、そこは初めての場所だし、不安が大きい。硫黄島はすでに夜釣りに入っており、9日の開幕戦から絶好調。シブ鯛を20枚釣った人もいるという。でも、夜釣りは、2日間体を空けなくてはいけないのでこの時期行くのは至難の技。結局、熟慮の末、磯釣りはあきらめ、産卵期を控えたデカアジをねらいに船釣りに行くことにした。


鮮やかなカクテル光線に見守られながら いざ出陣!

船釣りのアジと言えば、豊後水道の関アジしか考えられないのが今の私の思考回路である。早速、最近よく利用させてもらっているべっぷ丸さんに連絡をとる。人気の船だが、幸運にも17日のアジ釣りに1人だけ空きがあることがわかる。「はい、いいですよ。4時半出航ですから、4時にきてください」と船長の返事。今回は、デカアジに仕事の疲れを癒してもらうことにした。
6月17日(日)下り中潮初日。例年よりかなり遅く梅雨入りしたが、梅雨の初期は、例年通りしとしと降りだった。よって梅雨前線が停滞しているにもかかわらず、降水確率30パーセントで、「出航します。第2べっぷ丸でお願いします」ということ。よっしゃあ、釣りに行ける日が少ないのだが、うまいことに今まで何とか釣行できるようにポセイドンは私に味方してくれている。船釣りだから準備は軽装備でいい。早速、飲み方を1次会でノンアルコールで切り抜け、午後10時20分に人吉を出発した。
九州自動車道を北へ進み、熊本ICで国道57号線を東へ走る。阿蘇を越え、大分の竹田を通り、大分市へのバイパスに入ったのが午前1時過ぎだった。やはり仕事の疲れか、猛烈な睡魔との戦いだった。いつもより多く休憩を挟みながら別府楠港についたのが、午前2時半だった。第2べっぷ丸の停泊している近くに車をとめ、仮眠をとることにした。真夜中だが、人の声がする。デカアジを求める釣り人がはやる気持ちを抑えきれないでいるようだ。1時間ほど仮眠すると、船長や釣り人がせわしそうに歩いているのがわかり起き出した。
今回は、第3べっぷ丸が満員。第2べっぷ丸がライト五目釣りからアジ釣りに切りかえたようで、10人ほどの客が乗る予定のようだ。べっぷ丸は釣り座の確保は早いもの順で、私がクーラーを積み込もうとするとすでにねらいの後部座席は空いていなかった。仕方がないので、一番前方の左側にクーラーを置いた。予報通り、暗闇の港に小さな波紋が現れ始めた。雨が釣り人を濡らす。雨を気にする釣り人はいない。みな心は大海原での釣りに一直線だ。私も氷の配給を受け、キャビン内に入る。乗船名簿に名前を書き、出港を待った。


2時間15分ほど走り やっとでポイント到着

港から右手に見える鮮やかなカクテル光線にわずかに白み始めた空を仰ぎながら、午前4時半8名の釣り人を乗せた第2べっぷ丸はゆっくりと港を離れた。防波堤を抜けるとエンジンは一気に全速力に。向かうは、デカアジポイント伊予灘だろう。おそらく1時間半の航程。空が白々し始める速吸瀬戸をぐんぐん走り続けた。
1時間半が経過。伊予灘のいつものアジのポイントに入ったようだが、船は一向に止まらない。1時間45分、船はまだ走る。1時間50分、そして、2時間。おいおいどうなっているんだよ。他の釣り人もこんなに遠くにまできたのは初めてと呟く。「屋島の付近まできたんじゃないの?」とおどける人も。走り続けた第2べっぷ丸はようやく他船が見え始めた海原にエンジン音を緩めた。かかること2時間15分。南九州離島並みの航程だ。
いつものように船はゆっくりと旋回しながらポイントをさがしている。ポイントをきめるとポーターの方が手慣れた動きでアンカーを打つ。釣り人の動きが静から動に変わる。

いました いました 良型のアジ
釣りはじめから、入れ食いとは行かず。ポツポツと中型のアジが上がる程度。最初のポイントに早くも見切りをつけ、船はアンカーをあげて再び走り出した。この時点で私の後ろの方の3匹が竿頭。私も2匹。半数の人はまだ魚信さえないという状況だった。
船はしばらく走ると、第2べっぷ丸が見えるところでエンジンをスローに。ここでは、アジが入れ食いに。デカアジもまじりようやく船に活気が漲った。中型アジはいないようで、大型もしくは特大サイズが釣り人を歓喜させている。私も3匹ほど許せるデカサイズを釣り、生け簀には12,3匹のアジが泳いでいた。船が波で揺れるため、時折アジがバレ。7匹ほど損した。
しかし、入れ食いもここまで、下げにはいると魚の活性は落ち、納竿までポツポツと釣れる程度に変わった。午後1時過ぎ、餌もなくなったので納竿。結果、15匹。おみやげには十分。本日は大漁とはいかなかったものの、サバや特大アジが釣れ、釣る人10匹〜25匹のまずまずの釣果となった。



本日の竿頭 探検丸 いいなあ



昼頃はあたりがありません


魚は神経シメしてくれます


ショッピングモールが建つそうな 別府楠港


本日の釣果 30〜40cm アジ15匹

驚いたのは、魚釣りではなく、天気だった。帰りは例によって別府ICから高速道路に乗って、車を走らせるのだが、天ヶ瀬あたりからとんでもない土砂降りの雨が車をたたきつけた。視界不能。50キロの減速を余儀なくされることに。そして、その土砂降り雨のカーテンを過ぎると、突然穏やかな曇り空が。どうなってるのと首をかしげていると、再びバケツをひっくり返したような水の塊が空から降ってきた。再び視界不能。こんなことを繰り返しながら杷木ICを過ぎるとようやく雨雲のテリトリーの逃れることができた。ホッとして大分道から九州道へと車線変更する。しばらく走って熊本ICを過ぎると、また、あのとんでもない雨がやってきた。こんどは雷まで連れてきて、しかも松橋まで続いた。またまた、視界が・・・。
こうして、やっとのことで家まで帰り着いたのが午後7時半。家族が私の帰りを待っていてくれた。この訳のわからぬ天気はどうらや、私に退屈をさせずに安全に家に帰るようにという空からのメッセージだったようだ。鯵をさばきながら、「釣りは家に帰り着くまでが釣り」という使い古された、しかし、大切な格言を頭に描きながら次なる離島への夢を見つつ関アジの刺身を舌で転がすのだった。


刺身がぷりぷり最高!


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