8/27 初めてのリレー船 錦江湾

「あっ、カマタさん?申し訳ないんだけれどもね。船が故障してね。折角楽しみにしていたと思うんやけど、出れなくなりましたわ。」黒潮丸からの悪魔の電話だった。しばらく、言葉を失ってしまった。5月27日以来、硫黄島への釣行が叶わず、船釣りだの、黒島だの、内之浦だのいろいろな釣りをやってきたが、やはり夏と言えば、硫黄島でシブダイを釣るのが目標だ。今年は、いろんな不運が重なって硫黄島のシブダイねらいの釣りができなかった。だから、今年はまともなシブダイを釣っていない。何とか8月26日からの夜釣りでと願ったところ、黒潮丸の船長が客を集めてくれて実現まであと一息のところだったのに。波予報は、1mと8月のこの時期としては、最高の海況。仕掛け作りも終え、ブッコミの道具を詰め込み、後は硫黄島へ行くだけだった磯バッグが泣いている。

5分ほど放心状態になった後、我に返り次なる目標へと切りかえるべく頭の中を整理した。黒島もだめ、草垣群島への第八美和丸も出ない。どうしてもシブダイをならあとは甑島か。すると、HPで2,3日前からハマチの群れが接岸したと報告があった大分県蒲江の西の浦釣りセンターに連絡を入れた。シブダイの強烈な引きの代わりになるものと言えば、やはり青物だと思ったからだ。1人で申し訳ないと言うと、何とか釣りはできるそうだ。ラッキー。西の浦釣りセンターの船長と話をしていると、やる気モードに変わっていった。はっきり言って大分県は遠い。夜中走るよりもと、前日の午後から自宅を出発することにした。すると、阿蘇の馬見原から宮崎県に入ったところで、西の浦釣りセンターから電話があった。これも悪魔の電話だった。「あのー、鎌田さん、途中でオキアミ買ってきてくださいな。実は、今日ブリは釣れなくてね。タイをねらうかもしれませんから。」確かに蒲江では、8kgクラスの大型の鯛が釣れることで有名だが、大分に行く意味は青物を釣るためなのに。いつもの冷凍餌が時期的に早いため手に入らず、アジを釣っての生き餌泳がせ釣りでトライしたそうだが、だめだったそうだ。折角1人の客にいろいろ親切にしてもらったのに気の毒だが丁重にお断りすることにした。


フィッシング一屋さん お世話になります

時は、すでに午後2時半を過ぎていた。この場所でこの時間では、これから夜釣りで甑島などは間に合わないだろう。夜釣りをするためには、もうターゲットを変えるしかない。HPを見ていると、錦江湾の船釣りの海晴丸が夜釣りで太刀魚がよく釣れているという情報が飛び込んできた。ここだと予約を入れるが、「満員でねえ」だった。ほかに、太刀魚をやるところはないかと探していると、同じ錦江湾に出船するフィッシング一屋があった。電話で内容を聞いていると朝5時までは太刀魚釣りで日が昇ると朝9時までアジ・サバ釣りをするリレー船を出すそうだ。こうして、シブダイねらいの釣行がいつの間にか太刀魚、アジ・サバのリレー船になったのであった。

午前2時半に鹿児島県隼人町の一屋の釣り具店につき、説明を受け料金を支払い、そして、餌を受け取ると今度は船の待つ隼人港へと車を走らせた。船長が四駆で駆けつけ、船を港に着ける。本日の客は5名。ベテランのオジサンたちばかりである。みんなそれぞれ自分のタックルを準備して早くも戦闘モードだ。私はお任せコースだから楽ちん。荷物を乗せて午前3時20分頃船は隼人港を離れた。真っ暗な錦江湾をゆっくり進む「一屋6号」。

20分ほど暗闇の海をゆっくり航行してはやくもエンジン音がスローになった。ここがどこかはわからないが、このスピードでこの時間なら、錦江湾奥であることは間違いない。しかも、港からすぐのところであろう。ガシャーンと船長がアンカーを入れる音がする。その音を合図に釣り師たちの動きがにわかに速くなった。私はお任せコースだから、船長から釣りのレクチャーを受けて釣ることにした。


キビナゴがつけ餌

一屋での釣り方は、こうだ。発光玉つきのハリにキビナゴを差し込み、それを針金で固定する。天秤仕掛けでおもり付きだ。からまないように注意しながら仕掛けを落とす。60mまで落とすと、3mほど一気に巻き上げる。そこからゆっくりと電動リールで巻きアタリを待つ。アタリは向こう合わせ出かかることもあるが、10匹に1匹の割合。竿先にでるわずかな動きを見抜き一気に電動リールを高速で巻きフッキングさせるのだ。どれだけわずかなアタリを見抜き、速く巻いて喰わせるか、太刀魚との知恵比べをしなさいということだった。また、発光玉がよく光るように一回一回ライトに当てるようにというワンポイントアドバイスも受けた。


第1投からアタリが

いよいよ釣りだ。3,40mくらいでよく当たるそうだが、最初は60mから始めるのがいいそうだ。言われたとおりにやってみると50mくらいのタナでいきなりのアタリ。しかし、あわせきれなかった。これかあ、これが知恵比べになるんだな。第2投ではやくもフッキング。第1号はきれいな指4本サイズだ。「釣れたら、太刀魚のくびをもってハリをはずしなさない」こういわれるが、太刀魚が暴れて中々うまくいかずに、もたもたしているとき、太刀魚に胸を咬まれてしまった。流血。これで自分の闘争本能に火がついた。それからは、だんだんコツをつかみ2本目、3本目と抜きあげる。面白いことに朝が近づくにつれて、魚のタナがどんどん浅くなっていった。このタナとりも大切のようだ。


指4本クラスの喰いが活発

わずかなアタリがわかるようになると、太刀魚が4本、5本と面白いように釣れ始めた。時間を忘れて釣っているといつの間にか東の空がオレンジ色に染まり始めた。もう終了か。船長が「これで最後にしてください。」と声をかける。最後も魚のアタリをとらえた。タナは10数mにまで浅くなっていた。しかし、残念ながらバラシ。かくして前半戦の結果は、指4本サイズが14本と初めてにしてはまずまずの釣果となった。


わずかなアタリを見逃すと こうなる


太刀魚は夜明けまでが勝負


1時間半で14本はまずまず?

さて、明るくなって気づいたが、太刀魚のポイントは、加治木港沖だったようだ。リレー船の次なる目標は、桜島の北東部に浮かぶ燃島のポイントだ。20分ほど走ってエンジンをスローにする船長。ポイントを探り、アンカーを入れる。今度は、アジ・サバだ。やはり前回と同じく、船長から釣りのレクチャーを受けて始めることにした。今度は上かごのサビキ仕掛けだ。餌は、赤アミにパン粉を混ぜたもの。「釣れないというのが難しい釣りだよ。とりあえず20mでやってみなさいな」と船長がゲキをとばす。
ところがだ。大潮というのに潮がまったく動かないではないか。竿先から垂れているPEラインはいつまでたっても真下に向かっているのだった。30分ほどたってやっとでぽつりぽつりと魚からの反応が出始めた。しかし、食いがいつまでたっても立たない。船長も釣りをしていたが、プロの船長でさえ、魚を食わせることに苦労していた。


今度は、船釣り師の間では有名な燃島のポイントでアジ・サバ釣り

魚のタナもころころ変わる。はじめは、17,8m位で当たっていたのに、だんだんタナが深くなって20mになり、最後の方では28mくらいで当たっていた。食いは最後まで立つことなく、約束の9時になったので納竿することにした。


上かごのサビキ仕掛け


この日の喰いは今一歩だった アジ・サバで20匹

シブダイ釣りの予定が、いつの間にかリレー船での釣りになった今回の釣行。次回は、必ず離島へ行くぞと心に誓いながら、隼人港を後にするのだった。


本日の料理

太刀魚、アジ、鯖の造り
太刀魚のアスパラ巻き
鯖の味噌煮

特に、太刀魚の造りは脂がのって最高でした


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