11/25 ステッカーの威力を検証する 甑島一帯


このステッカーの効果はいかに

暑い秋が来て、突然の寒波の来襲で初冬を思わせる11月。二十四節気によれば、時すでに、冬寒の到来を感じ、山に初雪が見られる小雪22日を過ぎ、24日となった。今年は、秋がなかったなという声が聞かれる。地球温暖化の牙はもうそこまで近づいている気がしてならない。TVを見ているだけでも、世界規模で北極の氷だ、ヨーロッパの氷河がという警告が発信されているのがよくわかる。日本最大の湖「琵琶湖」でも、異変が起こっているそうだ。例年なら、夏に温まった琵琶湖の水と山からの冷たい水が混ざり合い、湖の底の水と表層の水とが混ざり合い、湖の環境が保たれる。これを琵琶湖の深呼吸というらしい。ところが、今年は山からの水が冷たくないため、底の水が混ざることなく酸素不足の状態であるという。これは、琵琶湖にすむ生き物にとって重大な危機だそうだ。栄養が豊富な底の水である「死に水」と酸素が豊富な表層水である「生き水」が混ざり合うことが潮目であり、それが魚にとって住みよい環境であることは釣り人なら誰もが知っていること。潮の流れがない淡水の琵琶湖が、今年のこの国の異常気象で大きく影響を受けている。日本の内陸で起こっていることは、やがてはその沿岸の海でも起こりうること。淡水の生物の危機は、巡り巡って海の生物にも及ぶことだろう。今こそ、人間は自然に対して畏敬の念を持ち、CO2排出規制などの具体策を地球規模でやらなければならないのではないか。

そんな思いを抱きながら、自然に対する畏敬の念をもつために釣りを計画。11月25日に照準を合わせた。いつもならこの時期は、甑島などのクロ釣りをやるところだが、水温は22度くらいに下がってきているものの、まだ本調子とは言えない釣況。硫黄島のシマアジ釣りのリベンジを考えてみたが、25日は大潮でほとんど下げ潮での勝負になる条件の中、このところ下げ潮で冷水塊が入る硫黄島では、大変厳しい釣りが予想される。

そこで、急浮上したのは甑島の船釣りだ。11月3日の船釣りでは、潮の流れに恵まれず、15匹と微妙な釣果に終わった。このリベンジもまだはたしていない中、甑島の船釣りは好調であるという情報を得た。まだ甑島での船釣りで納得いく釣果を出していないこともあって、串木野港から甑島の沿岸までの釣りをサポートしてくれる釣好に電話した。

今回船釣りに行くのは、もう一つ理由がある。ネットで知り合った横浜の釣りクラブ「チームZAKO」からステッカーが送られてきた。このクラブは、ネーミングからもわかるように楽しい釣りクラブだ。普通釣りクラブでは、名前やニックネームで呼び合ったりするものだが、このチームではZAKO1号、2号などと呼び合っているらしい。実は、私はこのクラブにいつの間にか強制加入させられてしまっていた。ZAKO15号を襲名することになったのだ。その襲名の契りとしてステッカーを送ってもらったのだった。チームZAKOは船釣りのクラブ。彼らに義理と人情で応えるには、ステッカーを貼ったクーラーを持って船釣りに行くことが大切と考えたのだ。クーラーにステッカーを貼るという新しい行為が、今回の釣りにどう影響するのか。どういうジンクスが起こるのか。これを検証するのだ。


いつもの中甑沖

11月25日、大潮。朝5時過ぎに釣好に到着。太陽のような笑顔で迎えてくれるおばちゃんにあいさつした後、最近の釣況を尋ねてみた。「昨日はどうでしたか」「昨日はね、マグロはいなかったけど、カンパチやら、ホタ、オキアジなんかがよく釣れましたよ。みんな早く集合されてね。8時出港の予定が7時には出ましたよ。」なるほど、24日は草垣群島への離島便が出たようだ。「23日はどうでしたか」「23日はチャーターだったんですよ。○○保安庁の人たちでしたよ」「釣れましたか」「1年に1度の人たちばかりだったからもう一歩でしたけどね。でも、アジ、チコダイ、レンコダイなんかがよく釣れますよ。今日は天気もいいし、べた凪でしょう。いっぱい釣ってきてください。」さりげなく釣り人のモチベーションを高めてくれるおばちゃん。遊漁船のおばちゃんってどこの場所でもこんな感じだ。本日の客は、私を入れて11名。5時半過ぎに船長釣具店に現れ、竿とリールを受け取る。今回も手ぶらお任せコースだ。船長の後を追いながら、船が待つ串木野港へと車を走らせた。

満月の大潮だから、甑島一帯は激流が流れることが予想された。釣具店「釣好」で5号ハリスの仕掛けを5つほど買い、大潮でのトラブルに備えた。クーラーと磯バッグを船首付近へともっていくと、船長から、「くじは9番です」と言われた。ここ釣好では、船釣りで結構大切な釣り座の選択はくじで行われる。船釣りで有利といわれる一番後ろから1,2,3・・・と12番が一番前となる。どうやら私が最後の客だったらしく、くじは9番しか残っていなかったようだ。9番付近に荷物とクーラーを置き、キャビン内に滑り込んだ。エンジンがつけられる。釣好は、昨日の離島便の旅の疲れを感じさせることなく、午前6時10分、串木野港を離れた。

港を出るとエンジンは高速に切り替わる。さて、甑島の豊饒の海は、この釣り人に一体どんなシナリオを用意してくれているのだろう。波1.5mのち1mという予報だったが、結構揺れている。すると、いつも出航前に飲んでいる酔い止め薬「アネロン」を飲み損ねたことに気づく。やばい、とすぐに飲んだ。午前7時20分頃、エンジンがスローに変わった。ゆっくりと航海しながら、ポイントを探す釣好。やがて船は止まり、アンカーが入れられる。釣り師の動きが活発になる。いつもの中甑沖のポイントのようだ。


9番の釣り座は逆光でつらいっす

竿と電動リールを受け取り、仕掛けのカゴ付き半月天秤に釣好オリジナル3本バリ仕掛けをつなぐ。おもりはあとになって気づいたが150号。船長は確か「錘は200号で」とマイクで言っていたような。撒き餌は、パン粉1kgに赤アミ3kg。手で丹念に混ぜた。つけ餌はもちろんオキアミ。「底から4m〜10mをねらってください。」を合図に釣りがスタートした。仕掛けを落とすとまだそれほど潮は速くない。もうすぐ満潮の潮止まりになるためか。早くも隣でチダイが上がってきた。隣の人にタナを聞く。「底から4mですよ。」タナをあわせると自分にもチダイが上がってきた。魚を触っても温かく、今日は魚の活性が高いようだ。第2投目での釣果に気をよくして、第3投でも連続ヒット。今度もチダイ。こうして、チダイ、レンコダイ、カイワリの小型など9匹ほど釣って時計を見ると午前8時半。満潮の潮止まりを迎えた。

潮止まりといっても潮は動いており、時々お祭があったりみんな釣りにくそうである。ここ9番の釣り座は、東向きでかなりまぶしい。それに、潮は常に船の後方面へと流れているので、こちらは潮上になる。自分たちの餌が潮下の釣り人に流れていく。9番は明らかに不利な釣り座だ。そこで、前回の釣りで学んだ頻繁に誘いを掛けてつけ餌をアピールする作戦をとった。また、ここは水深が90m以上と深いので、アタリがあって電動で巻き上げるときに時間がかかる。そこで、手返しをよくするためにハリス2本作戦をとった。巻き上げる時に、もう一つの仕掛けに餌をつけたり、釣れた魚を絞めたりするのだ。


大潮の激流の中で奮闘する釣り師たち

8時半の満潮潮止まりを過ぎると、表層から底まで一直線の見事な潮になった。すると、あちらこちらで魚が釣れだした。底近くは、チダイ。そのちょっと上をねらうと良型のコゼン(カイワリ)が釣れた。クーラー半分まで釣ったところで、午前10時頃からいよいよ潮が速くなってきた。正に激流と呼ぶにふさわしい潮だ。すると、お祭警報が鳴りっぱなしに。船長から200号の錘をもらうが、それでもお祭のオンパレードだ。それでも、何とかポツポツアタリを拾っていった。潮が速くなると、アタリは不思議なことに更に深くなっていた。PEラインが速い表層の潮で斜めに海中に突き刺さっていく。仕掛けを回収しようとすると、あらまお祭りというパターン。しかし、同じ船に乗った釣り師たち。一期一会の心でお互いに助け合ってお祭の解消に協力していくのだった。


激流はおまつりを頻発させる


美味しいおみやげ♪

時間も過ぎて、正午を過ぎるとようやく潮が落ち着きだした。すると、今度は、良型のカイワリに混じって、大アジが釣れるようになっていった。満月の大潮という潮の速い条件では、やはり潮がゆるんだ時にアタリが集中するようだ。2時納竿ということで、早めの1時半頃に大アジの釣果を最後に釣りを終えることにした。結果、終わってみればクーラー満タンの釣果。チームZAKOのステッカーの御利益は、かなりの効力があるということになった。

1時間で港へ帰る。船長からすぐに、「写真撮らせてください」どうやら、自分が今日の竿頭だったようだ。快適な釣りをサポートしてくれたお礼を船長に言いながら、船釣りの魅力について考えてみた。確かに、師匠uenoさんが言うように、磯釣り師にとって船釣りはフカセ釣りと比べると魅力に欠けるかもしれない。しかし、魚が必ずいる中での釣りは、ある意味プレッシャーのかかる釣りになる。船という近い釣り座で勝負しているので、他の人が釣っているのに自分だけ釣れないでは言い訳ができない。そういう緊張感を持ちながら魚を釣ることができるのが船釣りの魅力ではないか。

いよいよ師走はもうそこまで来ている。忙しくなる仕事の中で、12月の釣行では、シマアジ釣りかクロ釣りという本来の磯上物釣りに照準を合わせることになる。そこで、船釣りで効果のあった実績をひっさげて、ステッカーを硫黄島まで連れていき、磯釣りへの効果はどうだか試してみたいと思うのだった。


ステッカー効果で本日の竿頭に
アジ カイワリ チダイ レンコダイ


アジ カイワリの造り レンコダイ チダイのアクアパッツア


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