6/7 梅雨グロでリベンジ 中甑 鹿島

梅雨前線が日本列島にどっかり腰を据えるこの時期、産卵を終えたクロが水面近くまで乱舞して餌をむさぼり食う。いつしか磯釣り師は、こんなかわいいクロの姿を親しみをこめて「梅雨グロ」とよんだ。いつの間にか、離島釣り師になり、硫黄島をHGとするようになって、昔心ときめいていた梅雨グロねらいに出かけるのも久しくなっていた。

 6月1日に硫黄島の夜釣りシーズンが開幕した。船長に連絡をとると、時化気味で渡礁場所が限られたにもかかわらず、普段夜釣りではあまり使わない西側の地磯「2番瀬」でアカジョウの3〜4kgが2本、良型のシブダイが出たとの情報が飛び込んできた。

 アドレナリンが血管内のコレステロールを削り取るほどの勢いで全身を駆け巡った。硫黄島の山肌が呼んでいる。海が自分を呼んでいる気がした。すぐさま黒潮丸に予約を入れた。

 ところがだ。6月は時化で硫黄島の夜釣りに一度も行けないというジンクス通り、「熱帯低気圧が発生してね。4mというとりますわ。」と明らかにPホールとわかる効果音の中、第2戦を中止にしなければならない無念さを、船長は携帯の向こう側でそのように語ってくれた。

 さあ、どうするどうする。師匠uenoさんも悩んでいたが、「甑のクロ釣りに行こい。これば逃せば、またいつ行かれるかわからんもん。」そこで、甑島の中でもただいま絶好調の手打はどうかとFナポレオン隼に連絡をとるが、「満員で〜す」といつもの奥さんの声。なら、瀬々野浦はどうかと連絡するが、どうしても携帯がつながらない。3番目に連絡を入れたのが、鹿島へ誘う「誠芳丸」。「空いてますよ。3時出航です」


荷物をまとめ、uenoさんとともに、串木野港についたのが、午前2時頃。海上保安庁の船がぼんやりと見える。


鹿島随一の渡船誠芳丸登場!

本日の客15名ほどを乗せた船は、信じられないほどの凪の海を甑島を目指し、ひた走る。仕事の疲れから心地よい眠りに落ちて目が覚めたら、そこは暗黒の東シナ海であった。「○○さん」と船長が呼んで、渡礁が始まる。前日のрナ船長に「イサキの釣れるところにお願いします。」と伝えていたが、「イサキは遅れているみたいであんまりあがってないです」とのこと。一体どこに乗せてもらえるのだろう。前回の鹿島はボウズという散々な結果だっただけに、不安いっぱいで名前が呼ばれるのを待った。ほとんどの釣り人がデッキに出ていたので、自分たちも準備をしていると、視線の先に切り立った黒い島影が見える。由良島だ。かなり走ったと思ったら、誠芳丸は鹿島の南の端までやってきていたのだ。このあたりは、来たことがないだけに、期待感が高まった。由良のカブリには先客がいたので、由良のハナレに1人の釣り人を乗せた。「カマタさん、準備してください。」船長についに呼ばれた。よっしゃあ、不安が期待に変わる瞬間だ。
ところが、船は期待に反し、北へと舵を取った。全速力で立神を過ぎ、西ドマリ、西崎の磯群を過ぎて、池屋崎が見えてきたところで、エンジンがスローになった。「○○さん、高島の裏行きましょう。」我々の前の釣り人は、幸運にも、底物、尾長に口太のデカ番の期待が高い、高島に乗ることができる。いいなあと思っていると、我々も幸運にも高島の表に乗せてもらえることになった。


上げ潮の激流で釣りにならず

「ここの先端と左のワレ、船着けもいいですよ。」と船長のアドバイス。ところが、ここは左の浅い根に回り込むようにして上げ潮の激流が流れている。とてもじゃないが釣りにならない。勝負できない時間だけが過ぎていく。しかたがないので、9時過ぎに船長に予約しておいたあったかい磯弁を頂くことにした。


暖かい磯弁 味噌汁付き うまい!

この高島は釣れる気がしないので、瀬替わりさせてもらうことにした。行き先は、池屋のハナ。低い瀬で、正面の釣り座の左右が浅い根があり、ワンドになっていた。ここは下げのポイントらしい。撒き餌をしばらく打ってみる。潮は手前に当たってきているが、魚がチラチラ見えている。高島より魚のやる気が感じられた。ウスバやイスズミがいるね。って、しっぽの白いクロも見えるじゃん。「uenoさん、クロが見えますよ。」がぜんやる気になるおいらたち。


クロが見えるバイ

第1投で早くも道糸が走った。なんだこいつは、時折竿を叩いている。イスズミのような下品な引きではないが、クロではなさそう。上がってきたのは、サンノジ。がっかりだが、魚の活性を確認できかなりの精神的なアドバンテージになった。


魚の情報を伝えてくれたサンノジ


その後ブダイ2連発で、仕掛けが深く入りすぎていたと道糸を張り気味にしていると、クロが喰ってきてくれた。40弱の元気な口太。何とかボウズ脱出。ホッと胸をなで下ろす。イチノジの後、再びクロ。ブダイのあいさつの後、クロを連発し、4匹で納得の釣りを終えた。鹿島の梅雨グロは瀬ムラがあり、本格的なシーズンとは言えない状況だが、これからが楽しみだ。


納竿間際のアタリもむなしくブダイのuenoさん


ありがとう 池屋のハナ


本日の釣果 クロ35〜39cm4枚
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