11/8 釣れんフルエンザの治療に 大分鶴見一帯

鰤が食べたくなった。

全国的に新型インフルエンザが大流行し始めた。4月に日本からはるか太平洋を隔てた国メキシコで、猛威をふるった新型インフルエンザが海を渡ってこの日本にもやってきたのだ。この人吉盆地でも警報レベルにまで達している。各学校で学年、学級閉鎖という事態になってきた。これから、冬に向けてさらなる警戒が必要だ。

釣り師にとって、新型インフルエンザに匹敵するほど恐ろしいものがある。それは、釣れンフルエンザである。感染源は兵庫県の風雲児さん。彼はネットからウイルスを蔓延させているらしい。症状はこうである。

@とにかく魚が釣れない。

A釣行を計画すると時化る

B釣れないとすべてがマイナス思考に支配される
例「ああ、どうせ俺は釣れないんだ」など

釣れンフルエンザのワクチンを風雲児さんにお願いするも、紹介されるのは「波フル」「トレンザ」など副作用の強いものばかり。このままでは、間もなく寒グロシーズンに突入するが、惨敗続きの最悪の結果になることは目に見えている。このまま硫黄島に出かけてもイスズミやソウシハギ、ウミガメ、サメなどのアタックを受けてしまうだろう。一体どうすればよいのか。

 このところ惨敗続きで、魚に愛想つかされているおいらは、今年最後の離島の夜釣りをもくろんでいたが、2日間体を空けるのはとても無理ということで、硫黄島行きを断念した。11月7日は教育研究集会の分科会の司会の業務が阿蘇のホテルで待っている。人吉盆地から阿蘇まで車で2時間は見ておかなければならない。まてよ、折角、阿蘇まで来るなら、大分方面へ釣りにいくのはどうだろう。釣りナビで佐伯港から出港する松風という遊猟船が、800〜1kgのヤズが入れ食いという情報を発信していた。ハマチや鰤には興味があるが、ヤズは今一やる気にならない。しかし、今後秋が深まるにつれ、大型の鰤が回遊してくる季節がやってくる。その時のためにリサーチしておくのも悪くはないのではないか。このように釣りバカの思考回路が働き、鰤が食べたくなったということになったのだ。

 鰤の釣り方はその地方でさまざまである。もちろん磯でも鰤を釣ることは可能であるが、確率が低すぎる。自分のようなものでも釣れるような魚影の濃い、お手軽な釣りはそうない。いろいろ考えたあげく、数年前から大分の鰤釣りに照準を合わせているのだった。

 松風の船長と連絡を取り合い、佐伯港に着いたのが、前日の夜8時ごろだ。何とか待ち合わせ場所の漁協前の駐車場を探し当てた。その後、せっかく佐伯に来たので街の様子をリサーチしに繁華街へ出た。駅前はなぜかさみしい。繁華街はここから車で5分くらいのところにあった。うまいもの街で、佐伯の魚を堪能したくて、ある小料理屋に入った。土曜日なのに客がだれもいないことに不安を覚えたが、感じのよい女将さんが話し相手になってくれてよかった。女将の自慢は、佐伯ではマグロ以外は、すべて天然ものの地魚をお客さんに出すことができるというものだった。さすがに大分だね。お勧めのサバと自分の希望したサヨリの刺身をいただきながら、ビールが何ともうまかった。親切なことに女将さんは〆のラーメン屋まで紹介してくれた。そのラーメン屋の名前が「金太郎」こってり味で売っているその店のラーメンのスープが、ほんのり魚の出汁が入っていることを確認し、最後まで魚の恵みをいただき幸せな気分で待ち合わせ場所の港へ戻った。ここで、車中泊し、集合時刻の午前3時半を待つのだった。


佐伯市内の繁華街にある小料理屋


小料理屋の女将から紹介されたラーメン屋


こってり味だが さすが漁師街 ほんのり魚介の出汁が


 午前3時ごろ全員が集合。本日は、日曜日なのにキャンセルが出たらしく、釣り客はおいらを含め2名。3人が遊猟船の船長、乗組員という珍しい構成となった。


ブリ釣りを演出くれる松風さん

 ポイントに午前4時20分ごろ到着。鰤の養殖いけすに係留して早速釣りを開始。えっ、鰤釣りって夜?そう、ここの鰤は夜でも喰うとのこと。驚きながらも仕掛けを準備してもらい仕掛けを落とした。「タナは15mね」船長がアドバイス。もう一人の釣り師熊本の菊池から参戦されているNさんから、「5,6回ほど仕掛けを打ち返すと、突然鰤はヒットしてきます。一人が当たると、船内の釣り人みんなに次々に当たるから面白いですよ」とこんな話を聞いていた。ドキドキしながら籠の撒き餌を出すために竿をしゃくり、竿先を凝視し続けた。

 竿はダイワHOKAGE120号、電動リール、PE6号、そして、ハリスは何と驚きの16号の1本バリを3mとるという天秤ふかせという釣り方だ。おもりは80号に、かごは佐伯でしか売ってないというとんでもないデカ版サイズのカゴだ。撒き餌さはイワシやサバなどのミンチ。つけ餌はサバの切り身だ。餌は蒲江の西の浦釣りセンターと同じだ。

 緊張感をもって釣り続けるが、一向に当たりがない。ヤズが次々に当たってくる仮説を立てていただけにだんだん不安になってきた。「青物は、釣れる時は釣れるが、ボウズもよくあるからね」と誰かが不吉な出来事を。「本当に夜釣れるのかなあ」と半信半疑で竿先を見つめていると、竿先が忽然と一気に海中に突っ込んだ。「来た。来た。」と乗組員のおじさんが叫ぶ。「でかい、でかい。網だ、網。」120号の竿が見事な弧をえがいている。慎重に巻き上げて浮かせた。船長に網を入れてもらい。思いがけなく釣れたのは、4kgオーバーのハマチサイズだった。第1号としては、大きいサイズだ。坊主を脱出し、ほっとした。更に、15分ほどして、2本竿を出していたNさんの一つに何者かが当たってきた。これも同サイズのハマチだ。2本釣れて2人とも坊主脱出。緊張の夜釣りはここで終了。

 朝が来た。「はいっ、ここから1時間がゴールデンタイムです。」と乗組員さん。鰤は朝が一番活性が高いことは知っている。9時が納竿だから、何としてもこの時間に釣果をあげなくては。しかし、6時、6時半、7時と時間だけが過ぎて行く。「船長が20mね」と次のタナを指示。とここで不思議に思った。夜釣りバーションの16号ハリスでいいのだろうか。「ここは16号でも喰います」と船長。驚きだ。朝方でも16号ハリスでも喰うなんて。まるで離島の船釣りだ。


生簀周りに回遊してくる鰤を狙います


一気に竿を絞り込むあたり


神経〆や血抜きまでやってくれます

 「魚探には反応があるんだけどね。40mね。」更に、船長は深いタナを攻めるように指示。これが見事に当たった。午前7時半過ぎに、一人の釣り人に鰤が当たったかと思うと、仕掛けを入れるごとに鰤が喰うという入れ食い状態に突入だ。次々に、鰤が仕留められていく。忙しい釣りだ。この時に、4.8kgの本日最大サイズをゲット。そのまるで一瞬とも永遠ともいえる短い時合いは8時には終わりを告げた。終わってみれば、3〜4.8kgのハマチ6本、マダイ30cmクラス1枚という初めての大漁となった。


もっとおっきなクーラー持ってくればよかった


ありがとう豊の国の海よ


3kg〜4.8kgが6本


潜水艦の歓迎を受けました


優しい秋の佐伯港

 これから、この場所は、鰤の方が大きくなり、7kgクラスまで期待できるという。大分の魚の恵みを心行くまで堪能した今回の釣行。ツレンフルエンザのリハビリには最高の釣りになった。港へ帰ると、穏やかな優しい表情の佐伯港が迎えてくれたのだった。


魚の新鮮さを味わう鰤シャブ


ぶりのモツバター炒め


鰤茶漬け

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