2/24 尾長か白子か 宇治群島


早春の宇治

2014年が明けて尾長グレ、デカ口太の季節がやってきた。今年こそはと気負うものの、未だ結果を出すことができない。いやそれどころか磯に立てない日々が続く。


 
 12日に初釣りを済ませたものの、その後全く釣りに行けず2月になった。今年の冬は寒いという気象庁の長期予報どおり、関東では記録的な豪雪となった。




 
これで順調に水温が下がってくれたらと思うのだが。水温のせいかはわからないが、離島の尾長シーズンまっただ中といわれる2月になっても相変わらず散発的な釣果だった。




 
 
梅の花が咲き始めたにも関わらず、宇治も硫黄も尾長どころか口太さえ口を中々使わない状況だった。



 
 高校野球のオフシーズンの2月に何とか釣りにいなかくては、硫黄島を考えていたが、ここは鮫島まわりに出撃すると思われていたサザンクロスを頼りに宇治に照準を合わせた。


 
 心配していた天候も問題なく、「12時出航です」の吉報を前日に受け取った。はやる気持ちを抑えながら午後11時に串木野港に到着。釣り人の話からぼちぼち喰いだしたことを察した。


 
 
 今日は単独釣行。気楽な気持ちで船底に潜り込む。サザンクロスは渡船としては最大級の大きさで安心。午前0時に串木野港を離れ船は宇治へ向かって対馬暖流に逆らって進んだ。べた凪の東シナ海を進むこと3時間ちょいでエンジンがスローになった。



 
わずかな月明かりに照らされた漆黒の海がサザンクロスを迎えてくれた。ほれぼれするような潮が流れている。



 
複雑な潮流の動きをたどっていくとそこに真っ黒な巌が突如として出現。宇治に5,6回いけばなるほどと場所を特定できるようになるほどよく知られた鮫島周辺に到着した模様。



 
 
鮫島は宇治で最も尾長の実績が高い場所だ。尾長が居付いていることを示すサメの回遊もあり、魚をかけた後も注意が必要。



 
ゆっくりと磯ブーツを履いていると、最初の組が渡礁を始めた。
 
kamataさん準備してください。」



 
の声も同時に聞こえてきた。そして、船はゆっくりと鮫島本島の足下に切り立った姿を見せてくれるハナレ瀬に近づいた。


 
小鮫だ。喜びの表情を隠しきれない釣り人3人が無事渡礁を済ませる。ここはよく知らないが、かなり実績の高いポイントらしい。船長がサーチライトで磯際を照らしながら事細かくポイントを解説。



  
 
ここの船長は若いが本当に親切だ。釣り人の心を汲み取り、潮や魚の喰うポイントやタナ、仕掛けについてまるで釣り番組の解説のような詳しさだ。


 
注意深く聴いていたわけではないが、とにかく尾長釣りたいなら瀬際50cm以上仕掛けを放してはならないことを力説していたようだ。



 
比較的時間に余裕がある離島の渡礁だからこそ許される贅沢といっていい。ここは小鮫といって、尾長、口太ともに抜群の実績があるそうな。


 
「はいっ、kamataさん次いきますよ」


 
船長に促されて、船首部分に移動する。船のサーチライトがおいらの渡礁場所を教えてくれる。

 


小鮫と水道を挟んで反対側の本島の壁のようなところに明かりが当たっている。鮫の水道というらしい。


 
ホースヘッドのタイヤが渡礁場所を探し当て、素早く磯に飛び移る。荷物を受け取り、船長の解説を待つ。


 
「右流れが本命です。そこに沈み瀬がありますから、そこに仕掛けを流してください。左流れでも(魚が)来ますから」


 

 
そう言い残して、船はゆっくりと旋回し、鮫島のかべ方面へと消えていった。

 
ああ、また来ることが出来た。この垂涎の地に。波しぶきの心地よい音。肌にやさしい潮風。しばらくこの宇治の海にいることを味わいながら深呼吸を2,3回繰り返した。わずかに残ったひからびたオキアミを見つけて釣り座を把握。


 
べた凪だが、まだうねりは残っているので荷物は高い場所にあげた。対岸の小鮫の釣り師たちは早くも準備を始めている。こちらも負けじと準備を始めた。


 
 竿はダイワブレイゾン遠投5号−53。道糸ハリスとも10号の太仕掛け。おもりは10号の宙釣りとした。とにかく撒き餌を切らさないように瀬際ぎりぎりを狙う。


 
潮は本命ではない左流れだ。どきどきするね。この尾長釣りの瞬間は本当にタマラなくエキサイティングだ。
 
 
 タナは1本から1本半ほどをさぐるが、餌がとられるだけの退屈な時間だけが続いた。向こう側の動向も気になるが、本命に巡り会えていないみたい。楽しい時間はあっという間に焦りと落胆に変わってしまった。今回も夜釣りは不発。



 
 夜が明けた。暁の空はいつみても美しい。周りが明るくなると、不思議とおいらの前頭前野が再び活性化するからおもしろい。相変わらず潮は本命でない左流れだったが、太仕掛けのまま瀬際を探り続けた。



 
 夜が明けてしばらくすると、対岸の釣り師がぽつぽつ魚をあげだした。あまり大きくなさそうな魚でおそらく口太であろう。もちろんおしいバラしもあったみたい。
 

 

 どうしよう。今回はデカ尾長ねらいでいくぞと意気込んでいたが、目の前で魚を釣られてはタマラナイ。う〜〜ん、やっぱり尾長どうしても釣りたい。


 
このまま太仕掛けでいかなければ。細仕掛けになって喰わせたとしてもおいらの腕ではとれない。それはわかっているけど、今しか味わえないクロの白子はどうするんだ。タラやマダイのそれを遙かにしのぐあの豊かな味わいの一品。



 
しかも、乗っ込みの今の時期しか味わえないと思えば、腹ぱんぱんの口太にも大いに未練が。尾長か白子(口太)か。
 
おれの釣りの本命はどんちなんや。いつの間にか海面を見ながら考える人になってしまった私。
 
「ドッチモ〜〜」
 
どこかのイタリア人に言われたような気がした。そうだ、とりあえず両方の仕掛け作って、尾長が喰いそうな潮の時に太仕掛けを持てばいいんだ。早速、口太仕掛けを準備し始めた。
 
このところ宇治では細仕掛けでなければ釣れないという話から、竿は取りあえずがま磯アテンダー2.5号―53。道糸は4号にして、ハリスは2号。
 
食い渋っていたら1.7号以下に落とす予定だ。また、尾長の気配があれば、ハリスを4号以上にあげる予定。
 

 

 午前8時前になって、竿をがまに持ち変えることにした。潮は相変わらず左流れ。撒き餌はだんだん狭くなる水道の向こう側に流れていく。取りあえず、2号ハリスで様子を見た。
 
ウキはこの潮と波ならG2でいいかなと思って流した。するとウキが前触れもなく一気に消し込んだ。離島の釣りの醍醐味である夢にまでみたウキの消し込み。
 
イスズミかもと手前に寄せて、というか相手が手前に突っ込んできた。口太かなとゆっくり構えていると、浮かせる前にハリスを切られてしまった。
 
1投目からバラし。おいおい緊張感はどうしたんだ。
  
 
苦笑しながら仕掛けを作り直し、第2投。今度もウキが一気に見えなくなり、道糸が走った。今度は口太だ。間違いない。抜きあげて魚体を観察。見事なプロポーションお腹の膨らみ具合もまずまず。35cmほどだが、白子が食べられそう。

離島の醍醐味はここまでで、早くもスレてしまったみたいで、ウキの消し込みはなくなった。潮が変わったのかも。前当たりで合わせたり、00号の軽い仕掛けで何とか喰わせたりしながらぽつりぽつりと魚を拾った。
 
 
尾長はどうした。時折、竿を5号に持ちかえるものの、潮は相変わらず左流れ。本命の右流れになることは最後までなかった。
 
そして、イスズミの勢力が強くなった午前11時過ぎ。会心のウキの消し込みがあり、明らかにいい型と思われる魚信だ。鋭く突っ込みをみせるやつにたまらずこちらもレバーブレーキで何とか突進をいなす。
 
23回彼の突進を何とかかわしたところで、次第に弱ってきた。慎重にリールを巻き上げ、手前にせり出している沈み瀬に注意しながらだんだん魚との距離を縮めていった。
 
ウキが見えてきたもうすぐだが、でもおかしいぞ。なんか叩いているような気がするが。ここまで、尾長グレに違いないと信じて疑わなかったが、少しずつ浮いてきた魚影を確認してずっこけた。
 
 
確かにしっぽは切れているが、余計な3つの骨質板が見えた。標準和名で「ニザダイ」と呼ばれるこの魚は代表的な磯臭い魚として釣り人に歓迎されない。
 
サンノ字とかサンコウとか言われ「ニザダイ」と正式な名前で呼ばれない。おいらは、3本線のアディダスくんと呼んでいる。玉で慎重にすくい手前に引き寄せる。50cm近いその魚体を見ながら考えた。
 
持って帰ろうか。それともリリースか。この魚ほど評価が分かれるものはないくらい。うまいという人もいれば、臭いからきらい(確かにアイゴと同じように海藻を主に食べているから臭くなるのも仕方がないと思うけど)という人もいて本当のところどうなんだ。
 
迷ったが結局他の釣り人にもこのアディダスくんの引きを味わってもらおうと海に返すことにした。命拾いをしたアディダスくんは生命の危機を脱し、喜んで海の底に消えていった。
 
結局、最後まで尾長を期待していたが、魚の気配がなく船長の約束の時間30分前、正午に竿をたたむことにした。
  
またもや尾長グレに出会えなかった。しかし、落胆はない。だって、口太にも会えたし、心ゆくまで離島の磯を満喫できたんだもの。
 
そして、尾長グレの夢をこれからも見続けることができる未来や可能性があることに幸せを感じることにしよう。そのうち、いつか釣れるだろう(本当か?)。
 
この日は、どこもぱっとしなかったようで、尾長グレも出ていなかったようだ。
 
さあ、家に帰ろう。そして、待っている家族のために魚料理を頑張ろう。白子が待っている。そうつぶやきながら、南九州路を北上するのだった。
 
 
 
 





サザンクロスさんお世話になります



広々としたキャビン内 サザンクロス









小鮫には3人の釣り師が渡礁



おいらが渡礁した 鮫の水道


こちらに流れるときが本命らしい





今回の釣り座 足場もよくて釣りやすい^^





頑張ってます 小鮫の釣り師たち



今回はこちらに流れる片潮でした(TT)



取りあえず釣れてほっとしました^^








白子が入っていそうな♪




だんだん喰いが渋くなりました




尾長と思ったのに〜〜TT アディダスくんでした^^;




32cm〜38cm 10枚


小鮫の裏側の回収風景



鮫島のハナレ


遠くに雀島



早春の宇治 最高の天候でした



待ってました〜 クロの造りと白子の刺身



白子の天ぷら これはタマラナクうまかった



クロとニラの天ぷら これがものすごいヒット商品



クロとエリンギの春雨炒め


やっぱ 〆はこれでしょ クロの漬け丼





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