8/23 M中さん 離島夜釣りデビュー 硫黄島


ああ 憧れの硫黄島

 8月もお盆を過ぎた。今年の夏は何かがおかしい。この夏の日照時間の少なさといったらこれまで記憶にないくらいだ。梅雨明けしたはずの日本列島にいつまでも前線が居座った。日本列島は確かに雨が必要な土地であるが、わずか数キロメートルで土砂降りと晴天が混在するという雨の降り方には閉口させられた。

 異常気象という言葉で簡単に片付けられない雨。「50年に一度の」「これまで経験したことのない」という気象庁生まれの言葉が、ネット上を飛び回る。1時間に130mmも降るんだからたまったものではない。

 そして、これまでの中では最大級の被害をもたらした広島市土砂災害。広島市の中心地からわずか車で30分というベッドタウンで、こんな災害が起こるなんてだれが予想できただろうか。この災害で想定外というより、どこでもこのような災害は起こりうるということを人間に教えてくれた。被災した方々が少しでも早く生活に支障のない状態に戻られるように。そして、不幸にも亡くなられた方々に心から哀悼の意を表したいと思います。

 さて、自然の猛威を目の当たりにした人間は自然の恵みも受けている。その源と言えるのが海である。生命の濫觴はこの海にあることは疑いのない真実であるし、皮肉にもこの海を発端とした水の循環が土砂災害の原因の一つとも言える。

 その海の恩恵を少しでいいから頂くために釣りを計画。行き先は疑いもなく硫黄島である。アベノミクスにより景気が都市部を中心に好転しているのは間違いないところだが、この地方の渡船業界には恩恵が来ているとは言いがたい。離島釣り師は間違いなく減少している。

kamataさん、23日からの夜釣りね。お客さんが少ないからポイントは選び放題ですよ。どこがいい?」

予約を入れたときの船長の声は、気のせいかかつての輝きが見られなかった。

 ところが、今回の釣りに輝きを伴って準備を進めてきた輩がいる。医師M中さんである。彼は4年前に満を持して購入した石鯛竿で何とか実釣したいと考えていた。そこへ、私からの釣りへの誘い。しかもそれが離島の夜釣りときているからテンションが上がらないはずはない。

「師匠、仕掛けはこれでいいですかね。」

何せ、離島の尾長釣りは2回ほど経験しているが、夏季の夜釣りは初めてである。やはり初めての釣り人には何とか釣ってもらいたい。できるだけいいポイントを選べる8月を選択した。(本当は、8月の磯は最も実績がなく、釣り人が少なくポイントが選び放題になっただけであった。船での釣りならかなりの実績があるのだが。)

「サンマは1箱でいいな。撒き餌はトロ箱を1つで、3時集合な。」

南九州はお盆からぐずついた天候が続いていたが、ここ数日は落ち着いていた。

M中さんはと人吉で合流し、九州自動車道を南へ下った。

行きの車中では、離島の釣りについて熱く語り合う。心躍るM中さんの笑顔を見ながら、心の中では、この一番釣れない時期に果たしてどんな成果をあげることができるのだろう。

前回訪れた硫黄島では、餌取りの猛攻でサンマの胴体では全く勝負にならない。仕掛けが着底するまでに食い尽くされていた。サンマの頭だけが唯一勝負できたが、数に限りがある。台風が通過して状況が変わっていればいいが。

目的は同じだが、二人の心の中は全く違うが、あっという間に枕崎港に到着した。

冬季と違って実にのんびりした夏の出航。黒潮丸は、9名の釣り人を乗せて午後3時に枕秋港をゆっくりと離れた。

「どこにする?今日は潮が速いからね。平瀬でも地磯(西磯のことを指している)、みゆきもいいよ。」中々厳しい状況の中でも実績がまずまずのポイントを教えてくれた。

「ミジメはどうですかね。」

かつて名人とのってその磯で2本のアカジョウが仕留められた実績が頭をよぎり、こう切り出してしまった。

「わかりました。ミジメね。今日は潮位(中潮から大潮)もそれほど高くないからいいかもね。」

ミジメ瀬なら、足場もいいから始めて夜釣りに挑戦するM中さんでも楽しめるだろう。

高速船黒潮丸は、滑るように凪の大隅海峡の海を硫黄島に向かってひた走っている。左手に目を向けるとうっすらと見えていた薩摩富士(開聞岳)がみるみるうちに遠ざかっていく。


その代わりに左前方に比較的平らな島が見えてきた。竹島だ。そして、そのすぐ南にはやや小さいサイズの平らな島である新島。そして、その先には、米粒が立ったような形状の極小サイズの鵜瀬が見えてきた。

眼前には硫黄島本島がどんどん大きくなっていく。この自然が作った造形美は、見るだけでも大きな価値がある。来てよかった。素直にそう思えた。やはり、理屈なんていらない。硫黄島はすばらしい。そして、海はすばらしい。

そうこうしているうちに、エンジンがスローになった。


船長が、釣り人とどこに降りるか相談している。


相談の結果次のようになった。













まず、久しぶりに登場されたN名人が平瀬低場へ。




冬のみゆき瀬の常連であるHさんが一人でコウカイトウヘ。





夫婦の磯師が立神へ。そして、われわれがミジメ瀬に渡礁した。






その後、ピン釣り師が最近実績の高いみゆきへ。





残りの二人が船釣りという布陣だった。鵜瀬や平瀬は餌取りが半端ない状況のため、あまり乗せる機会のなかった西の地磯に乗せてもらうことにした。





満潮が6時半でミジメ瀬の下げ潮の船付けから、荷物を上の段の平らな場所に運んだ。

ミジメ瀬は、大瀬向きは下げ潮のポイントでそこが階段状になっている。その一番高いところからなだらかに地面がカーブを描くようにだんだん低くなっていく。



丁度、磯の真ん中付近が一番低くなっている。大潮で潮位が高いときは、ここまで水しぶきが上がってくる。そこから更に先端部分へ行けば上げ潮のポイントだ。地磯側の水道と立神側の水道どちらも実績があるらしい。





































8月にしてはさわやかすぎる潮風を浴びながら、M中さんは仕掛け作り、私はサンマのつけ餌の準備を始めた。



時計をみると午後6時近い。早くしないと、上げ潮が終わってしまう。私も焦りながらアカジョウねらいの仕掛けを作って、第1投。


ドキドキしながら穂先を見つめるが一向に変化が見られない。アカジョウが釣れたときの潮は、表層の潮と同じような感じで底潮も動いていたっけ。



縦に長い形をしたミジメ瀬と平行に流れている潮は、どうも底では立神側へと流れている模様。典型的な二枚潮だ。





更に、困ったことに、餌がとられずにそのまま餌が帰ってきた。





しばらく、餌が入っていなかったからか、それとも水温が下がったのか。




確かに、バケツで汲んだ水を触ってみたが、どうも27度くらいなんだが。





急に水温が下がって魚の活性が落ちたのかもしれない。二人とも魚信をとらえることなく、期待のアカジョウ釣りを終えた。






さあ、本命のシブダイ釣りだ。仕掛けを作り直す手に思わず力が入る。

 

























 さあ、シブダイ釣りだと気合いを入れたときだった。右足に違和感を感じて、足下に目をやった。

「なんじゃこりゃ」

「太陽にほえろ」での松田優作の殉職シーンと同じ台詞を思わず吐いてしまった。磯靴の裏に張り付いているはずのフェルトがないのである。おい、フェルトよどこへ行った。ふと気がつくと、そのフェルトは、足の裏の形のまま岩場に転がっていたのだった。そして、それはこれからの釣りに暗雲を立ちこめさせるに十分な出来事だった。

よく見ると、左側もすでにフェルトの15パーセントははがれているではないか。このフェルトがはがれるのも時間の問題だろう。

安全に釣りをするためには、ライフジャケットや磯靴はいいものを身につけろという先輩釣り師からの教えをわすれていた。自分としたことがなさけない。この場所が亀の手やイザラガイなどのとがっているでこぼこの岩場でなかったことはせめてもの救いだ。

一歩間違えば、生命の危険にさらされるという磯釣りのもう一つの側面をわすれていたのだった。右足に重心がかかり非常に歩きにくい中で、釣り座を船付けの下げ潮のポイントにするために、ピトンを新たな場所に打ち付けた。もちろん、一番錘を投げやすい場所はM中さんに譲るつもりだ。

竿は、海王石鯛540口白に、道糸ナイロンの20号。サルカンでハリス20号を繋ぎ、鉤は漁師さんが使う鋼タルメ22号をチョイス。大物ねらいということで、仕掛けが海溝に落ち着くようにシンプルにする。

なぜ、硫黄島でウキ釣りをしないかって。それは、海溝の底を這うように回遊する習性のある高級魚たちをねらうためである。錘も真空錘ではなく、丸球錘を取り付けるのは、仕掛けが自然と海溝に落ち着くようにするためである。

ケミホタルをサルカンの上30cmくらいのところに付け、竿先への巻き込みを防止する。

また、竿先には3Lのケミホタルを取り付け準備OK。餌は取りあえず、サンマの頭を鉤につけ第1投。ここ下げ潮でのポイントは大瀬方向に向かってリールのカウンターで24m〜28mくらいのところがねらいだ。夜の帳も降りて、すっかり暗くなっている。水平線の彼方にわずかな明るさが残ってはいるが、これもやがて地球が丸いことを証明するかのように消えていくだろう。そうだ。もうシブダイ釣りの時間帯に入ったのだ。

これまで10年間、シブダイねらいの夜釣りをやっていると、この第1投がいかに大切か自覚している。ここ最近餌が入っていないミジメ瀬。もし魚がそこにいれば、餌が入った瞬間に魚が食い付き、おそらく明確なアタリが出るだろう。それも一気に竿先を絞り込むアタリが。

しかし、もし何の反応もなく餌がそのまま帰ってきたとしたら、一晩中アタリの少ない餌が10個あれば足りるという悲しい釣りとなる可能性もありうる。

また、ここがしょっ中釣り人が乗ってくるポイントならば、その波及効果によって魚の食い渋りが考えられる。

さあ、今日の魚の活性はどうなんだ。心臓の高鳴りが止まらない。のどの渇きがなぜか気になってくる。唇を2,3回濡らした後、満を持して竿を振りかぶり、力学の理論を使ってリール付近を支点にして遠心力で錘を飛ばす。シーライン石鯛遠投のリールからビューンと道糸が飛び出ていく。海水がその遠心力でしぶきを上げる。バックフラッシュしないよう、親指でサミングしながら仕掛けの飛んでいく方向を確認する。ちゃぽんと小さい音がした。仕掛けがねらった方向に着水したらしい。よしよし。

ところが気合いが入りすぎたのか、カウンター値がすでに36mを超えていた。たしかここはあまり遠くに投げすぎると根掛かりが多発したっけ。すぐに回収して、再びねらったポイントに仕掛けを入れ直そうと思ったそのときだった。

竿先に、早くもはっきりしたアタリが出始めた。ウツボやマツカサなどの小魚なら、このアタリも小さいのだが、このアタリは小さくはない感じだ。コンコンといい感じのアタリのあと、突然静かになった。もう餌がないかな。

根掛かりしないうちに早めに仕掛けを回収して、餌をつけ直そうと思った瞬間だった。コンコンと小さな前アタリの後、竿先が一気に深くお辞儀し、あきらかに小さくない魚の魚信を海王は教えてくれた。

「よっしゃあ。第1投から喰わせたぞ。」

反射的に竿を持ち、まず相手の底を切ることに全力を傾ける。頑張って、竿を持ち上げて引っ張り込むものの、相手は微動だにしない。あれっ、動かないぞ。もしかして、根掛かりか。不安に思ったが、幸いなことに魚が底を切って浮いた感覚を海王は教えた。 

底を切ったらこっちのものだ。やりとりに入ると、意外にやつはあっさりと、チヌのように浮き始めた。竿先に伝わる重量感を楽しみながら魚との距離を少しずつ縮めていく。魚も根に入るという最大のチャンスを逸したが、今度は右手方向に走り出した。そちらに根があるらしい。そこに行かせないように海王のトルクを使ってためる。魚は右手方向には行けず、あきらめたのか手前に寄ってきた。

1投で魚を掛けた喜びでいっぱいだったが、ちょっと気になることがあった。この魚初めは重々しいがあとでは観念したように浮いてきたことだった。それに、シブダイのようにシャープな引きではなく竿先を叩く独特の動作を感じた。もしかしてだけど、もしかしてだけど〜〜外道ではあるまいな。

ケミホタルが見えてきた。もうすぐだ。興奮していながら冷静だった。魚はもうすでに海王の手中にあった。魚が暴れれば暴れるほど、海王はその力を吸収し、やつは空気を吸う羽目になった。口白を仕留めるために作られた竿だから、この相手との攻防は造作もないこと。キャップライトで鉤の掛かり具合を確認。一気に抜き上げた。手応えから、あきらかに2キロ超えのサイズであると認識。

早速、キャップライトを獲物に向ける。あれっ、どう考えてもシブではない。ライトを当てると黄金色に輝くヒレが見えるはずだが、見えるのは冴えないグレーの鋭角的な尾ひれだった。

まさか、イスズミではあるまいな。ライトを当てながら近づいてみる。すると、そこには、50cmクラスのフエフキダイが横たわっていた。

「おっ、でかい。やりましたな。」

M中さんが賛辞の言葉を。しかし、この場所では最小クラスの魚であることを知っている私は、少し落胆。魚を締めた後、バッカンにためておいた海水の中に魚を入れて血抜きをする。おいしく食べるためには欠かすことのできない作業だ。

M中さん、早くしないと。アタリがありますよ。」

まだ仕掛けを作っているM中さん。作業はまだぎこちないのだが、聡明な理系脳を持つM中さん。シブダイ釣りに関して相当な準備をしてきていた。仕掛けもかなりの数作ってきている。知識と道具はすでに一流。ただ唯一不足しているのは経験だけだった。

M中さんが来る前に、この調子で何匹か釣って経験の差を見せつけなければ。前回の硫黄島で、初心者にも関わらず目の前で尾長グレをM中さんに釣られてしまった苦い思い出が頭をよぎる。今度は、27,8m地点に第2投。仕掛けが落ち着くと、やはり穂先が魚信を伝えた。何度か小さなアタリはあるが、食い込みには至らない。しばらくして、仕掛けを回収し餌をチェック。サンマのやわらかい臓物部分はほぼ食い尽くされているが、頭のやや固い部分は残っていた。

これは、前回の餌取りに翻弄され続けた鵜瀬での釣りより、はるかに釣りやすい状況に思えた。魚の活性があるが、餌取りの猛攻で釣りにならない状況ではないようだ。

3投、これも本命ポイントにうまく着底したが、アタリはあるものの竿先がはっきりとお辞儀をするようなアタリはでなかった。

しばらくして、M中さん参戦。「よ〜〜し、がんばるもんね。」期待の第1投。錘はうまく飛んでいったのだが、しばらくするとM中さんの悲鳴が聞こえた。

「うわっ、出たっ、バックフラッシュだ。」

やはり、経験が不足していて、どうもトラブルをやらかしてしまう。わかるなあ。私もかよい始めた頃、釣るというより、トラブルを解消する時間帯が長いように感じていたっけ。

「よしっ、うまくいったぞ。それっ。」

M中さんは、トラブルに見舞われても決してぼやかない。かつて学生時代に、熊本阿蘇五岳の一つである根子岳山頂目指して100m崖下に落ちる危険があるにも関わらず、命綱無しで一枚岩の壁を渡りきるという強靱なメンタルの持ち主だった。

トラブルにもめげず、M中さんなんと魚信をとらえてしまった。

「おっ、なんか釣れたぞ。」

午後8時過ぎ、明らかに下げ3分のチャンスタイムにM中さん魚を掛けた模様。そして、ブリ上げてみる。そこには、M中さんがこの世に生を受けて初めて釣った魚が跳ねていた。

フィッシュイーターの名にふさわしい大きな頭。ピンク色の魚体に黄金色のヒレ。キャップライトに反射するその魚は紛れもなく、離島の磯釣り師のメインターゲットであるフエダイ(シブダイ)であった。その神々しい姿を見つめるM中さん。

M中さん、おめでとうござます。やりましたね。初めてのシブでしたね。」

よかった。初めての釣りで本命を釣ることができて、M中さんの努力が報われたというもの。サイズは30cmを少し超えたところだが、初めての本命に興奮気味に意味のわからぬ言葉を発している。

「さっせん。(すみません。)ありがとうございます。」

とっさに、自然に海に感謝の気持ちを表すM中さん。しばらくの間、初めての感動の余韻にひたっていた。

でも、そんな幸せな時間を味わっている場合ではない。このサイズのシブダイは群れでいることが多く。潮などの条件が許せば、連続して釣れることが多い。

M中さんに負けじと、私も竿を打ち振るった。仕掛けが着底すると、また、アタリが出る。竿先がわずかではあるがはっきりと魚の存在を知らせてくれる。

そして、それらが前アタリであることを証明するように、竿先が一気に真下に向かってお辞儀した。「今だ。」

竿を持って一気に勝負をかける。竿を持つ手には当然、魚からの重々しい魚信が伝わっていると思っていたが。ふわっと、錘が宙に浮く感覚が伝わっただけだった。

どうもおかしい。このところの硫黄島ではこんなアタリが多い。一気に竿先を持っていけば、たいていの場合仕掛けには魚が反転し仕掛けに食い付いていたものだ。

ところが、前回の鵜瀬といいこのミジメ瀬でも同じようなアタリなのに喰わせ切れないという今までにない現象が起こっている。自分がHETAになったか、それとも魚が賢くなったのか。

思い悩んでいるところに、M中さんまたまたシブを釣った。これも30cmを少し超えるサイズだ。

喜びに浸るM中さんの背中で、焦る私がいた。これは何かを変えるしかない。鉤のサイズを鋼タルメからタマン鉤の20号にかなりサイズダウンすることにした。

その横でM中さん、3匹目をゲット。これで初心者が3匹、10年の経験者が0匹となった。ドラマ的にはおもしろい展開だが、こちらは心中おだやかではない。

とにかく、誘ったり、いろいろ餌の付け方を変えたり、カツオの腹側を試していたりしたが、結果が伴わず。920分頃にようやくシブの30cm強の飲み込んでいなければリリースしたいサイズを釣るのが精一杯。M中さんは、アタリがなくなると、ポイントを立神側に変えてそこで、今回最大サイズ35cmを釣った。

その後、潮が複雑になり、二枚潮になって根掛かりが多発してきたため、午後10時半ごろから休憩に入ることにした。

M中さんはもともとアウトドアが好きで、いろいろと道具を持ち込んでくる。今回は、バーナーと小型の鍋を準備してくれていた。

8月とはいえ、涼しい風が時折吹いてくる。空を見上げると満天の星が釣り人を迎えてくれる。波しぶきの音をBGMに、このミジメ瀬は人間の生活圏には決してあり得ない天然のダイニングに様変わりした。

すでに左の靴底もとれ、靴下で磯の上を歩くも同然となった中、平らな磯の上に腰を下ろし、上げ潮でいい釣りをするため休憩することにした。

天の川で食べる焼き肉は最高の味だった。M中さんありがとう。

食べ物を消化器官に入れるとどうしても睡魔が襲ってくる。我々二人は、波の音を子守歌にしばしの間仮眠をとることにした。

どれくらい時間が経ったことだろう。目が覚めて、時計を見ると午前1時半をさしていた。干潮は午前020分。そろそろ上げ潮が動き出すころだ。準備をすすめて、午前2時頃から釣りを再開した。

期待の上げ潮だったが、下げのポイントと同じような状況だった。アタリはあるものの食い込みには至らない。さあ、夜明け前までのチャンスタイム。そのうちでかいのが釣れるはずだ。

M中さんは魚のアタリが中々拾えないと、上物道具を取り出してウキ釣を始めていた。第1投で釣れた魚を興奮気味に私に見せて、

「これ、おいしい?」

と言ってこられた。残念なことに、青物には違いないが、おいしくないと言われているコバンアジだった。残念でした。これが同じヒラアジ系統でもギンガメアジとかだったらおいしいのに。

夜明け前にゴールデンタイムに向けて、二人とも気合い十分。でかいシブを目指して釣り続けていたが、残念なことにこのころから激流が走り始めた。

それもここは4回目くらいだが、流れの速さは半端なかった。まるで急流球磨川に匹敵するほどの流れだ。しかも悪いことに、強烈な二枚潮だ。表層の流れはものすごいスピードで流れていく。仕掛けも同じ方向ならいいのだが、様子を見ているとどんどん糸ふけが出てくる。つまり、底潮は表層とは逆、もしくは立神方向に流れているようだった。

これは、数少ない私の経験をもってしても釣りにならないことは容易に理解できた。あきらめきれないM中さんは最後まで竿を打ち振るい続けたが、私はもう潮が変わるまであきらめモードだった。この不思議な激流は回収まで続いた。

夜が明けて、アカジョウをねらってみるものの、潮が変わらないので午前6時過ぎには早々と道具を片付けることにした。

「この激流では仕方がないですよ。」M中さんにもうしわけないが、今日は条件がよくなかったことを伝えた。

午前7時前に、黒潮丸が回収にやってきた。

「どう?釣れた?」

芳しくないことを身振り手振りで伝えると、

「今日は激流で釣りにならなかったみたいだね。」

と状況の悪さを船長も感じてくれたようだった。

しかし、釣れなかったからといって、ぼくたちは決して落胆していない。だって、これだけすばらしい自然の中で贅沢な時間を過ごすことができたんだもの。また、次回にいい釣りができればいいさ。

そんな思いを持ちながら硫黄島の抜群のロケーションを楽しんだ後、港に帰った。


















枕崎港に帰って、クーラーを積極的に開けたのは、船釣りの2人組とみゆき瀬に一人で降りた釣り人だけだった。あとは残念ながらいい釣りはできなかったみたいだ。

「朝方、魚を放流していたら2mくらの鮫がぬーっと現れて口を開けて食べていったよ。朝方は、もうアカジョウはねらわなかったよ。」

名人も厳しい釣りだったことを、このように表現していた。

釣れたときも釣れなかったときも、釣行後の話は本当に楽しいものだ。

M中さんが釣れてよかった。これできっと次回への釣りも期待をしてくれることだろう。初心者にシブの数で負けたことはもう忘れていた。

8月とは思えないようなさわやかな風が港をうるおし、2人はまたシブダイへの夢を語りながら帰宅の路に急ぐのであった。





フエフキダイは、どんな料理にも合います。

こんなにおいしいとは思いませんでした。

これからは積極的に持って帰りたいと思います。

 




お魚センター2Fで昼食












九州からぐんぐん遠ざかる





竹島が見えてきました





硫黄島がすぐそこに


鵜瀬が見えてきました


鵜瀬からの渡礁です


名人 平瀬に渡礁


Hさんがコウカイトウへ


ミジメ瀬に渡礁しました


ここは足場が抜群にいいところ


無事に渡礁できたことに乾杯


M中さん仕掛け作りを頑張ってます


さあ 来い! アカジョウ!


M中さん 早くしないと


あらら 根掛かりやってしまった


黒島に沈む夕陽


いつやってきても魅せられてしまいます
























































期待しましたが 外道でした


取りあえず はいポーズ

































M中さん 初シブゲット おめでとうございます


おいらも ようやくボウズ脱出






















休憩することも大切なこと


磯焼き肉は最高!

うまい!















アカジョウ捜索中


立神の右横の小さな瀬がミジメ瀬

厳しい釣果です><


フエフキダイの造り

フエフキダイの握り寿司

シブダイのアヒージョ

フエフキダイの夏野菜炒めグリーンカレー風味

フエフキダイのアラ汁


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