8/10 未来への伝言 牛深沖
牛深沖 イカ釣り
2013年、オックスフォード大学のオズボーン准教授が発表した論文が世界中を席巻した。
オズボーン氏の「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」という論文によると、人工知能の開発により、人間が機械に取って代わられる仕事は、今後10~20年の間にアメリカ労働省の試算で47%にのぼるという。
簡単に言えば、2013年にグーグルから発表されたロボットカー(自動運転車)のように、コンピューター等によって今まで人間がやっていた仕事が機械で自動化される。そのことで、今まで人間がやっていた仕事がなくなる。つまり、職業が消えるということらしい。
これをもとに野村総研では、日本でどれだけの影響があるか試算してみたところ、日本の労働人口の49%が人工知能・ロボットが代替可能とのこと。
いったいどんな職業が消えるのか。
気になる方はこちらをご覧ください↓
http://diamond.jp/articles/-/76895?page=2
アメリカ労働省の試算では、人工知能やロボットで代替される職業は、製造や販売などの現場の作業が多く、可能性が低いのは、研究者・医者・保育士などである。必ずしも特別な知識・スキルが求められない職業は代替の可能性が高く、抽象的な概念の知識や他者理解、交渉などを必要とする職業は代替の可能性が低いとのこと。
仕事だけではない。身の回りの世話をしてくれるロボットの需要が生まれてくるのでは。少子高齢化社会の中で、一家に一台ロボットが。もしかするとロボットは家族の一員として認知されるようになるかもしれない。
これはあくまでも技術的な代替の可能性ということで、日本の社会構造、労働環境を含めたところでは、このとおりには行かないと思うが、これから未来を担う子どもたちには、ぜひとも伝えておきたい情報であると考えた。
では、オズボーン氏に尋ねたい。釣りは人工知能によって消えるのか。
答えはノーであろう。
それどころか、釣りという業は、人工知能やロボットがもてはやされる世の中にあって、ますますその輝きを放つであろうとかまちゃん総研は語る。
釣りの道具である魚探や電動リールは、あくまでもツールとして使えばいい。
潮を読む。魚の気配を感じる。仕掛けを選択する。例えば、これらのことをグーグル社が研究して人工知能に任せようとするだろうか。
魚釣りの面白さは、釣った魚の数・型で味わうものではないよね。
0と1の配列で作動する集積回路は、忍耐の芸術や撃沈による癒やしを演出することはできないだろう。
ぼくは知っている。IT関連の会社員がよくトカラなどの離島に釣りに出かけているのを。アメリカの資産家の最高の贅沢が、空気や水のおいしいところで体にやさしい自然食をいただくことであることを。
そのことに、気付かない〇ケモンGOに興じる若者たちのために、宇治群島や草垣群島にスポットを置くというアイデアはどうだろうか。
どこまでも青い空と海。マイナスイオンに満ちた磯場で、伝説のポケモン「アルセウス」よりも尾長グレやアカジョウというモンスターの方を探す方がどれだけ面白いことか。しかも、それは容易に仕留めることができない。
どこまでもIT化、自動化された世の中で、アナログにこだわる面白さ。人類が戦争や自然破壊という愚かな行いをしなければ、私たちは永遠に縄文人の遺伝子を受け渡すことができるのだ。
そんな永遠の縄文人を目指して、2016年の夏を迎えた。夏磯は、夜釣りということになるが、今回は初めての夜炊きイカ釣りに出撃することにした。
初めてイカ釣りの指南は、ネット環境の中でお世話になっている忠太郎さんにお願いした。
定年退職し、悠々自適に九州各地の様々な釣りを楽しまれている忠太郎さんが、8月10日の夜炊きに誘ってくれるという。
これは行くしかないでしょう。
初めてのイカ釣りに心躍らせながら、時が来るのを待った。
仕掛けは、以下の通り。
◆竿・・・50~80号の船竿
◆ライン・・・PE6号程度
◆錘は80号から120号
◆イカスッテは6本から10本
◆14号の幹糸に枝スの8号のハリス
枝スの間は2m・ハリスの長さは50cm
◆幹糸とハリスの接合部分にはスーパー回転ビーズを取り付ける
◆他に傘袋・歯ブラシ・沖漬けのタレなど
山本釣り具センター宇土店で待ち合わせし、忠太郎さんたちにあいさつを済ませる。
お連れの方が2人で合計4人での釣りだ。3人の釣りの中に混ぜてもらう格好だったので、反応が心配だったが、みなさん温かく迎えていただいた。感謝だ。
4人の釣り人を乗せたワンボックスカーは、夏の天草路を西へ向けて走り、船が待つ牛深の某漁港に到着した。
待ち合わせの午後6時より少し前に港に到着。
しばらくすると船長が到着。70歳を超える年齢とは思えない若々しい動き。それはどこの船長にも共通している剛毅木訥(ごうきぼくとつ)な姿だ。
早速、釣り道具を船に乗せる。
「だんだん、よくなってきたかな。」
「今日は、夜中過ぎからが闇夜だから、それからがチャンスだね」
イカ釣りに精通されているみなさんの会話から、今日の釣りは悪くない釣況のようだ。
このところ、晴天が続き、台風の発生も少ないことから、海は凪が続いていた。波高1mの予報。
「少し波気があった方がイカの喰いもよくなるんだよ。」
こんな会話をしていると、準備が整ったようで、船はゆっくりと港を離れ、牛深沖のポイントを目指した。
日中は34度の灼熱地獄が続いていたが、夕方になるとさわやかな潮風を感じるようになっていた。
イカ釣り愛好者がこの釣りのことを「夕涼み」という理由がわかるような気がする。
船は、ゆっくりと西へ航行し、30分経った頃エンジンがスローとなった。ポイントに着いたらしい。
船長がアンカーを入れ、いよいよ釣りがスタートと思いきや、まだ、イカ釣りをするには明るかった。
「もう(仕掛けを)入れてよかぞ。」
と船長の合図で釣りがスタートした。
「まだ、明るかけん、釣れんよな」
そう言っているうちに、早くも忠太郎さんが小さなサイズながら剣先イカ(アカイカ)を釣り上げた。
アカイカは、日が暮れてからの釣りと考えていたが。
「もうこの下にイカはおるんよ。仕掛け入れたら釣れる」
と船長。
自分も半信半疑で仕掛けを入れてみると、釣りダナ23m位でイカがヒット。テレビのリモコンサイズだったが、初めての釣果にうれしくなった。
「イカを刺激しないようにスッテから外さないと、墨を吐かれるよ」
「スッテに墨がつくと、イカが警戒してしまうから気をつけて」
だから、バケツの上にざるを置いて極力イカスミを防ぐ対策をするんだね。
その後、船長にイカの仕掛けの入れ方をレクチャーしていただき、夜の帳が降りたため本格的なイカの夜炊きが始まった。
釣りダナが一定せず、続けて釣れる状況ではなかったが、ぽつぽつと釣れた。
尾長グレなら間違いなく60オーバーのデカ版に相当するパラソルサイズは釣れなかったが、特に、夜中を過ぎてから許せるサイズも混ざり楽しい釣りとなった。
「kamataさん、釣りダナは〇mですよ。スッテの色は〇〇がいいよ。」
などとたくさんのアドバイスをくださった忠太郎さんには本当に感謝です。
それから、運転していただき、冷やしたスイカを食べさせていただいたお連れの方本当にありがとうございました。
ITがあったからこそ出会うことができた釣り仲間と共に、それぞれ60~80杯の釣果をひっさげて港へ凱旋した。
「今日は、河豚も鮫もいなかったからよかったよね」
「ただ、途中でイルカがいましたよね」
こんな楽しい会話を交わしながら、帰路に着いた。
その帰路の中で、今回アカイカがおいらのクーラーいっぱいに埋まったのはなぜか考えてみた。
ICを搭載した精密機械なくしては、なしえなかった。もちろん、インターネットは欠かせないアイテムだ。
人工知能やロボットの発達で、我々人間のテリトリーが奪われるとネガティブに考えるのではなく、便利なツールとしてそれを活用して、そこで生み出した時間を自分の好きなことにあてることができるとポジティブに考えることにしよう。
人間が生み出す技術革新は目を見張るものがあるが、海を釣りを愛する人はこれからも永遠に変わらないであろう。
次の釣りでも海を愛する仲間と自然が待っている。
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ゆっくりと出発 静かな港町です 忠太郎さん 準備を始めました スッテのスターティングメンバー 実績のあるスッテを準備します 背中を押してくる夕陽 さあ ポイントに到着しましたよ^^ 明るいうちから釣れました さあ 本格的に夜炊きの開始です 生きているアカイカ 美しいです 許せるサイズも釣れました 忠太郎さん イカメタルで成果を 夜中に(闇夜)なると数が出始めました いい感じでクーラーがイカでいっぱいに 暑い日のこのスイカはタマリマセン 朝陽がやさしく迎えてくれました 釣ったイカを洗うために海水が必要です イカの刺身 あま~い イカと野菜のバター醤油炒め イカの天ぷら 最高にうまい イカの沖漬け丼 カナトフグのみそ汁 |