2/24 宇治の魚に完敗  宇治群島

今年も釣り師のGWがやってきた。おいらにとってのGWとは平日に釣りに行けるという週のことを指している。土日に学校行事があるためにその代休措置として平日が休みになるのである。今年は2月24日と3月1日である。サラリーマンにとって平日に釣りに行けるというのはとてもうれしいことなのだ。

 ところが、難点もある。おいらが愛してやまない離島便は平日に出ることはまれである。硫黄島も中々客が集まらない。何とか平日に出る離島はないものかとネット上を徘徊していると見つけた。串木野港から出船のサザンクロスが24日に宇治群島へいくそうだ。この情報に早速飛び乗り、予約を入れた。このところ宇治群島では、口太にデカ版の尾長があがっているとのこと。



宇治群島へ誘うサザンクロスさん

 23日の仕事を終え帰宅し、大急ぎで準備を整え、人吉を出発した。今回は、撒き餌を甑島パン粉漁法によることとした。携帯サイト釣りナビの事前情報では、最近の宇治の釣りダナはかなり深いということだった。タナが深いということは、中々数釣りが難しい。成果を上げるためには魚を浮かせる撒き餌の方がいいのではないか。しかし、魚のタナに合わせて釣るという考え方もある。一体どちらが正解なのだろう。選択したのは魚を浮かせるという作戦だった。撒き餌は、オキアミをいれずにパン粉とアミだけの配合とした。しかし、念のためオキアミ生1.5角と赤アミ0.5角も持っていくことにした。


宇治向島の南東部からの渡礁

 出港の1時間前の午後11時に串木野港に到着。船長にあいさつを済ませると、荷物を船に乗せ、船長の最近の釣況を尋ねた。「日曜日は、口太より尾長の方が多かったね。」「タナが深いそうですね。」「うん、よく釣った人は竿2本でいっぱい釣ってたよ。ハリスは1.7号。タナが浅い人は、餌がとられずにそのまま残ってたよ。」

南九州の離島で、1.7号の細ハリスにタナが竿2本?前回の宇治では、避難港前でタナが1ヒロで入れ食いだったのに。今回はかなり苦戦しそうな予感。早くもパン粉の撒き餌が通用するのか心配になってきた。

 今日は、全部で18名の釣り客。平日にこれだけの人数を集めるところがすごい。それに、このサザンクロスという船はやたらでかい。蝶栄丸と中々いい勝負だ。

 船は、予定より30分早い、午後11時30分に串木野港を離れた。予想通り快適な凪の走行。心地よい揺れを楽しみながら、深い眠りに着き、エンジンがスローになったのは、午前2時半だった。

 「今日は、南からの風が吹いてくるんですよ。9時ごろ回収に来ます。」えっ、今日は、春を思わせるような最高気温20度越えという予報が出ているにもかかわらず、南向きの強風が吹くという。ここ宇治は、北西の風に強く、実績のあるポイントはその季節風の風裏になるところが多い。だから、それとは真反対の今日の風は中々つらいものがある。

 4組ほど渡礁させた後、名前が呼ばれた。近づいてくる目の前の磯は、いかにも一人でどうぞという感じで狭く、足場が悪く心配だ。おまけに高い。「ここはどこですか」とポーターのおじさんに尋ねると、「黒瀬の4番」という答えが返ってきた。

 宇治の黒瀬と言えば、クロの魚影はピカイチと言われるほど実績のあるポイントだ。船長はちゃんと実績のあるポイントを選んでくれた。ホースヘッドが岩に近づく。一見したところ足をかけるところがなさそう。体制を低くして渡礁に備えた。

 ホースヘッドが巌につけた。斜めに走る岩の溝の下に足場にできそうなわずかなスペースを見つけた。すばやく岩に飛び移る。荷物を乗せられそうなスペースを瞬間的にみつけ、荷物を受け取る。何とか全部受けとった。斜めに傾く足場は、バランスをくずしやすく、長時間の釣りで体力を消耗しそうな感じ。もしかしてここが釣り場ではあるまいな。今立っているこの地点は、高くて玉網が届きそうにない。ここの下が海だから大丈夫だけど、もし陸地なら高所恐怖症の私には立っているのもやっとという雰囲気だ。

 「そこを登って裏で釣ってださい。潮の関係ではこの船つけもできます。」よかった。ここが釣り座でなくて。船長のアドバイスの後、荷物を一番上の段まで運んだ。一番天辺は広く、落ち着いて仕掛けづくりができ、ごろ寝をするには十分すぎる広さだ。


フエフキ科のお魚さん 海に帰りなさい!

 裏に行くと足場のよさそうな釣り座発見。夜釣りにはもってこいだ。北西向きのため磯海苔がびっしり生えてすべりやすくなっているので慎重に釣り座まで移動する。

 竿はダイワブレイゾン5号遠投に6000番のリール。5Bの電気ウキにハリス8号を使用。船長のアドバイス通り、タナは1ヒロ半から2ヒロで実釣開始である。

 ナショナルの電気ウキの赤い光が真っ暗闇の海に突き刺さった。時計を見ると午前5時過ぎ。満潮の潮どまりから下げになるところだが、まだ潮は動いていないようだ。電気ウキの赤い光が妖艶に波間を照らし、釣り師の心を揺さぶっている。いつこの赤い光がゆらゆらと光の波紋を広げながら海中に消えるのか。この光が電光石火のごとく瀬際に突っ込み、竿にすばらしいトルクでの引きを見せてくれる。そんな素敵な尾長との出会いを求めて仕掛けを打ち返すが、逢いに来てくれるのが、数で勝負する夜釣りの餌取りの代表格レッドデビルことアカマツカサだ。すばらしい時間帯でのウキの消しこみは、足裏クラスのフエフキ族のお魚さんだった。結局この宇治でも尾長の姿を見ることはなかった。


黒瀬の4番 裏がポイント

 朝が来た。口太だ。夜釣りと同じポイントで竿を出すことにした。暗いうちは気付かなかったが、ここはかなり浅いポイントだ。ゴロタ石の底の状況まではっきりと確認できる水深だ。しかし、この水深で魚影が濃いというからシズミ根や磯の割れ目などクロの住処になるところがたくさんあるようだ。

 早速撒き餌だ。パン粉4kgにアミ1.5kgの甑バージョン。撒き餌をしながらタックルの準備をすすめる。竿はがま磯アテンダー2−53。G2のウキによる固定仕掛け。20分撒き餌をして魚がちらちら見え始めた。しめしめここは浅いがかなり魚影の濃いポイントらしい。30分経過すると、尻尾の白い青い魚影が餌を拾っているのが見えた。今までの経験では、この魚の数と動きなら、浅いタナで釣れるはずだ。

 予定通り40分撒き餌をしたので、第1投。しばらく流して仕掛けを回収。餌だけ取られてる。おやっ、タナがあってないのかな。1ヒロ半から1ヒロに。また同じ状況。今日の魚はかなり手ごわいかも。鈎を8号から6号、5号と落としていった。それでも喰わない。

 さらに、今度はハリスを落とした。2.5号から2号に、更に1.7号に。喰わない。見える魚は釣れないの原則があるからと、遠投したり、瀬際を探ったりするも魚を喰わせられない悔しい時間だけが過ぎて行った。

 遠くでエンジンの音が聞こえてきた。それはだんだん近づき、マイクを通しての船長の声が聞こえてきた。「kamataさん、風が強くなってくるので、瀬変わりします。」これからという時だったのに残念だが仕方がない。大急ぎで釣り道具をまとめて回収の船に飛び乗った。


ガランのハナレ 喰わんなあ

「予報が変わって南西が8mという予報がでとるんですよ。」船長の説明はもちろん納得だ。船は南東のうねりを避けられない釣り場にいる釣り師をことごとく回収し始めた。宇治群島屈指の尾長釣り場「ガランのハナレ」では、イスズミ天国らしいが南東の風に強い数少ない釣り場とうことでそのまま残るそうだ。避難港前の2つの磯の釣り人もここは寒グロには抜群の実績だが、イスズミだらけだということで瀬変わりを希望。何かがおかしい。私のポイントは魚だけは見えたが、宇治島の周辺ではイスズミだけが元気だという。船釣りの方も今のところ小さいサメだけが唯一の釣果だそうだ。


ハカタ瀬船つけポイント

 船は、南東風を避けられる宇治向島北西部の西立神島周辺にやってきた。まず三角瀬に一人を。そして、次に自分の名前が呼ばれた。向かった先は、西立神島の水道側の壁のような場所。ポーターのおじさんが「狭いです」の一言を。見てみると釣り座が狭く道具を置くところさえもないような場所だ。

 折角の船長の申しでだが、もう少し安全なところを希望。すると、船長は希望通り、その磯の反対側のハカタ瀬という磯に渡礁させてくれた。ここも狭いところだが、横に磯伝いにあるいていけるところがあるので安心だ。広さは問題なかったのだが、ここも磯海苔にびっしりと覆われているし斜めに幾何学上に傾いているので、滑りやすく3回ほどすってんころりんと転んでしまった。


このワンドもクロのポイント

「潮が正面から右に流れるようなら、そのワンドでも釣ってみてください。午後2時前回収です。」この時期あまり乗れない西磯ということで期待感があったが、私の仕掛けにアタックしてくれたのは、イスズミ、ソウシハギ、カメさん、そして、新人のアオヤガラだけで、クロは姿さえも見せてくれなかった。


磯海苔がびっしり


ぼくにはこんなお友達が多いよね(汗)


1.5号まで落としたのに

 残念だが、午後1時15分となり少々早いが全く釣れる気がしないため無念のリタイヤをすることにした。

 今日は、潮が比較的動いていた時間帯に釣っていた人以外は、大変厳しい釣況となった。尾長は全体で7匹と宇治にしては散発的。口太もとなりの黒瀬の釣り人が2ケタ釣りが竿頭で後は厳しい結果となった。「水温が急に上がっていましたね。潮も動かんかったし、南風が吹く時はよくないですもんなあ。」と船長もシブい顔。


西の立神 最近就航したフリースタイル翔さん


ありがとう ハカタ瀬

 仕方がない。腕がわるいのだから。それに中途半端に1,2匹釣れるより、完全無欠のボウズの方がすがすがしさを感じてしまうのが不思議だ。釣れないということが難しいこの宇治での惨敗は、私をかなりへこませたが、串木野港に着いた時は早くも次回の釣行に向けてイメージトレーニングが始まっていたのだった。


忘れられない宇治の惨敗


これで グランドスラムのボウズ  



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