7/3 めくるめく離島への憧憬 平国漁港

「kamataさん、また次の週を考えてください」

黒潮丸の船長から今年何度目なのかわからないほどのダメ出しを喰らった。

 ハシリの時期で、南海の根魚のデカ版が最も釣れる6月は信じられないくらいの天候の負のスパイラルののおかけで一度も磯に立てなかった。

 だから、7月こそは磯にと思いきや、最初の週末は、梅雨前線の活発化のおかげであっけなく欠航が決まった。また、昨年いい思いをさせてもらった黒潮塾主催のシブ釣り大会も延期決定。

 5月の中旬に津倉瀬に行って以来、一度も釣りに行けないということから、今回はどうしても磯に立ちたかったのだが・・・。記録魚を釣るチャンスが今年もまた遠のいていく。いや釣れなくてもいいのだ。とにかく、硫黄島の磯にとりあえず立ちたいのだ。

梅雨空の下、南よりの風が体を駆け抜ける中、南からのうねりに向かって突き進む黒潮丸。やがて、エンジンがスローになり、鵜瀬からの渡礁が始まる。波が磯を洗っている。素早く荷物を受け取り無事渡礁。離島の潮風を体全体に浴びる。餌のキビナゴを刻んで足下に撒く。どこからともなくやってきた硫黄島の足軽歩兵軍団のイスズミが血に飢えたピラニアのように餌をむさぼり喰う。「こいつは、サメがいたって平気で餌を喰いつくからなあ。」まるでサバンナのハイエナのような輩を見つめながら、つけ餌であるサンマをぶつ切りにする。

上げ潮がとろとろと流れている。アカジョウ潮だ。夕マズ目、撒き餌につられた赤い上等の瀬の主は、おいらのつけ餌にたまらず喰らいつく。何の前触れもなく、幻覇王の穂先が一気にお辞儀する。さあやりとりの始まりだ。姿勢をできるだけ低くして、やつの疾走に耐える。「底をさえ切れば、こちらの勝利は手にしたも同然だ。」

おっと、いかんいかん。また悪い癖が出た。釣りに行けないフラストレーションが、妄想を次から次に創出してくる。

気分転換にと掲示板を見ていると7月3日からの硫黄島行きを待っているという関ちゃんさんの書き込みを見つけた。情報収集にと電話してみることにした。

「天候次第やねえ。南西の風が4mいってますからねえ。それがどれくらい吹いてくるかということだから・・・。南西なら西側(西磯)が使えないから。北のタナ、コウカイトウ、ヒサガ瀬あたりならできそうだけど。それより、時化男のK野が一緒だから今回は厳しいかもしれんですよ。あいつは9連続時化という記録をもってますから。それなのに、本人は偶然だよと言っているらしいけど。」

関ちゃんさんに電話してよかった。話を聞いていると、気持ちが落ち着いてきた。折角電話したから硫黄島の最近の状況を聞いてみることに。

「この前、N村さんが抜け駆け釣行をされて、久しぶりにシブを爆釣したそうですよ。2人で35枚?クーラーに入りきれなくて、とにかく詰められるものになんとか詰めて持って帰ったそうですから。」

N村さんは鵜瀬に今年初渡礁し、見事な数釣りを演じたそうな。「石鯛の下げ潮のポイントがシブダイのポイントになるんですよ。鵜瀬は魚が多いですから、あそこは仕掛けを投げそこなって手前に落としてもそこで当たりがあってシブが釣れたりしますからねえ。」

「私も、この前初めての人を連れて行ったときにタバメを釣りましたよ。タバメ退治は任せてください。」去年は、立神でデカバンのタバメの群れに遭遇し、入れ食いを演じておられた関ちゃんさん。今年もタバメの挨拶をうけたそうだ。今年の立神ではシブがたくさんいるとのこと。

「平瀬の釣り人はあまり釣れなかったんですけど。あたりは頻繁にあったそうですよ。下げ潮になると潮の本流が平瀬と離れたところを流れるので、どうしても潮ウラになりやすいんですよ。潮がいかないとシブは居喰いをして走らないですからねえ。そんなときは誘って誘って何とか喰わせるようにしないと釣れません。あそこは魚はめちゃくちゃたくさんいますからねえ。潮が行けば必ず釣れますよ。」

「N村さんが言ってましたけど、今年はシブの当たり年かもしれんそうです。」2週間後にシブ釣り大会を開きたいなと思っていますので、かまちゃんもぜひ参加してください。」関ちゃんとの電話で何とか心を落ち着けることができた。

7月3日の未明に南九州でとんでもない量の雨が降り、九州自動車道の鹿児島県内陸部が通行止めになっていた。これは釣りどころの話ではない。もし天候が奇跡的に回復して出航を決めたら、1人でなんとか紛れ込もうと思っていた邪念はあっさりと捨てることにした。

 しかし、離島への妄想消えたが、今日は無性に海に出かけたくなった。そこで、釣りに行けないストレスは最高潮に達したことを理由に部活が休みになった息子を連れてアジゴ釣りに出かけた。行き先は熊本県芦北郡津奈木町平国漁港。


梅雨空の平国漁港


雨で釣り人もまばら


息子も久しぶりの釣りにやる気モード

県芦北郡津奈木町平国港。小雨がぱらつく中、車を走らせ現地へ到着。天候が荒れることが予想されたので、あわただしく1時間ほど竿出し。40匹ほどゲットしたところで、空が暗くなってきた。これは潮時だと釣りを止めた。


昔、お世話になった天竜さんの釣り筏



アテンダーでアジゴ釣り(笑)

 家に帰って、から揚げにして楽しんだ。わずか1時間の竿出しだったが、これほど充実するとは思わなかった。海に行けるだけでうれしかった。


現地で指さばきしてきたから楽ちん



からっと2度揚げします


夏の風物詩アジゴのから揚げ まいうw♪

さあ、今年の夏は硫黄島の磯に立てるのだろうか?


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