延岡の釣具店 とても親切でした
ところが、私たちよりもっと辛酸をなめている男がいた。Webサイト「GURESUMMT」管理人の風雲児さんである。兵庫県在住である彼は、日本全国に釣り友を持ち、海水だけでなく淡水、そして、磯上物がメインだが、あらゆる釣りを体得しているマルチアングラーである。
ホームグラウンドは四国の沖磯だが、興味があれば日本全国津々浦々その土地の釣りを経験してまわるという、連続転勤ドラマ顔負けの釣り師なのだ。
その彼が、愛してやまない釣り場がある。それが、私のホームグラウンドである薩摩硫黄島である。私が発信した情報に触手をのばし、何とはるばる関西からフェリーで九州へ上陸。硫黄島に1人で乗り込み、見事平瀬で57cmの尾長グレを仕留めている。
今回もぜひ硫黄島で釣りがしたいとフェリーで宮崎から九州へと上陸を果たしたのだった。その彼が、今回の時化のオンパレードを一番嘆いていたのは言うまでもない。
「どないしましょう。釣りができるところはありますかね。」
電話口の向こうから、半分泣きがはいったような声で、話をする彼。
彼は歴史に造型が深く、歴史探訪の旅に切り替えることはできるのだが、硫黄島に行けないだけでなく、釣りをさせてもらえないという状況は笑うしかない。大量に積み込んできた釣り道具が軽自動車の中で泣いているだろう。正に、風雲児ならぬ不運児というほかない。
とりあえずやる気を見せて 餌を混ぜます
そんな彼のために何とか釣りができないところはないだろうかと、ありとあらゆる可能性を探った。すると、大分か宮崎県北の磯ならできると結論をだした。結果、宮崎県北の雄「北浦」に行くことにした。27日は好調だったと聞く。早速、あゆ丸の船長に予約を入れる。
「う〜ン、朝5時にきちょってね。」
29日からは出港がフリーになるので、他の釣り客が出発する時刻に合わせることにしたのだ。
29日小潮まわり。午後8時過ぎに再開した風雲児さんと合流し、彼を乗せて南へ下った。宮崎県延岡に入ったころには下弦の月が東の空にくっきりと現れていた。
10号線沿いにある釣具店「釣りタイム」で餌を購入。一路北浦へと向かった。
午前5時まで仮眠をとり、船長も登場。我々は船に乗り込みいよいよ北浦古江港から出船とあいなった。
鹿児島では4mの波だが、ここは別天地。うねりはあるものの風は時折強く吹く程度。釣りができない状況ではなかった。釣り師の夢とロマンを乗せた船は沖テトラを過ぎると舵を右へときって行った。
今回は沖の高バエで勝負 横バエが見えます
名礁「沖の二つ」や地の二つをスルー。船は横バエの近くでスローダウン。サーチライトを当てて、状況を確認している。横バエはうねりで波をかぶっている。
船長はすぐに横バエの先にある地磯に向けて舵を取った。
「kamataさん」
1番目に名前が呼ばれた。荷物を船首部分に出し、渡礁の体制にしてその時を待つ。不本意な釣りとは言え、この時ばかりはテンションが上がる。あゆ丸が磯壁にぶつかる。がっぷり四つになる間にすばやく渡礁。荷物を高い段にあげた。
高い段は足場がよいようです
風が結構吹いている。そして、ここはまるで底物のポイントのような高さのあるポイントだ。我々が釣り納めの主戦場となるのは、沖の高バエというそうだ。
風雲児さん 自称ボウズロッドを準備中
船つけで早速第1投
我々は、夜が明けると早速仕掛け作りに入った。風雲児さんは、自称ボウズロッドのダイワの1.65号。私は、ダイワメガドライ1.5号。
「どこで釣られます。」
彼が釣り座の選択について提案してくる。今日は君がビジターだ。お好きな所にどうぞ。
船つけに釣り座を決めた彼は、朝焼けに向かって第1投。潮はあまり動いていない。
ここは、北浦でいういわゆる上り潮の時が実績が高く。潮が沖に向かって左に動いた時がいい。今のところ潮はその逆に動いているようだ。