3/2  勢いを止めてしまったよ  北浦

今週末は閉校式のため3月2日は振り替え休業日。サラリーマン釣り師の夢の平日釣行ができる日だ。行き先は、離島や甑島をあきらめ、風裏の宮崎県北浦へ。お世話になったのは古江港から北浦一帯を誘うあゆ丸さん。
 
港で身支度をしていると、どこかで見た顔が。何といつもは枕崎港でお目にかかっている硫黄島の主N村さんと、ゆかいな関ちゃんさん一向だった。声をかけるととても驚いていた。

「かまちゃん、なんでここに?」
無理もない。平日にこんな場所に私がいること自体ありえないことだから。
「こいつが、釣りに行かないと頭が痛くなるっていうからしかたなくついて来たんや。釣りで硫黄島と湯瀬と黒島以外の場所に来たのは初めてだよ。」
N村さんは北浦は初めてとのこと。二人は底物で頑張るという。にぎやかな会話に混ぜてもらっているといつの間にか1人でやってきたことを忘れてしまいそいうだ。
 
あっという間に出港時間となり、5時半出港。6時にエボシで瀬を決める運命のじゃんけん。あゆ丸の釣り客が何と1番をゲット。迷わず昨日入れ食いだったトマスへレッツゴー。1番には3人組が上礁。次に関ちゃんさんたちが呼ばれた。「底物は今日は厳しいね。やるところがねっちゃわあ。」迷った船長は底物2人の渡礁をなぜか後回しに。
「かまちゃん、行こうか。」
今度は船長はおいらを呼んだ。

「かまちゃん、いいなあ。ここは釣れるよ。」
関ちゃんさんの言葉で、ここが昨日好調だった瀬の一つ2番にのった。ここで関ちゃんさんたちと別れた。
 
ここトマスはエボシと同じように、階段状に平らな部分があり、比較的釣り座が高く、少々のうねりでも釣りができるポイントだ。目の前は「御前バエ」がありうねりで波をかぶり続けている。もうすでに明るくなっている。


北浦 トマスの初上礁

撒き餌は釣具店で混ぜてきているので、仕掛けづくりからスタートだ。
 
竿は、ダイワメガドライM2 1.5ー53.道糸2号にハリス1.7号。いつもは硫黄島で4号あたりでクロ釣りをしているので、ラインやハリスが何とも細く感じられる。ウキは3Bから00号までいろいろ試したが最初は00号の全遊導でスタート。
 
暁の空を赤朱色のウキが切り裂き、蒼黒い海へと突き刺さった。潮は1番方面へと若干動いているようだ。流しているが反応は見られない。ときどき餌が取られる程度でどうも本命の取り方ではないようだ。船に乗っている時はあまり感じなかったが、大きい波長のうねりは、まともにこのトマスめがけてやってきて磯壁を洗う。そのたびに巨大なサラシが発生し、仕掛けが翻弄される。
 
更に、春先の寒の戻りで爆風が吹き荒れている。ぼやぼやしているとラインは大きく弧を描き仕掛けの入りを妨げる。時折吹く突風に竿を持っているのが精一杯の時も。
 
これでは、仕掛けを入れるのは難しいと、まずは魚のタナをきっちり取っていこうとウキを3Bの半遊導にチェンジ。左手前のワンド方面に流して行った。ここは若干浅かったが、撒き餌がたまりそうな場所で、寒グロ終盤期にはもってこいのポイントに思えた。


トマス2番 船着け

ところがここで釣れたのは意外な魚だった。手のひらの子尾長くんだ。こいつは水温の高い時に喰うはずだが・・。ところがしばらくすると今度はカワハギがお目見えした。う〜ん、こいつは水温が低い時に・・・。しかし、お土産ができたとカワハギはキープ。
 
潮はあまり動いていないようだ。表層だけが動いている感じ。しかし、そんな中、となりの1番の釣り人は良型のクロを釣りあげた。そろそろクロの喰いがよくなってきたかと期待するも、その後再び沈黙の海へと変貌した。


こんなのがいるようじゃ 水温高いかも



外道でもこれはうれしい本カワハギ


ちょっとサイズアップ でも海へサヨナラ

昨日は入れ食いだったと聞くが。どうもトマスの勢いを止めてしまったようだ。その後釣れたのはやはり手のひらサイズの尾長ちゃんだけで、10時のあゆ丸の弁当便がやってくることに。


北浦の釣りはおまかせ あゆ丸さん

船に乗って今日の状況を船長に尋ねる。

「今日はどこも喰いが悪いみたい。ここでねばっちょって。潮が悪いみたい。潮が沖に行けば喰うよ。」
弁当を受け取り磯に戻った。折角、好調な磯に乗せてもらったから、ここで粘ることにしよう。
 

釣りがだめでも磯弁があるさ

潮はもう下げに入っていて、だんだん潮位が下がってきた。相変わらず喰いが悪い。魚がいる気配は大いにするのだが、どうしても喰わない。ここ北浦のクロはとても知能指数が高く、離島の純真無垢なお魚さんと違ってスレまくっているようだ。
 
状況の変化が見られないので、休憩をすることに。磯弁をぱくつきながら後半戦の作戦を立てることにした。おそらく手前は餌盗り天国だから、やや沖を狙う。そして、3ヒロくらいで小さなアタリが集中しているので、そこを集中して狙う。
 
11時すぎに釣りを再開。その後ようやく結果が出た。潮が初めて沖へと動き始めた瞬間だった。ウキがゆっくりとシモリ見えなくなるまで我慢。道糸をやや張りながらまっていると、道糸に変化が。合わせてみると、ギューン。ここちよい竿の感触が腕に伝わってきた。それと同時に、脳にドーパミンが噴出されるのがわかった。浮かせて慎重に抜きあげたのは、30cmをわずかに超えるサイズ。この時期にしては小さいがこれは迷わずキープ。ようやく魚の動きを捕えこれから釣れ出すだろうと期待を込めながら竿をうちふるい続けるのだった。


ようやくキープサイズが

しかし、潮が沖に動いたのは一瞬で、あとは再び二枚潮の世界となった。
 
風と波はますます激しさを増し釣り人を痛めつける。手前の御前バエはまったく釣りができる状況ではないし、青バエは3人ほどのっているもののうねりで時折波をかぶっている。この地磯のトマスでもうねりが押し寄せ、1番の高い釣り座の近くまで波が押し寄せている。


うねりでトマス1番が呑みこまれそう


今日はうねりに悩まされた1日でした
 
喰いが渋いので、違和感をなくすためにゼロスルスルなど全遊導で勝負したいが、このうねりと風では仕掛けが全く入らない。そこで、ガン玉を足して馴染みをよくしようとする。また、重いおもりをしょった半遊導にして攻めてみるが、今度は魚が違和感を感じてつけ餌を放す。こんなじれったい展開が続く。
 
更に悪いことに、潮色がどうもおかしい。緑色っぽくなっている。おそらく動いてはいるものの潮が行ったり来たりしている模様。となりの釣り人もアタリがなく、1人2、3匹というところみたい。海の状況が芳しくなくなると、魚からの反応も途絶え気味になってきた。
 
魚からの反応がなくなるとそれに比例するように強烈な睡魔が襲ってきた。考えて見れば、ここまで来るのにほとんど一睡もせずにいるわけで、眠くなるのは当たり前だ。うとうととしだすが、それでも中々眠れない。強烈な風が中々おいらを眠らせてくれない。
 
ああ今日もダメだったと、眠りこけて竿を握っていると、いつの間にか道糸が走っていることに気づいた。反射的に竿を立ててやり取りに入る。名付けて睡眠釣りだ。ギューンと船つけの張り出し根に魚は一直線だ。しか、こちらもし負けまいと一気に浮かせて抜きあげた。
 
30数センチの魚だ。時計を見ると午後2時半。このまま、これから絶好調になってくれないかなと淡い期待をもっていたが、それも夢破れた。時間はあっさりと過ぎゆくもの。お土産はできたし、帰ることにした。
4時45分納竿。
 
釣れなかったが実に楽しい釣りだった。結果的にトマスの勢いを止めてしまったが、北浦のクロに完敗したすがすがしさは、本当に気持ち良かった。また、いつの日かこの北浦で遊んでもらおう。北浦に沈む夕日が冬とは違ってやさしく光っていることに気づき、思わず西の空に向かって手を合わせるのであった。


釣れましたかあ


ありがとうトマス


我が家の食材としては丁度いいっす


カワハギのうまさは裏切りません


クロの刺身 脂のりすぎでしょう


パン粉香草焼き 評判がよかったです



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