8/20 魚にきいてみよう 串木野沖一帯


タイラバの可能性が広がる串木野沖一帯

 
大阪桐蔭高校の優勝で幕を閉じた甲子園。白球を追う高校生のさわやかなプレーを見るのは何とすばらしいことだろう。
熊本県代表の済々黌高校も3回戦で負けはしたが善戦した。その試合で、相手が勝利後の校歌を歌う場面で、済々黌側のスタンドでは手拍子が起こっていたという。
お互いに全力をつくした後、健闘をたたえ合うスポーツマンシップの素晴らしさを甲子園に残してさわやかに球場を後にした。
野球部の生徒たちは、周知の通り、野球の技術だけでなく人間はどうあるべきかという教育を受けている。選手は野球道具への感謝の気持ちをこめて道具を大切にする。礼に始まり礼に終わるその部活動の基本はあいさつと言われる。
もちろん、いつも使わせてもらっているグランドへの感謝。自分たちのために野球を教えてくれる監督の先生。野球をやらせてくれる環境を作ってくれる親への感謝。
野球は1人でするのではなく、チームメイトと一つになるために声を出す。それらの様々な要素が若者にこれからますます厳しくなる社会で生きる力を与えてくれるのだ。
これは野球に限ったことではなく、すべてのスポーツに当てはまる。特に、日本では、相手を尊重するというスポーツマンシップが学校やスポーツ少年団などの社会体育で培われている。
そんな中、甲子園の世界とは対極に位置するこの夏のある出来事も忘れられない。
ロンドンオリンピック男子サッカー3位決定戦だ。正々堂々と戦い残念ながら日本は韓国に0−2と敗れた。敗れはしたが、日本の選手たちは精一杯のプレーを見せてくれた。勝負事は、敗戦はつきもの。しかたがないことだ。
問題はその後、喜びにわく観客からとんでもないものがある選手にわたった。ハングルで書かれたその文字は、当然受け取った韓国の選手も読めるはず。
「独島はわが領土」
スポーツの祭典の場に、政治の問題を持ちこむというタブーを犯していたのだ。その行為は日本国民を傷つけただけでなく、国際社会においても非難されるべき行為であった。
偶発的な行為と擁護する人もいるが、偶発的であれ、意図的であれ、その行為そのものがオリンピックの場で許されないことにはかわりはない。
その反スポーツマンシップの行為はただただ残念だった。
そんなことを考えているとフラストレーションがたまり、ふいに海に出かけたくなった。
海には、海の生態系には国境はないはず。
魚族からみれば、人間界のこんな行為をどう考えるだろうか。
ところで、釣り人にとって魚は、本当にありがたい存在だ。
なぜなら、釣りという究極の道楽を体験させてくれるからだ。
更に、上質の天然食材をもたらしてくれる。
また、何よりもすばらしいのは、魚たちは人間に対して公平にコンタクトを取ってくれるという点だ。
そのことから発展して、釣りの世界でも釣り人の関係は平等だ。
社長さんだろうが平社員だろうがみんな関係なくともに釣りを楽しんでいる。
同じ船に乗る釣り人はみな運命共同体であり、お互いを尊重し合う仲間なのだ。
スポーツマンシップならぬフィッシャーマンシップが生まれる人生の楽園なのだ。
これが人間界の本来あるべき姿ではないだろうか。
そんな人間本来の姿になりたくて、フリースタイル翔の三角船長に連絡をとる。
「いいですよ。すごい釣れてますよ。」
リールを新調し、PEラインも200m巻いて来た。
タイラバも新調したが、どんな色がいいのか。
またネクタイを呼ばれるヒラヒラもどんな色がいいのだろう。
こればっかりは魚に聞いてみなければわからない。
遠足気分で準備を済ませ、自宅を午前2時45分に出発した。
九州自動車道を南へ下り、南九州自動車道に入って約2時間で串木野港に到着。
すでに、みんなが揃った状態だった。

「かまちゃん、おつかれさまです。今日は6名ですよ。」
相変わらずテンションの高い三角船長が声をかけてくれる。
今回の運命共同体は、タイラバ中毒者こと私と、ルアーマンの若者が3名と2名の2組だ。
お互いに挨拶を済ませ、釣り座を決定し、串木野沖に向けて出港した。
暗い中、出港した船の後ろを見ていると、暁の空が姿を現し始めていた。
夏のさわやかな風がほほを伝う。
ああ、なんという心地よさだろう。夏の釣りで味わうことのできる一瞬のさわやかさを味わいながらポイントに向かった。
しばらくするとエンジンがスローとなる。始めは浅いポイントだった。
「これはいい感じの潮ですね。釣れますよ」
三角船長がいきなりの釣果予告。
ははは〜〜と冗談に受け答えしながら、仕掛けを底に落として、巻き始めるといきなり何かが喰ってきた。

向こうの3人組の若者の1人にも何かが喰いついた。ダブルヒット。
しかし、あまりひかない。慎重に浮かせると、マダイと思いきやチダイだった。30cmくらいの塩焼きサイズ。チダイは群れになっているので心配したが、チダイの襲来はこの単発に終わった。となりは、まずまずの型のマダイだった。
チダイの襲来は避けられたが、他の魚からのアタリは、この後の40cm弱のオオモンハタを釣ってからは遠のいてしまった。
「上げてください。次行きましょう。」
喰いが悪くなると、場所を変えて仕切りなしとなる。何度かポイントを変えるが、残念なことに魚からの応答はなかった。
こんなにいい潮が流れているのに何で喰わないのかな。そりゃ魚に聞いてみないとわからないね〜〜。

「上げてください。今度は深めのところに行きましょう。」
そういうと船長は更に沖に向かって船を出した。
5分ほど走り、止まったポイントで釣り始めた。
ここはすごい。潮が速い。
「ここは潮が速いんですよ。でも、もうすぐ潮どまりだから、釣りができますよ。」
水深がある、そして、潮が速い。
デカ版のマダイを狙うには絶好の条件が揃った。
早速、仕掛けを入れる。底を取るのが大変。ラインがどんどん出て行くばかり。中々そこがとれない。120gのタイラバを使っているのだが。
ここでは、マダイではなく、高級魚ラッシュとなった。
ルアーマンの若者二人が、デカ版のハタを釣っていた。
わても、良型のオオモンハタと、今回密かに本命視していたウッカリカサゴをゲット。
もういいかあ、と思っていたら、最後に47cmのマダイが訪問してくれ、何とかお土産を確保。大満足の釣行となった。

今回、竿の穂先を折ったり、FGノットの結びがうまくできずに船長にお世話になったり、迷惑をかけてしまったが、魚からのコンタクトのおかげで、タイラバの望ましい仕掛けやどんな色が実績が高いのかなど、いろいろ魚に聞けてよかったと思う。
タイラバ釣りなんて、ただ巻くだけと思っていたが、いろいろ工夫次第で更に楽しめるものなんだということに気づかされた。
「釣りは楽しければいいですよ。釣れなくても楽しめるんですよ。」
三角船長のこの一言が再び釣り人を海に向かわせることになる。
完全にタイラバ中毒になりながらも、実は心のどこかでは、磯のあの香しい風景がフラッシュバックしているのだった。

美しい串木野の夜明け

何かが喰った模様 かなり長いやり取りでした

まずはもんちゃん40オーバー

やりました ねらいのウッカリカサゴです

最後にマダイも釣れました

もんちゃん2匹 真鯛2匹 ウッカリカサゴ1匹

ウッカリカサゴの刺身 クエに似てて繊維質でした

もんちゃんのアクアパッツア

ウッカリカサゴのカマ塩麹焼き

ウッカリカサゴの潮汁

三岳の肴あります


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