1/4 5 今年も楽しい釣りを 宇治群島


宇治群島 ガランの水道から向島を臨む

 2013年、初春。正月寒波で何もすることがないので久しぶりに志賀直哉の小説「小僧の神様」を読んでみた。あらすじは次の通り。

 秤屋の小僧仙吉は、旨い寿司が食べたくて寿司屋に入って以前から食べてみたかったマグロを手にするもののお金が足りずに恥をかいてしまう。その光景を見ていた貴族院議員の男Aは、偶然出会った小僧に寿司をご馳走する。小僧は願いがかなったし、Aもいいことをしたということになる。しかし、読者にとっては何か釈然としない。困っている小僧に、経済力で寿司を食べさせるAの行為は、何か後味の悪さを感じてしまうのだ。

 ところで、マグロと言えば、今年の東京築地の初競りで、大間産のマグロが15540万円の史上最高値で競り落とされた。経済が冷え込んでいる中で、景気のよい明るいニュースだ。しかし、その寿司を食べる客は、寿司屋のチェーン店の善意やその魚の価値を感じることができるのだろうか。正月寒波の荒波の中、命がけで船を出し、最先端の技術の粋を集めながらも百戦錬磨の漁師としての判断力でマグロとの知恵比べを制した結果であるそのマグロを。

 マグロは確かにうまい魚だ。でも、海には、他にもたくさんうまい魚がいるし、最高にうまい食べ方がある。私は、そのことに今から12年前初めて気づかされたのだ。

 それは、自分が釣り師となって、釣った魚を自分で料理して食べるというものだ。2001831日、水俣百闕`で初めて釣りをし、その時釣ったチヌの塩焼きは今でも忘れられない美味しさだった。その人生初の衝撃から、釣りにどっぷりとはまってしまった。同じ金を使うならば、釣りという道楽につぎ込むことにしよう。釣りの舞台は、堤防から半島周りの沖磯、離島へと変化発展していったものの、この食べるために釣るという基本は今も変わらない。

 釣りの経験を積めば積むほど、自分で釣った魚が一番うまいという思いは確信に満ちていった。最高に美味しい魚を食べたかったら釣りを覚えなさいと小僧には伝えたい。そして、そんな最高の道楽を経験したければ、仕事にも精を出しなさいと。

 そんなことを考えている中で、新しい年が明け、今年も安全で楽しい釣りを祈願する意味で、初釣りに行くことにした。場所は、uenoさんのたっての希望で宇治群島。

 宇治群島は、野間岬から東シナ海に向かって約60kmの地点に浮かぶ無人島である。東側の家島と西側の向島の二つが主な島でその間を比較的水深が浅い隼人の瀬戸という水道がある。対馬暖流の本流が流れる地点にあるためか、その魚影の濃さは特筆に値する。江戸時代から明治時代にかけて、カツオ漁を中心とした漁業施設があったが、台風直撃による壊滅的な被害でその後の入植を困難なものにし、現在では釣り人やダイバーだけが訪れる場所となっている。

 宇治群島と言えば、磯釣り師憧れの場所である。特に、冬期の尾長グレの魚影の濃さは、しばしば上物師の話題に上るほどだ。

 昨年、uenoさんは息子さんと一緒に12日の瀬泊まり釣行で、途中回収になりながらも満足できる釣果を上げている。Uenoさんの脳に宇治群島へのよいイメージがインプリンティングされてしまったようなのだ。

kamataさん、初釣りは宇治に行こい。もうサザンクロスに電話しとったけん。」

さすがuenoさん。こちらの希望も聞かずに、早速、予約を入れてしまっていた。Uenoさんは何としてもデカ尾長を釣りたいようで、宇治のポテンシャルにかけようという意図だった。年末の硫黄島では見事に50cmの尾長グレを仕留めている。Uenoさんはおいらの師匠。師匠の言葉は絶対だ。

 そこで気になるのは天気。正月寒波が収まり、天気が好転すると思いきや、東シナ海からのうねりが残り、釣行予定の4日は、うねりを伴い2.5mのち1.5mの予報。5日は、曇り時々雨で波は1.5mだが降水確率50パーセントで微妙な条件がそろった。さて、出航か欠航か、どのカードをひくかそれは船長だけが知っている。

 Uenoさんからの吉報が届いたのは、3日の昼ごろだった。

kamataさん、出航するげな。波が高いけん、3時に出航するげな。(通常は午前0時出航)」

「へえ〜、だめだと思ってましたよ。2日釣りですよね。」

「うん、でも波が収まってくるけん出っとだろなあ。12時にうちに来て。」

事の顛末はどうであれ、出航することに変わりはない。急いで道具の準備と餌の購入を済ませ、午後11時半にueno宅に集合した。

 九州自動車道を南へ下り、鹿児島から南九州自動車道に入り、市来ICから一般道を走るという道程。釣り人のはやる気持ちは、1時間も早く集合場所の串木野港へ到着させた。いよいよ本格シーズンに入るとあって釣り人の数が気になったが、驚くなかれ釣り人の数は10名そこそこ。あの宇治群島行きの船としてはあまりにも少ない人数。うれしいかなかなしいかなポイントは選び放題のようだ。

 ほどなく船長が登場。

「磯にあげない荷物から入れてください。」

船長が荷物の積み込みの指示をしている。瀬上げしない荷物、瀬泊まりの時だけ瀬上げする荷物、昼釣りの荷物をそれぞれ違う場所に収納。これなら、瀬上げの時に荷物を間違えたり、戸惑うことは少なくなるはず。感心しながら荷物を船に積み込んだ。

 しかし、なんとこの船のでかいこと。10人での出航はもったいない。

「太か船なあ。こんなら少々の波でも大丈夫じゃろう。」

Uenoさんもこの船に信頼を寄せているようだった。

 そうこうしているうちに。

「ぶるん、ぶるん。」

高速船サザンクロスに命の息吹が吹きこまれ、静かに暗闇の串木野港を離れた。船は、堤防を過ぎると速度を増す。波は大丈夫だろうか。一番下の船底に横になりながら船のゆれで状況を確認する。結構な揺れだ。でも、心配しても仕方がない。賽は投げられた。できる条件で思い切り楽しもうじゃないか。

 どれくらい経っただろう。エンジン音で目が覚めた。どのあたりを走っているのかな。何せ高速船で3時間以上かかる場所だ。目が覚めてしばらく釣りのイメージトレーニングをやっていると、エンジン音がスローに。

「来た!宇治に来たんだ。」

いてもたってもいられず、ライジャケをつかんで装着し、デッキに出てみる。水平線では明るくなりかけてはいるが、ここがどこだかさっぱりわからない。風が強く吹いている。結構な揺れ具合だ。2.5mの予報がわかる気がする。「ぶるるん、ぶるるん」最初の渡礁が始まった。北西の強風が吹いているから状況からすると家島の風裏となる地磯につけているようだ。

「そこにシズミ瀬があるのわかりますか。食いがシブいときはハリスを考えたりして工夫してください。」

サーチライトをあてて、船長が細かくポイントを解説しながらの渡礁だ。

船は今度はしばらく走り、隼人の瀬戸を横断し、向島の風裏となる南東向きの地磯につけた。

「風が強いんで、このあたりで釣ってください。最近は、有名磯よりもこんなところで釣れてますよ。おとといは尾長らしきバラシが何発かありましたよ。タナはね、竿1本から1本半の間です。尾長が回ってきたらハリスを5号か6号にかえてみてください。」

さりげなく釣り人のモチベーションを高めながらの渡礁だ。

何度か渡礁させた後、自分たちは最後になった。奥まった地磯だが、風の影響を受けず釣りやすい場所のようだ。渡礁後、船長のアドバイスを待った。

「右手前にシズミ瀬があるでしょう。その周辺をねらってください。餌取りが多いときは、仕掛けを瀬際から離さないようにして。右にずっと渡っていけるようになっていますから。満潮は昼ごろです。そのころ見回りにきますから。」

そう言い残して、船は停泊するために沖へ出た。

さあ、いよいよ宇治での釣りが始まった。否応なく気持ちはどんどん高まっていく。撒き餌を調合し、仕掛け作りに入った。それにしても船長が気になる一言を発していたっけ。食いがシブい?宇治群島と言えば、離島で魚はスレていないはずなんだけど。

「ハリスは何号にするね。おらとりあえず2.5号にしようと思っとるばってん。」

硫黄島では、3号から4号をメインで使う。ハリスが太いから魚の食いが落ちるとは考えたくないんだけど。この船長の一言で、とりあえず口太狙いで、竿は1.5号、道糸とハリスは2号をチョイスすることにした。

撒き餌を利かせて釣り始める。潮はいい感じでシズミ瀬の方向へと動いている。初めからいい潮だ。これは釣れるかも。ところが淡い期待もuenoさんの一言で変わった。Uenoさんが早速第1投で魚をかけたらしい。

「でたっ、こらイスばい。」

Uenoさんは、南九州の離島の最強餌盗り選手であるイスズミに対して敬意を表して「イス」と呼ぶ。竿先をガンガンたたき、すぐにそれとわかるやり取りだ。早速、リリース。こちらにもイスズミがかかった。これが船長の言う餌盗りなのか。そうすると、硫黄島のように沖へイスズミを撒き餌でおびき出し、瀬際を釣らなくてはいけないのだろうか。そうすると、2号ハリスでは自信がない。悩みながらの今日の答えをなかなか見つけられない。最初の1尾を釣るのに、820分、つまりは釣り始めから1時間以上かかってしまった。それもパターンを見つけたわけではない。シズミ瀬周辺を流して釣った1尾だった。もう1尾口太35cmを追加したところでuenoさんが声をかけてきた。

「ウキは何ば使いよっと。ハリスは何号ね。」

「G2の半遊導で、ハリスは2号です。」

2号な。おいもハリスば落とそう。2.5じゃ喰わんとたい。」

こんなやり取りの後、uenoさんはハリスを2号に落とし、10時過ぎにようやく最初の1尾をゲット。ボウズを脱出しほっとするuenoさん。

「ほんと、喰いのシブかなあ。甑島の瀬々野浦で釣りをすると思っていた方がよかバイ。」

なぜだかはわからないが、アタリは小さく、離島の醍醐味の一つであるウキを一気に消し込むアタリは全く見られない。離島だから、大雑把なワイルドな釣りを期待していたおいらたちは、初めから裏切られてしまった。

 今日は、どうもパターンを見つけられない。魚はいる気配はするのだが、どうしてもイスズミの勢力が強くクロを喰わせられない。午前10時ごろにシズミ瀬付近で40cm級のクロを釣り、釣り始めから2時間半でようやく3尾目をゲット。先行き不安なスタートだ。

 船長は、「水温は17.5度になってクロの喰いがよくなっていると思いますよ。」と言っていた。しかし、釣れてくるのはイスズミとコッパ尾長、そして、ナンヨウカイワリという水温が高いときに釣れる魚ばかりだ。上げ潮で水温がかなり上昇したのでは。二人は自分の腕を棚に上げて、考えても仕方のない自然条件について語り始めていた。

しばらくすると、沖からサザンクロスが近づいてきた。

「どうですか。」

ダメのサインを送ると、

「魚はいるんですけどね。では変わりましょう。」

と以外にも瀬変わりを提案。しかし、uenoさんが

「変わってよかった試しはなかったバイ。ここでねばろい。」

確かに、uenoさんの言うとおりかも。船長が数あるポイントの中で選んでくれたんだから、必ずここで釣れるはずだ。

ここで粘る意思を伝えると、

「ハリスは細くしてください。それから、イスズミが多いときは、瀬際をねらってください。夕方迎えにきます。

」と言い残して、船は去っていった。

 さあ、ここで粘ると言ったからには、何とか結果を出さなくちゃ。潮は満潮の磯止まりを迎え、下げ潮が流れるようになった。すると、期待された魚の動きがピタリと止まった。イスズミさえ口を使わなくなってしまったのだ。どこに仕掛けをいれても同じ、餌が残る時間帯の後、今度は餌が取られるものの喰わせきれない時間帯がやってきた。

「おら、宇治まで来て、こがん釣れんごつなるとは思わんかったバイ。」

Uenoさん得意の嘆き節が始まった。おいらも思いは同じだ。離島まで来て、1日目の前半戦で2人合わせて4枚という情けない釣果に体中のアドレナリンが駆け巡っている。このままでは帰れない。必死の形相で釣り続けた。途中2時ごろ、本命ポイントでではない裏側のワンドで交通事故的に1尾釣りあげる。しかし、そこは浅いゴロタ石が点在しているだけで、魚をかけるものの溝に潜られてしまい唯一のG2勝負ウキを失ってしまった。

 午後3時前、過ぎると、魚がチラチラ見えだした。その直後だった。ウキが小さいアタリを表現し、ゆっくりとしもっていった。それは、いつもは途中で止まるのであるが、今回はゆっくりだが、確実に水中奥深くへと確実に進んでいる。これは釣れるかも。道糸の変化にすぐに対応できるように構えていると、案の定、道糸に変化が。軽く道糸で聞いてみると、コンコンとした魚の生命反応が竿先から手元まで伝わってきた。待ちに待ったアタリだ。すかさず合わせを入れてやり取りに入る。竿先を叩かないシャープな引きは紛れもなくクロだった。慎重に抜きあげる38cmほどの宇治では良型に入る口太だった。これで5枚目。この5枚目の魚から喰いが活発になり、6、7、8枚目と連続で口太を釣った。Uenoさんもこの時間帯に4匹釣っていた。急げ時間がない。どういう原因かはわからないが、ようやくクロの喰いが立ってきたようだ。

 しかし、喰いが活発だったのはここまでであとはまた沈黙の海が待っていた。

「いつ迎えに来るかわからんけん。早めに仕度ばしょい。もう釣れる気がせんもん。」

この後、uenoさんが掛けたクロにサメが瀬際まで突進して、サメは尾ヒレを我々に見せてくれた以外はさしたるドラマもなく、Uenoさんの提案で瀬変わりの準備をすることにした。

 午後4時半ごろ、迎えにきた船に乗り込み、瀬泊まりする場所を船長と相談することに。サザンクロスの船長は限りなく釣り人の意向をかなえてくれ、釣り人の立場に立って仕事をしてくれる人だ。

「どこか、希望はありますか。鮫島がよければ、行きますよ。でも瀬割の関係で午前3時までですけど。」

船長は、我々に尾長の魚影は濃いが文字通りサメの魚影も濃いところを進めている。しかし、鮫島は尾長の期待は高いものの、3時までというのが引っ掛かった。じっくり腰を据えて釣りたい希望から

「ガランあたりはどうですか。」

と希望を伝えてみると、

「ガランの水道にと思っていたんですよ。」

と船長。お互いの意見が響き合い、ガランに水道に乗せてもらうことになった。

「船をつけたところから右に行ったところがポイントです。そこがワンドになってるんですよ。そこで釣るか、餌取りが多いときは、あそこにシズミ瀬がありますよね。そこまで流してもいいです。4時前に、迎えにきますから頑張ってください。」

サザンクロスは夕暮れの宇治の海に消えていった。

ここはあんまり足場がよくなかなあ。夜釣りということで、uenoさんは、釣果よりも釣り座を気にする人だ。折角持ってきたマイナス17度にも耐えうるコールマンのシュラフを試したい意向だ。釣りには直接関係ないかもしれないが、これも釣りを楽しくする重要なアイテムだと思う。更に、知らなかったが、サザンクロスは1泊2日釣りの場合、ごはんと漬物を詰めた弁当を届けてくれるサービスがあった。更によいことに、ここは完全に風裏となり、全く寒さを感じることがなかった。ガランの水道は、我々にどんな答えを用意してくれるのだろう。

 さあ、仕掛けづくりを急がなくちゃ。ぼやぼやしていると日が暮れてしまう。ここ最近の宇治では、大型の尾長グレは夜釣りの時間帯よりも明るい時間帯の方が食いがいいとのこと。急いで仕掛けを作った。竿はダイワブレイゾン遠投5号に、道糸10号にハリス10号。2号の電気ウキにタナを竿1本くらいの設定から始めることにした。

 期待された夜釣りだったが、餌取りに翻弄されてしまう。

「また、イスばい。いい加減にしてくれえ。」

 アタリだと思いきや。ビューンと強烈な横走り。何だこいつは。青物か。右に左に横走りするやつの正体は宇治名物のサバであった。それも喰ってくるサバはみな50cmオーバーのデカバンぞろい。

「また、こいつか。」

今度はuenoさんにマツカサが喰いついたらしい。レッドデビルと呼ばれるそいつは、イスズミの食いが落ちる時間帯になると元気になった。

極めつけは、アタリがなかったのでタナを竿1本半と深くしたところが、喰ってきたのは今年の干支になり損ねたと思えるウツボくんだった。

 こんな状態で、二人とも午後10時前にはすっかり心が折れてしまい、

kamataさん、釣れる気がせん。飯でも食おい。」

uenoさんの提案で、磯宴会をすることにした。

 今夜のメニューは、焼き肉にカレーラーメン。クーラーを船に忘れてきて失意のuenoさんの心を温めるのに十分なメニューだ。磯で飯を喰いながら、今日の釣りを楽しく振りかえるのも釣りの醍醐味だ。魚が釣れなくても宇治のすばらしい海が慰めてくれる。自分たちが地球の一部分になった気分を味わわせてくれる釣りという業は、心を開放し仕事へのやる気のエネルギーを充電してくれる。いやそれだけではない。今自分がこの地球で確かに生きているという証を感じさせてくれるのだ。

 お腹が満たった我々に突然睡魔が襲ってきた。磯で眠るのも磯釣りの醍醐味の一つ。Uenoさんの御推薦のコールマンのシュラフに包まれて、波の音を子守唄に深い眠りについた。

 どれくらい眠っただろう。目が覚めると遠くの漁火に気がついた。それは、どうやらサザンクロスみたいだ。時計を見ると、午前3時過ぎ。もうすぐ、船がやってくる。Uenoさんを起こして釣りを再開した。

 しかし、釣り人が最も期待した夜明けも魚からの反応がなく、あえなく夜釣りはジ・エンド。10時過ぎに回収だから、それまでの昼釣りは、もう口太をねらってもしょうがないと、昼尾長一転ねらいの竿2.5号、ハリス6号の男前仕掛けで勝負。

ガランの水道はワンドになっているところは、尾長の1級ポイントらしいが、同じ場所で口太も釣れるお得なポイントだ。Uenoさんは途中で尾長をあきらめたらしく、ハリスを2号までに落として、口太ねらいに切り替えていた。イスズミ5匹釣って、口太を1匹釣るという展開で、タイムアップの午前9時半を迎えた。

kamataさん、もう時間バイ。かたづけよい。」

尾長の雰囲気さえ感じることなく、おいらの最後の昼釣りも終わらせることにした。魚はあまり釣れなかったが、十分楽しませてくれたし、気持ちよく帰ろう。

 午前10時半に船は回収にやってきた。船に乗り込み、楽しませてくれた宇治の海を最後に振り返った。東側の遠くに黒島、南の方向にまるで蜃気楼のような草垣群島が見える。また北に目を向けると、津倉瀬のような影が、そして、その先に遠くにぼんやりと野間半島らしき影が見えた。360度海という非日常をじっくりと味わいながら、宇治の海に手を合わせた。今度来るときには尾長グレに逢わせてくれよ。そうかすかにつぶやき、キャビン内に入った。これからまた3時間の船旅が待っている。行きとは違うゆりかごのような凪の海を走りながら、いつの間にかまた深い眠りについた。

午後2時前に、串木野港に到着した。港に帰って船長と今回の釣りについて振り返った。

「今日は潮が動かんかったですねえ。口太はけっこう釣れたみたいですけど、尾長のアタリがなかったっすねえ。」

全回の宇治とは違い、潮が思うように動かず、口太は水温低下でよく釣れたそうだが、尾長のアタリはなかったとのこと。陸に上がってクーラーを開ける釣り人はいなかった。

尾長をねらって惨敗を喰らった今回の釣行。しかし、あきらめていた1泊2日釣りを成就できて、気の合うuenoさんと思う存分楽しく釣りができた今回の釣行。自然相手だし、釣り人の腕が問題だからこれも仕方がないさと2人で話しながらも、次回は尾長グレの釣れるところに行くことを約束して、帰路につくのであった。この日は、雨の予報だったが、厳寒期とは思えない穏やかな空気に包まれていたのであった。


高速船サザンクロス でかい船です


最初の渡礁が始まった


向島南東側の無名磯に


uenoさんの釣り座の前にシズミ瀬があります


イスズミと格闘中


ようやく1尾目をゲット


2匹目はサイズダウン


遠くにウベット 更に蜃気楼のような草垣群島が見えます


3匹目は本日の最大クラス 40cm



釣れんなあ


やっとで釣れたバイ


そろそろ夕暮れの時間


となりの方は20枚くらい釣ったそうです


ようやく後半になって入れ食いに


となりの釣り人はここに残るとのこと


ありがとう無名瀬


宇治向島を後にして夜釣りの舞台へ


船はガランの水道へ向かっています


この斜面の向こう側に釣り座があります


このワンドがポイント


この日は50cm級の大サバが大暴れ


今年の干支になり損ねたウツボ君


焼き肉はuenoさんに好評でした


お次はカレーラーメン


温まるなあ


うれしい弁当のサービス


コールマンのシュラフは最高の寝心地でした


瀬際で口太をねらうuenoさん


ハリス6号でも喰ってきました


初釣りの手持ち写真がこれに(汗)


ありがとう ガランの水道


今回の釣果



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