4/4 わずかなチャンスに 宮崎県美々津



宮崎県美々津・七つバエのアジ釣り

満を持してuenoさんと宮崎県美々津のアジ釣りへ

美々津港には、たくさんの釣り人たちが。

 

エバの群れが居着いているらしい。

 

お世話になるのは、美々津の磯群へ誘う「みなと丸」さん。

 

最近の悪天候続きで出港できていなくて、情報はほとんどないそうだ。

 

昨日は、潮が速くてかなり渋かったそうな。

 

とはいっても、この美々津はとても相性が良い。

 

2回釣行して、2回とも20枚を越える釣果に恵まれた。

 

美々津のアジは、食味が素晴らしく、その色からも「美々津の黄金アジ」とも呼ばれている。

 

全く悪いイメージはない。

 

港について30分ほど談笑していると、船長がやってきた。

 

我々は、アジの群れを頭の中にイメージしながら船に乗り込み、沖を目指した。

美々津の沖磯を目指してレッツらゴー♪

 

凪だと思いきや、沖に出ると結構波があるね。

 

美々津の沖磯で代表的なものは次の二つ。

 

一ツ神と七ツバエである。

 

uenoさんによれば、2つともに夜釣りのアジにはもってこいのポイントだが、

 

一ツ神は、大型のマダイやクロなどの実績も高いとのこと。

 

「一ツ神に行こい。(行こう)」

 

と、uenoさんは、一ツ神を船長に哀願。船長もとりあえず一ツ神に来てみた。


日向灘に悠々と浮かぶ一ツ神は東側が高ポイント。そこにはすでに2人の先客が。

 

あと2人乗るには問題ない人数。

 

ところが、足下はうねりによるサラシで真っ白。

 

「uenoさん、一晩中こんな感じだよ。」

 

と、船長。

 

アジ釣りは、凪の方が圧倒的に釣りやすいことを考えると、折角の一ツ神だが他を当たった方がよさそう。

 

「船長、七ツバエに行きましょう。」

 

「その方が、良い釣りができるよ。」

 

意を汲んで船長が、我々を七ツバエへと誘ってくれた。

灯台がある七ツバエ。こちらの方がうねりの影響が少ないようだ。

 

過去2回のここでの釣りで、2回ともアジ20匹の釣果。相性の良いこの磯で一晩中アジとの真剣勝負をしたいね。

 

船は、磯の近くでエンジンをスローに。

なんと言うことだ。灯台の一番のポイントの先端部分が空いているではないか。

 

難なくA級ポイントの先端をゲット。

 

これからの釣りへの期待で胸が張り裂けそうである。



目的地である七ツバエの灯台を前の前にして信じられない光景を目にしていた。

 

夜釣りの人気ポイントである灯台瀬に誰も釣り人が乗っていないのである。

この釣りに精通しているuenoさんが、この灯台瀬で一番のポイントは先端であると豪語する。

 

いつもはその場所には必ず先客がいるものだが、uenoさんによれば今回が初めてだという。

 

「ここが一番よか場所ばい。ばってん、低かけん、満潮付近は波ば被るもん。」

 

ということで、uenoさんは、先端からすこし下がったところに釣り座をゲット。

 

ボクも、先端に出たいところだが、夜釣りで波を被るかもしれないとuenoさんの釣り座の隣にバッカンを置くことにした。

さあ、これから時間はたっぷりある。沖磯の情景を楽しみながらじっくりとタックルの準備に入った。

 

昼釣り用は、

 

竿 がま磯アテンダー1.2号、道糸1.75号、ハリス1.75号、ウキは0αの全遊動、ハリはグレ針5号

 

夜釣り用は

 

竿 がま磯アテンダー2.5号 道糸2.5号ハリス2.5号 ウキは棒タイプ電気ウキG2 2ヒロの半遊動 ハリはグレ針8~10号

 

タックルの準備を済ませると、今度は餌の準備

 

オキアミ生1角 赤アミ1角 パン粉1kg お徳用集魚材1袋を混ぜ混ぜして堅さを整えた。


午後3時頃釣りを開始、後でやってこられた方が先端をゲット。灯台瀬は4人体制となった。

 

潮が右の沖に向かって走っていた。この潮は、これまでの経験でアジが釣れたためしがない。

 

餌も盗られない。

 

撒き餌が聞いてくると、餌をわずかに囓ったり、引っ張ったり、頭だけ取ったりとそんな時間だけが過ぎた。


隣の釣り人は、40、50のチヌを釣り上げ良いスタートを切っているようだ。

 

こちらはアタリすらない状況が続いた。

 

「この潮はダメバイ。全く釣れる気がせん。ばってん、アジは夜になるといきなり釣れ始めるとたいなあ。」

 

どうやら、この釣りではひたすら我慢して夜まで待つことが肝要のようである。

 

しかし、この人気ポイントがなぜ空いていたのかを考えると、これからのアジ釣りも不安いっぱいである。

 

昨年、M中さんが息子さんとの釣りで見事にノーフィッシュ。

 

船長の前情報でも

 

「潮が速くて、食いが渋かったらしいよ」

 

全くいい雰囲気を感じることなく夜の帳が降りて夜釣りが始まろうとしていた。


いつの間にか夜釣りに入った2人だったが、アタリすらない状況が続く。

 

ウキがどんどん右へつまり沖へと流されていくが、ケミを取り付けた仕掛けは反対方向へと動こうとしていた。

 

典型的なきつい2枚潮。

 

かつてここで釣りをしたとき、このような潮に出会ったことがあったが、全く釣れなかったことを思い出した。

 

潮は益々表層だけをなぞるように早く流れているが、仕掛けは一向についていこうとしない。

 

1時間ほど経過したところで、

 

「こら釣れんバイ。こんなに苦戦するのは初めてバイ。」

 

とuenoさんが早くも嘆き節が。

 

確かに、uenoさんの言うとおりだ。

 

全く釣れる気がしない。

 

餌を時折囓ったり、引っ張ったりするのは、昼釣りの時と同じ状況だ。



これだけ魚の気配が感じられないのは、浅いタナでは喰わないのでは。

 

こんな仮説を立てて少しずつタナを深くし始めた。

 

これまでの経験から、uenoさんが「ここのアジ釣りでは、タナは2ヒロバイ」という説を信じ、ひたすら打ち返すものの、全く釣れないことからもうタナを深くするしか引き出しがなかったのだった。

 

竿一本まで来たが、全くアタリなし。

 

遠投しても、瀬際を釣っても、魚からの応答はなかった。

 

さらに、深いところを探って1本半まできた。

 

ウキが手前に当たり気味にuenoさんの釣り座の足下に来たところで、何の前触れもなくウキが消し込み、竿先がひったくられた。

 

「来た!」

 

本日初めてのアタリ。なんとしてもものにするぞ。

 

しかし、初めのアタリの強さにそぐわない軽い手応えに変わった。

 

慎重に抜き上げて魚を確認する。

そこには30cmクラスのアジがピチピチ跳ねていた。

 

ようやく1匹目。

 

時刻は、午後9時になろうとしていた。

 

夜釣りになってからだれも魚の顔を見ることができなかった釣り人たちの自然がこの小さな魚に集まった。

 

「よう釣ったな。タナどれくらいね。」

 

「一本半です。」

 

「一本半な!」

 

驚く、uenoさん。

 

他の釣り人たちもタナを深くし始めたのは言うまでもない。

 

それから30分ほど経ってから、さっきアジの釣れた場所で再び暴れるくんを喰わせる。

 

抜きあげた魚は、なんと初めて釣ったフッコだった。

ここではこのフッコがよく釣れるらしい。

 

これからだと思っていたが、時合いはこの2匹だけしか恵みを与えてくれなかった。再び沈黙の時間がやってきた。

 

こんな時は、休んでお腹を満たすのも釣りの楽しみの一つだ。

 

あるポットでお湯を沸かし、カップラーメンをすすった。

磯で食べるカップラーメンは何でこんなにうまいのか。カレーヌードルに塩むすびを投入してカレーおじやを楽しんだ。

 

お腹が満たされると、自然と睡魔が襲ってくる。午前1時くらいまで頑張ってみるものの、魚の気配が消えた中で、睡魔には勝てず磯に横になって仮眠タイムとした。

 

その後、目が覚めたのは午前2時半。釣りを再開するが、状況は変わらず心が折れかかる。

 

午前4時になった。渡船が5時半に迎えに来るから早めに片付けに入った。

 

ところが、ここからuenoさんの反撃が始まった。

 

今回のこの釣りでこれまで一度のアタリもないままここまで来てしまったが、これからのわずかな時間で30cmオーバーのアジを2匹ゲット。ここでの初めてのボウズを免れた。

「この厳しい中でよう釣ったバイ。もうボウズ間違いないとおもっとったもん。」

 

ほっとするuenoさん。

 

沖から少しずつ明るくなった頃、船が迎えに来てくれた。

 

美しい朝の情景に目を輝かせ、清々しい潮風に吹かれながら船に乗り込み、しばしの七つバエの島影の稜線を楽しんだ。

この日は、夜釣りのアジ釣りは壊滅状態だったようだ。一ツ神も撃沈。

 

船長によると、冷たい底潮が動かないことで魚の食い渋りが見られたとのこと。

 

潮が変わればまた釣れるだろうということだった。

 

2回とも良い思いをしたので、今度は厳しいだろうと覚悟はしていたが、ここまで苦戦するとは。

 

まだまだ、修行が足りないなと反省しながら帰りのクルージングを楽しむ。

 

すると、uenoさんがこのようにこの釣りを締めくくってくれた。

 

「(息子の)yoshiは、この釣りに行かんって言いよったもんなあ。あいつは釣れん時は魚釣りに行かんもん。それが正解なのかもしれんバイ」

 

おっさん2人はこうやって釣れないと分かっていてもついつい釣りに行ってしまうのであった。
















































































































































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